日商簿記2級 資本連結とは|非支配株主持分と仕訳

更新日:2020年12月24日
公開日:2018年4月29日

前回は、連結会計と連結決算手続きについて解説しました。

今回は支配獲得時の資本連結と連結修正仕訳を中心に説明します。

資本連結とは

資本連結(しほんれんけつ)とは、連結財務諸表上の資本(純資産)に親会社の純資産の科目のみを反映させるために、親会社の子会社に対する投資(子会社株式)と子会社の資本科目を相殺消去するなどの一連の仕訳をいいます。

親会社と子会社の貸借対照表を図にして、いくつかのケースに分けて段階的に資本連結の考え方を解説します。

(1)親会社が全株式を取得しているケース

最初に親会社が子会社の株式を100%取得した場合を考えます。

まず、子会社を支配しているのは100%の株式を保有する親会社です。

親会社を支配しているのは誰かといえば親会社の株主です。

ということは、子会社を支配しているのも親会社を支配している親会社の株主です。

以上から、親会社と子会社を同一の企業グループとした連結貸借対照表で考えた場合、この企業グループを支配(=所有)しているのは誰か、というと、親会社の株主といえます。

ところで、純資産のうち、株主資本とは会社の所有者である株主に帰属するものと考えます(つまり株主のもの)。

なぜならば、株主資本とは資本金や資本準備金、繰越利益剰余金などをいいますが、資本金や資本準備金は株主が出資したお金であり、繰越利益剰余金は株主からの出資を元手にしてビジネスを行った結果、稼得した利益の累計だからです。利益の儲けは配当として株主に還元(かんげん。成果としてお金が戻ってくるといった意味)されます。

※ビジネスの元手としては銀行からの借入金も同様ですが、銀行はお金を貸し付けた代わりに利息を受け取ります。貸付と出資は異なるため会社の所有者ではありません。

今回の例について、貸借対照表の作成を図に表すと次の通り。

親会社が子会社株式を取得したという取引は、内部取引に該当します。「子会社の純資産 = 親会社の投資(子会社の取得)」という関係から、子会社の純資産と親会社の子会社株式とを相殺消去します。

※仕訳は後述。ここでは仕訳のためのイメージを把握しましょう。

(2)非支配株主持分が存在するケース

次に、親会社が子会社株式を80%だけ取得した場合を考えてみます。

50%を超える株式を取得すれば支配に該当するため、このケースでも親会社と子会社の関係は成立します。

従って、この時点で連結財務諸表を作成する仕訳をきる必要があります。

※親会社が子会社を支配したことを、「支配獲得(しはいかくとく)」といいます。今回のように一度に80%を取得した場合だけでなく、最初に20%、2年後に40%と段階的に子会社株式を取得した場合には、この40%を取得した時点が累計で60%の取得になり、50%を超えるため、支配獲得になります。

さて、最初のケースと異なるのは、親会社の株主は親会社を通じて子会社を80%しか支配できていない、という点です。

つまり、「20%だけ親会社以外の株主が子会社を所有している」という点です。

※20%では支配はできませんので、ここでは「所有」という言葉を使用しています。

この「所有」という言葉を別の連結会計の用語で「持分(もちぶん)」といいます。また、親会社以外の、子会社の株主のことを「非支配株主(ひしはいかぶぬし)」といいます。

そして非支配株主の持分を「非支配株主持分(ひしはいかぶぬしもちぶん)」といいます。

今回の例を図に表すと次の通り。

内部取引として親会社の貸借対照表に表示される子会社株式と相殺消去するのは、子会社の純資産のうち親会社が支配する80%だけです。

残り20%の非支配株主持分は親会社が支配していないため内部取引に該当しません。従って相殺消去せず、連結貸借対照表の純資産として子会社の資産や負債とともに合算します。

(3)のれんが存在するケース

(2)のケースに一つだけ条件を追加して、より具体的に説明します。

例えば、子会社株式の80%を850万円で取得し、この時の子会社の純資産の残高合計が1,000万円だったとします。

すると、子会社の純資産のうち親会社の株主の持分に該当するのは、純資産1,000に80%を乗じて計算した800万円です。

一方で取得額は850万円のため、親会社はこの子会社株式を50万円だけ高く評価して取得したことになります。

この50万円を「のれん(正ののれんとも)」といい、ブランドなどの超過収益力(ちょうかしゅうえきりょく)を評価した金額になります。

これに対して、上述の例で、850万円ではなく、750万円で取得した場合には、反対に純資産の持分よりも50万円低く評価したことになります。

この場合のこの50万円を、「負ののれん」といいます。

支配獲得時の資本連結の仕訳

上のようなケースで子会社の支配を獲得した時点で、親会社の子会社を取得した取引について相殺消去などの仕訳を行います。

子会社株式勘定(資産に属する勘定科目)、資本金勘定(純資産に属する勘定科目)、「資本剰余金勘定(純資産に属する勘定科目)」、「利益剰余金勘定(純資産に属する勘定科目)」、「非支配株主持分勘定(純資産に属する勘定科目)」、「のれん勘定(資産に属する勘定科目)」、「負ののれん発生益勘定(収益に属する勘定科目)」といった勘定科目を使用して仕訳します。

まず親会社B/S上の子会社株式の残高をゼロにするため、貸方に残高金額で子会社株式勘定を記入します。

次に、支配獲得時の子会社B/S上の資本金、資本剰余金、利益剰余金の残高をそれぞれ、資本金勘定、資本剰余金勘定、利益剰余金勘定で借方に記入します。

そして、非支配株主持分について子会社の資本金、資本剰余金、利益剰余金の合計金額に非支配株主持分を乗じた金額で非支配株主持分勘定を貸方に記入します。

この結果、貸借差額が発生します。この貸借差額は子会社株式の取得額と子会社B/S上の株主資本(資本金、資本準備金、利益剰余金の合計)のうち、親会社の持分割合を乗じた金額との差額です。この差額がのれんです。

そこで最後に貸借差額を計算し、貸方に差額が発生している場合には借方にのれん勘定を記入し、借方に差額が発生している場合には貸方に負ののれん発生益勘定を記入します。

【補足】資本剰余金勘定と利益剰余金勘定について

株主資本の勘定科目については、連結財務諸表では資本金勘定、資本剰余金勘定、利益剰余金勘定の3種類が登場します。

これまでに学習した株主資本の勘定科目と比較すると次の通り。

仕訳(まとめ)

以上の仕訳をまとめると次の通り。

出来事のれん借方科目借方金額貸方科目貸方金額
子会社株式の支配獲得資本金×××子会社株式×××
資本剰余金×××非支配株主持分×××
利益剰余金×××
のれん×××
資本金×××子会社株式×××
資本剰余金×××非支配株主持分×××
利益剰余金×××負ののれん発生益×××

仕訳例

下記の記事(次回解説)に掲載。

まとめ

今回は支配獲得時の資本連結の仕訳について解説しました。覚えることが多く大変だと思います。なんとなく分かった段階で、まずは問題を解いてみることをお勧めします。それでもスッキリとしない場合には、再度、全体を理解するためにこのページを利用するなど、問題演習とテキスト理解を繰り返すことで段々と定着させていきましょう。

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