独学で合格するタイプとは
記事最終更新日:2021年12月17日
記事公開日:2019年10月5日
公認会計士であるサイト制作・運営・管理者は、学生時代から独学で受験し資格も独学で取得してきました(簿記2級は20年以上前に取得しました)。
40代になる現在も独学でIT資格を中心に継続して勉強していて資格取得しています。
そこで今回は、簿記2級を独学で取得しようとしている方を中心に、私の独自の視点も含めて自らの体験に基づき、簿記2級を独学で取得できるタイプについて解説します。
計画の立て方や具体的な学習の方法についても私の様々な資格学習の経験を基にコメントしています。
これから、独学で簿記2級の合格を目指す方にも参考になれば幸いです。
独学で合格するタイプとは
目次
1,独学とは
独学とは文字通り「独りで学ぶ」ことをいいます。
Wikipedia(ウィキペディア)によると、独学とは「学ぶにあたって、先達者の指導を仰ぐことなく独力で目標をたてて習熟しようとする学習方法、能力開発の方法」をいいます。
このページでは、より具体的に「一人で目標を立てて計画し、自ら決めた学習方法に従って、書籍やインターネットの情報を読み、時折友人や勉強仲間、質問サイトで相談するが、大部分は一人で考えながら知識を身に付け、目標を達成すること」を独学とします。
2.独学に必要なスキル
次に独学のために要求されるスキルや条件について、これまでの経験の基づきまとめてみました。
2-1.独学の対象となるものが好きであること
「好きこそものの上手なれ」という言葉が独学にはピッタリと当てはまります。
独学ではなく、先生に教わる場合には、先生が目標を設定し計画スケジュールも立て、先生が選んだテキストや問題集を使って懇切丁寧に教えてくれます。
周りには一緒に勉強する仲間がいるので、切磋琢磨し、教えあいながら目標に向けて進むことができます。
従って、好きではなくてもモチベーションを維持して目標を達成することは不可能ではありません。
しかし、独学の場合では、目標や計画を立てるのも、テキストや問題集も選ぶのも、学習方法もすべて一人で考えます。
好きでないことに対して、こんなに多くの時間を割き、目標達成までモチベーションを保って実践することは難しいでしょう。
逆に好きなことであれば、どんなに多くの時間を割いても少しも苦にはなりません。
より自分のやり方にこだわりを持つ傾向は高まるので、むしろ先生に教わることの方が難しくなるかもしれません。
以上から、独学の対象となるものが好きであることは、独学に必要なスキルになります。
「スキル」という言葉に違和感を持たれるかもしれませんが、学ぶ対象を好きになることは「勉強好き」ということであるので、独学のための立派なスキルといえるでしょう。
2-2.自分の学習方法が確立していること
独学で成果を残すためには自分にマッチした学習方法が確立しており、既に身についている必要があります。
幼少期から学生の間で、親兄弟や先生から様々なことを教わり、宿題や自習などの部分的な自己学習によって学習方法を学んでいきます。
そのような経験の中で、試験や受験を繰り返すうちに「これが自分に合った学習方法だ」というものが身についていきます。
ただし、「身に付く」といっても、身に付く程度は人それぞれです。
- ・適切な目標の立て方
- ・目標を達成するために必要な情報を収集できる
- ・目標を達成するための勉強時間や資金、環境を確保できる
- ・目標を達成できる実現可能な計画スケジュール
- ・TPOに応じた学習スタイル
- ・テキストや問題集の選び方
- ・インターネットの情報を利用する際の注意点を把握し実践できる
- ・計画スケジュールに沿って継続して学習できる
- ・モチベーションの保ち方や高め方を知っている
- ・健康や体調管理を知っている
- ・Etc・・・
より多くの項目でノウハウを習得し、自らの方法を確立しているのであれば、それだけ独学のスキルが高いということになります。
2-3.実践していること
上記のようなノウハウを取得するためには、独学の実践が欠かせません。
実践を通じて独学のスタイルを模索して、考え、時には思い悩みながら試行錯誤していくことでノウハウは蓄積されていき、確立されていきます。
