商業簿記入門その4~貸借対照表と損益計算書との関係(3級)

更新日:2018年9月8日 公開日:2017年7月22日

貸借対照表と損益計算書との関係

これまでの解説についておさらいします。

まず、「商業簿記入門その2~資産・負債・純資産と貸借対照表との関係」では、資産、負債、純資産と貸借対照表の説明や関係について解説しました。

次に、「商業簿記入門その3~収益・費用・利益と損益計算書との関係」では、収益、費用、利益と損益計算書の説明や関係について解説しました。

そこで今回は、これまでに解説した用語のうち、貸借対照表と損益計算書に焦点を当て、両者の関係について解説します。


貸借対照表と損益計算書

まずは、前回と前々回で使用した貸借対照表と損益計算書の例を並べて下に表示します。

貸借対照表 損益計算書

貸借対照表と損益計算書について、再度、簡単に説明します。

貸借対照表:ある時点の企業の財政状態を表した表
損益計算書:ある期間の企業の経営成績を表した表

上記の貸借対照表と損益計算書に当てはめて考えてみると、貸借対照表は「平成29年12月31日時点の企業の財政状態を表した表」であり、損益計算書は「平成29年1月1日から平成29年12月31日までの1年間の企業の経営成績を表した表」ということができます。

次に、具体的にこの会社の貸借対照表を見てみると、「平成29年12月31日の時点で、現金及び預金が1,037千円、有価証券が800千円、長期借入金が35,300千円などの残高となっており、損益計算書を見れば、平成29年1月1日から平成29年12月31日までの1年間で、売上高を3,579,129千円、売上原価を2,793,841千円計上した結果、売上総利益は785,288千円になっています。さらに、その他の収益や費用が段階的に計上された結果、最終的な利益である当期純利益は15,864千円を計上している。」ということが分かります。

ここで、「ある時点の」金額をストック、「ある期間の」増減した金額をフローという言葉でそれぞれ説明することが会計ではよくあります。

※会計や簿記の世界では、ある時点の金額を「残高(ざんだか)」といいます。すなわち「ストック = 残高」といえます。

※貸借対照表や損益計算書に表示する単位は千円や百万円を使用することが多いです。「会計入門その3~貸借対照表の見方」にて詳細を解説しています。


ストックとフロー(収入と支出を例に)

もっと簡単な例でストックとフローを考えてみましょう。

小学生のA君の貯金箱には、平成28年12月31日時点では1,000円が入っています。これは平成28年12月31日時点のストック(残高)になります。

その後、平成29年1月1日から12月31日までの間で、毎月500円のお小遣いを貰い、オモチャやお菓子などに合計で5,500円を費やしました。

以上から、平成29年1月1日から12月31日までのお金のフローは、収入が毎月500円×12か月で6,000円、支出が5,500円であるため、6,000円-5,500円=500円になります。

この1年間のフロー(増減)は、500円のプラスになりました。

それでは、平成29年12月31日時点のストック(残高)はいくらになるか?というと、平成28年12月31日時点のストックに、平成29年1月1日から12月31日までの1年間のフロー500円を足した1,500円が答えになります。

ストック(平成29年)1,500円 = ストック(平成28年)1,000円 + フロー(平成29年)500円

貸借対照表と損益計算書とのストックとフローの関係も、考このお小遣いの例と同じように考えます。

【補足】収入、支出と資産、負債、純資産、収益、費用の違い、およびストックとフローについて

この例では、収入と支出でストックとフローを考えてみました。しかし、簿記や会計の世界では、収入と支出ではなく、資産、負債、純資産、収益、費用という用語でストックやフローを考えていきます。

収入、支出と資産、負債、純資産、収益、費用との違いやストックとフローについては、「会計入門その4~資産と負債、純資産の関係」と「会計入門その21~損益計算書とは」で詳しく解説しています。ご興味ある方はご訪問ください。


財産法と損益法

当期純利益の求め方として、財産法損益法の2つが存在します。

財産法とは、貸借対照表を用いて当期純利益を求める方法であり、損益法とは、損益計算書から当期純利益を求める方法です。

ここでも上述のお小遣いの例を使って説明します。

【財産法】

平成28年12月31日時点の貯金箱のお金(残高=ストック)は、1,000円です。そして、平成29年12月31日時点ではストックは、1,500円に増えました。

ここから、この1年間のフロー(増減)は1,500円-1,000円=500円となります。

このように当期のストックから前期のストックを差し引くと1年間の増減を求めることができます(「当期」「前期」という言葉については、後述の「補足」にて説明しています)。

