従業員拠出とは|退職給付の仕訳を具体的に解説(上級)

オフィスで働く経理マン

執筆日:2024年2月27日

※本記事は、2024年2月27日現在に公表・適用されている会計基準等に基づいています。

※対象:上級者・実務家

企業年金制度を採用する場合、企業が掛け金を拠出することは一般的ですが、「従業員が拠出する場合」の仕訳方法はあまり知られていません。

本記事では、退職給付会計における「従業員拠出」とは何かについて、仕訳方法を中心に解説します。

従業員拠出とは|退職給付の仕訳を具体的に解説(上級)

目次

「従業員拠出」とは

従業員拠出」とは、「企業年金制度」を採用している場合において、企業ではなく従業員自らが年金資産に掛け金を拠出することをいいます。

会計処理

従業員からの拠出額を「勤務費用」から差し引きます(退職給付会計基準 注4)。

結果として、「退職給付費用」の当期発生額が減少します。

仕訳方法

<仕訳例>
・会社は企業年金制度を採用している。当期の掛金拠出額120のうち、従業員からの拠出額は20である。

企業の拠出額の仕訳

企業が年金資産に拠出した場合には、「退職給付引当金」の減少として仕訳します。

取引借方科目借方金額貸方科目貸方金額
企業による掛け金拠出退職給付費用100退職給付引当金100

従業員拠出額の仕訳

これに対して、従業員が拠出する際には、会社が一旦「預り金」として仕訳した後、次の通り仕訳します(退職給付会計適用指針 [設例6]参照)。

取引借方科目借方金額貸方科目貸方金額
掛け金の預り現金・預金20従業員預り金20
従業員拠出従業員預り金20現金・預金20
退職給付引当金20退職給付費用20

会計基準等

※2024年2月27日現在。リンク先の会計基準等は最新版でない場合があります。

退職給付に関する会計基準(企業会計基準第26号)
退職給付に関する会計基準の適用指針(企業会計基準適用指針第25号)

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著者情報

須藤恵亮(すとうけいすけ)

フリーランス公認会計士。1人で「PDCA会計」を企画・開発・運営。

中央青山監査法人で会計監査、事業会社2社でプレイングマネジャーとして管理業務全般及びIPO準備業務に携わる。

現在は派遣・契約社員等として働きながら、副業的に「PDCA会計」の執筆やアプリ開発等コツコツ活動しています。

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