実践を重ねるにつれて、目標を達成する可能性も高くなってきます。
2-4.周りの意見に左右されない
独学のスタイルが確立されているのであれば、それは他のどんな学習方法よりも目標を達成する可能性が高い、自らに最もマッチした方法ということです。
しかし、いくら自分に合った学習方法を身に付けているとしても、周りのやり方に左右されてしまうのであれば、目標を達成する可能性は低くなってしまいます。
周りの意見に左右されない、ということはこれまでに実践してきた自らの学習方法に自信がある、といえます。
従って、もし周りの学習方法の影響を受けてしまう傾向が強ければ、それは上記で説明した「実践」が足りないということを意味します。
これは個人の資質にも依るところです。自信を持てず、周りの意見に左右される場合があっても勿論構いませんが、その割合が大きい場合には、独学に向いているとは言えないでしょう。
2-5.一人でいられること
これは物理面、精神面の両面で、ということです。
長い時間一人でいても苦にならないこと。
そして、周りには自分とは異なるやり方で学習している人間が沢山いても、耐えられるということ。
このような環境で「寂しい」「悲しい」といった負の感情が生じやすい場合には、それだけ独学に向いているとは言えないということになります。
良い意味で「我(われ)が強い」ことが独学のためのスキルといえます。
3.簿記2級に独学で合格するタイプとは
それでは簿記2級に独学で合格できるタイプにはどのような特徴があるでしょう。
上記で説明した独学のためのスキルに当てはめて説明します。
3-1.簿記が好きであること
上記の説明を読んでいる方には多くを語る必要はないでしょう。
簿記3級と比較して出題範囲も格段に広がります。
簿記を好きでなければ、独学するモチベーションは保つことは相当難しくなります。
3-2.自らの学習方法を確立していて、簿記2級の合格という目標を達成するために実践できること
上記の説明に掲載した学習方法の項目について、いくつか具体的に当てはめてみると次の通りです。私の学習方法も載せますのでご参考になれば幸いです。
(1)適切な目標の立て方
簿記2級は商業簿記、工業簿記ともに70%以上が合格点です。
目標は合格点よりも高目に設定するのがセオリーですので、80点から90点を目標にするのが一般的に妥当な範囲ではないでしょうか。
また、受験回数は通常は1回を設定する方が多いでしょう。
しかし、人によって点数と受験回数の目標設定は異なってきます。
例えば、どうしても簿記2級を1回で合格できるだけの勉強時間を割けない場合には、実践経験を高めるために3回受験して合格することを目標にする方もいるでしょう。
やや例外的な目標設定ですが、自分に合った独学の場合には、このような目標設定であっても構わないのです。
(2)目標を達成できる実現可能な計画スケジュール
目標となる簿記2級の試験日までに、目標とする点数を取れると考えられる「実現可能な」スケジュールを計画します。
人によって、この時点で既に使用するテキストや問題集を決めており、「この日までにこのテキストを1周させる」など、綿密な計画スケジュールを立てる方もいれば、計画では大まかなスケジュールしか作りこまない方もいるでしょう。
私は、インターネット情報などで、一般的に必要とされる学習時間やテキスト、問題集などを参考にし、また、合格体験記も一通り目を通します。
その上で、計画段階では、使用するテキストや問題集は決めずに、テキスト2,3冊(メイン1冊と補助1,2冊)+問題集+過去問について、それぞれ使い方や回転数、使う大まかな時期を決め、「この週までにメインテキストの1周目を終わらせる」といったように計画しておきます。
そして「1週間で学習すること(ページ数や章)と割り当てる勉強時間」を計算します。
計算の結果、実現可能とはいえない計画、例えば、「連結会計の章を1日で読み理解する」というスケジュールとなった場合には、再度、計画をし直します。
このような計画を作っては検討し、修正するといったことを繰り返し、実現可能なスケジュールを計画します。
もう一つ重要と考えている点として「計画にはバッファ(余裕)」を持たせています。