以上が、財産法を用いて計算する方法です。

今度は、財産法を使って、上記の貸借対照表を考えてみます。

しかし、その前に、「資本(純資産)とは何か?」について、考えてみましょう

純資産(資本)と財産法

前々回、「商業簿記入門その2~資産・負債・純資産と貸借対照表との関係」にて、純資産を次の通り説明しました。

純資産:①出資者(株主)から預かったお金、および企業活動を行った結果としての儲け(または損失)の累計など
②ある時点の資産から負債を差し引いた差額

簡単な言葉に置き替えると、「純資産(資本)とは会社にとっての貯金である」ということができます。

先のお小遣いの例でいえば、貯金箱に入っているお金と同じことだと考えてみましょう。

平成29年12月31日時点でのストック1,500円に該当する貸借対照表上の数字は何か?といえば、「純資産合計」の42,748千円です。

平成28年12月31日時点の貸借対照表は用意していませんが、純資産合計は26,884千円だとすると、財産法で求める当期純利益は次の通りとなります。

(当期)平成28年12月31日の純資産合計42,748千円 - (前期)平成28年12月31日の純資産合計26,884千円 = (当期)平成29年12月31日の当期純利益15,864千円

ここで言えることは、「前期と当期の貸借対照表があれば、損益計算書がなくとも、当期純利益を計算することができる」ということです。

財産法の式を下記に示します(純資産 = 資本と読み替えてください)。

財産法:期末資本 - 期首資本 = 当期純利益


【補足】前期と当期、期首と期末という言葉について

当期(とうき)」とは、現在の決算年度のことをいいます。例えば、決算日が3月31日の会社であり、現在が平成29年7月22日であれば、当期とは平成29年4月1日から平成30年3月31日までの1年間を指します。

「今年度(こんねんど)」ともいいます。

また、当期の始まり(今回の例では平成29年4月1日)を、「当期首(とうきしゅ)(または単に期首)」、さらに今回の例では、平成30年3月31日を「当期末(とうきまつ)(または単に期末)」といいます。

前期とは前の期をいいます。この例でいえば、平成28年4月1日から平成29年3月31日までの1年間のことです。

また、この場合の平成29年3月31日を「前期末(ぜんきまつ)」といいます。

時間単位で考えると、平成29年4月1日の午前0時になった時点で、前期から当期になります。すなわち「前期の終わり(前期末)=当期の始まり(当期首)」ということができます。

以上から、「前期末のストック(残高)=当期首のストック(残高)」ということができます。


損益法

次に損益法ですが、こちらは前回、「商業簿記入門その3~収益・費用・利益と損益計算書との関係」にて「損益法」という言葉は使用してはいませんが、実は既に説明しています。

損益法とは次の式をいいます。

損益法:収益 - 費用 = 当期純利益

すなわち、損益法とは、損益計算書をそのまま表した式と考えることができます。

上記の損益計算書で考えると、売上高(収益)から売上原価(費用)を差し引き、段階利益である売上総利益(利益)を求めます。次に売上総利益から販売費及び一般管理費を差し引いて営業利益を求める。以上の通り、収益から費用を差し引く計算を段階利益毎に行っていけば、当期純利益15,864千円に辿り着くことができます。

【補足】財産法と損益法の違い

※簿記3級の学習範囲を超えた内容です。ご興味ある方はお読みください。

今回の例では、財産法と損益法どちらの方法でも、当期純利益は15,864千円になりました。

しかし、これは現在の簿記学習の段階であるから、両者の結果が一致するのであって、実務の場には、上記の説明では両者の結果は異なります。

理由は、貸借対照表の純資産合計(資本)が増減する要因は当期純利益だけではないからです。

株主資本等変動計算書」を学ぶと分かりますが、この株主資本等変動計算書には、当期純利益の他にも、純資産の増減理由となる項目が表示されます。具体的には株主への配当金や資本金の増加(増資)などです。

以上の理由から、財産法の式では「当期純利益以外の純資産(資本)の増減要因は対象外とする」という条件があって、初めて財産法と損益法のそれぞれで求めた当期純利益は一致することになります。

※株主資本等変動計算書は簿記2級の学習範囲です。「商業簿記入門その94~財務諸表(株主資本等変動計算書)(2級)」にて解説しています。


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