計画はすべての情報を入手できない状態で立てるものです。簿記2級の学習中にも、例えば「税効果会計を理解するのに計画以上に時間がかかった」「計画した問題集の量では合格できそうにない」といった想定外の事態は発生するでしょう。
従って、想定外の事態にも対応できるように、計画スケジュールは多めに学習時間を見積もったり、予備日を設定しておく、1週間に行う学習の量も余裕を持たせて詰め込みすぎない、といったことに気を付けて計画を立てます。
(3)TPOに応じた学習スタイル
どのような方法で学習していくのかということです。
TPOとは「時(time)、所(place)、場合(occasion)」をいいます。
例えば、私の場合には、平日は仕事をしているので、朝の通勤時や会社の近くの喫茶店や公園などでスマートフォン上で電子書籍やインターネットの資格サイトを使って学習します。
電子書籍はAmazon Kindleを使用しています。Kindleは簿記2級の電子書籍も沢山あります。
Kindleは簿記2級の電子書籍も沢山あります。
Kindleのメリットとしてメモ機能やマーカーの機能があります。すべての電子書籍で利用できるわけではありませんが、利用できる場合には効率的かつ効果的に学習できます。
紙面書籍しかない人気のテキストであれば、スマートフォンのWEBカメラでページを画像に収めて、利用します。
簿記の学習であれば、電子書籍ではできないこと(電卓を使った問題演習など)は休日や帰宅後を中心に、紙面の書籍を使って行います。
また、学習スタイルという点では、私は「学習の記録」を重視しています。
主に電子書籍のメモ帳やカレンダーに1日に行った学習を記録しておきます。
例えば「テキストの1周目10~20ページ(実際原価計算)」「問題集 消費税の仕訳 第35~50問目 10/15点」といったように記録しておきます。
このように記録を残しておくと学習の成果が目に見えるので、モチベーションを維持したり高めることができます。
同時にテキストで理解できなかった点や、問題集で解けなかった点は面倒がらずに「何が理解できないのか」「なぜ解けなかったのか」といったことを詳細にこまめにメモしておきます。
このようにして記録したスマートフォンのメモ書きを直前期になってまとめることで、弱点補強の対策ノートになり、共通の弱点が浮き彫りになるので直前期に集中して学習・問題演習する分野を特定できるのです。
3-3.周りの学習方法に左右されず自らの学習スタイルを貫いて簿記2級に合格できること
例えば、友人やインターネット情報で自分が使っていない簿記テキストや問題集をお勧めしていて、今までのテキストや問題集から乗り換えてしまうような場合には、独学ではなく、専門学校やWEB講座の方がマッチしているかもしれません。
また、どの資格試験や受験でも出回るような「今回は連結会計の総合問題が出題される」「今回は第2問で有形固定資産の固定資産台帳が出る可能性が高い」といったウワサに左右されてしまう場合も同様です。
そのような口コミやウワサを馬耳東風のごとく聞き流せる方や、もしくは計画時や学習の過程で、評判の簿記テキストや問題集を検討したり、過去問分析を行って出題予測を行っている方などが独学が合ったタイプといえるでしょう。
そして自らの学習スタイルを継続して簿記2級の試験に臨んで合格できること。
これでは結果論になってしまうので、「過去に受験や資格試験で独学で合格してきた方」、すなわち「これまでに独学で成果があったこと」は何よりも「貴方は独学で簿記2級に合格できるタイプ」といえる説得力の高い証拠になるでしょう。
まとめ
以上、長文となりましたが、簿記2級に独学で合格するタイプについて解説しました。
私の経験を中心にコメントしているため、中には独断と偏見も含まれた記述もあるかもしれませんが、長年、独学を実践している者の視点で皆さんの参考になればと思い、コメントしてみました。
皆さんが簿記2級を学習する際の参考となれば幸いです。
最後までお読み頂きましてありがとうございました。
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