商業簿記入門その104~資本連結(支配獲得時)の仕訳処理(2級)

公開日:2018年4月29日

資本連結(支配獲得時)の仕訳処理(2級)

前回、「商業簿記入門その103~連結会計の概要(2級)」では、連結会計の概要について解説しました。

今回は連結修正仕訳のうち、支配獲得時の資本連結の仕訳処理について解説します。

※簿記2級の論点になります。


資本連結とは

資本連結(しほんれんけつ)とは、連結財務諸表上の資本(純資産)には、親会社の純資産の科目のみを反映させるために、親会社の子会社に対する投資(子会社株式)と子会社の資本科目を相殺消去するなどの一連の仕訳処理をいいます。

資本連結の基本的な考え方

親会社と子会社の貸借対照表を図にして、段階的に資本連結の考え方を解説していきます。

最初に親会社が子会社の株式を100%取得した場合を考えます。

この場合には、子会社を支配しているのは100%の株式を保有する親会社です。

そして、親会社を支配しているのは誰かといえば、親会社の株主です。

ということは、子会社を支配しているのも親会社を支配している親会社の株主、ということになります。

以上から、連結貸借対照表を考えると、親会社と子会社を同一の企業グループとした場合の、この企業グループを支配(=所有)しているのは誰か、というと、親会社の株主ということになります。

ところで、純資産のうち、株主資本とは会社の所有者である株主に帰属するものと考えます。株主資本とは資本金や資本準備金、繰越利益剰余金などですが、資本金や資本準備金は株主が出資したお金であり、繰越利益剰余金は株主からの出資を元手にしてビジネスを行った結果、稼得した利益の累計だからです。利益の儲けは配当として株主に還元(かんげん。成果としてお金が戻ってくるといった意味)されます。

※ビジネスの元手としては銀行からの借入金も同様ですが、銀行はお金を貸し付けた代わりに利息を受け取ります。貸付と出資は異なるため会社の所有者ではありません。

※株主資本の各科目については、「剰余金の配当、処分、株主資本の計数変動に関する用語と会社法手続き(2級)」にて解説していますので、ご参照ください。

※株主や株式会社については、「商業簿記入門その95~株式会社と会社法(総論)(2級)」「商業簿記入門その96~株式発行に関する用語と会社法手続き(2級)」にて解説していますので、ご参照ください。

今回の例について、貸借対照表の作成を図に表すと次の通りです。なお、親会社が子会社株式を取得したという取引は、内部取引に該当します。そこで、「子会社の純資産 = 親会社の投資(子会社の取得)」ですので、子会社の純資産と親会社の子会社株式とを相殺消去します。

資本連結の基本

非支配株主が存在する場合

次に、今度は例えば親会社が子会社株式を80%だけ取得した場合を考えてみます。

50%を超える株式を取得すれば、支配していると、「商業簿記入門その103~連結会計の概要(2級)」にて解説しました。従って、80%の株式を取得した場合も親会社と子会社の関係は成立するため、この時点で企業グループが形成された、すなわち連結財務諸表を作成することになった、ということになります。

ここで、親会社が子会社を支配したことを、「支配獲得(しはいかくとく)」といいます。今回のように一度に80%を取得した場合だけでなく、最初に20%、2年後に40%と段階的に子会社株式を取得した場合には、この40%を取得した時点が累計で60%の取得になり、50%を超えるため、支配獲得時になります。

ただし、上述の例と異なるのは、親会社の株主は親会社を通じて、子会社を80%しか支配できていない、ということです。つまり、20%だけ親会社以外の株主が子会社を所有している、ということになります。

※20%では支配はできませんので、ここでは「所有」という言葉を使用しています。

この所有という言葉を別の連結会計の用語で「持分(もちぶん)」といいます。また、親会社以外の、子会社の株主のことを「非支配株主(ひしはいかぶぬし)」といいます。

今回の例について、連結貸借対照表の作成を図に表すと次の通りです。内部取引として相殺消去されるのは、親会社の貸借対照表に表示される子会社株式と子会社の純資産のうち、80%です。従って、20%の非支配株主の持分は連結貸借対照表の純資産として、子会社の資産や負債とともに合算されることになります。

資本連結の基本

のれんの存在

最後にもう一つ、条件を追加します。

例えば、子会社株式の80%を850万円で取得したとします。この時の子会社の純資産の残高合計が1,000万円だったとします。

すると、子会社の純資産のうち、親会社の株主の持分に該当するのは、純資産1,000に80%を乗じて計算した800万円です。

一方で取得額は850万円のため、50万円だけ高く評価して取得したことになります。

この50万円を「のれん」といい、ブランドなど超過収益力(ちょうかしゅうえきりょく)を評価した金額になります。

※のれんについては、「商業簿記入門その62~無形固定資産(のれん、ソフトウェアなど)と減価償却、仕訳処理(2級)」にて解説していますので、ご参照ください。

これに対して、上述の例で、850万円ではなく、750万円で取得した場合には、反対に純資産の持分よりも50万円低く評価したことになります。

この場合のこの50万円を、「負ののれん」といいます。

支配獲得時の資本連結の仕訳処理

子会社の支配を獲得した時点に、親会社の子会社を取得した取引について、相殺消去などの仕訳処理を行います。子会社株式勘定(資産に属する勘定科目)、資本金勘定(純資産に属する勘定科目)、「資本剰余金勘定(純資産に属する勘定科目)」、「利益剰余金勘定(純資産に属する勘定科目)」、「非支配株主持分勘定(純資産に属する勘定科目)」、「のれん勘定(資産に属する勘定科目)」、「負ののれん発生益勘定(収益に属する勘定科目)」を使用して仕訳処理します。

具体的には、子会社株式の残高をゼロにするため、貸方に残高金額で子会社株式勘定を記入します。また、支配獲得時の子会社の資本金、資本剰余金、利益剰余金の残高に親会社が子会社を取得した持分割合を乗じた金額をそれぞれ、資本金勘定、資本剰余金勘定、利益剰余金勘定で借方に記入します。

また、非支配株主持分について、子会社の資本金、資本剰余金、利益剰余金の合計金額に非支配株主持分を乗じた金額で非支配株主持分勘定を貸方に記入します。

最後に貸借差額を計算し、貸方に差額が発生している場合には、借方にのれん勘定を記入し、借方に差額が発生している場合には、貸方に負ののれん発生益勘定を記入します。

【補足】資本剰余金勘定と利益剰余金勘定について

株主資本の勘定科目については、連結財務諸表では資本金勘定、資本剰余金勘定、利益剰余金勘定の3種類のみが登場します。

これまでの株主資本の勘定科目と比較すると、資本準備金勘定とその他資本剰余金勘定をまとめて資本剰余金勘定とし、利益準備金勘定、〇〇積立金勘定および繰越利益剰余金勘定をまとめて利益剰余金勘定として取り扱います。

支配獲得時の資本連結の仕訳処理(まとめ)

以上の仕訳処理をまとめると次の通りです。

出来事のれん借方科目借方金額貸方科目貸方金額
子会社株式の支配獲得資本金×××子会社株式×××
資本剰余金×××非支配株主持分×××
利益剰余金×××
のれん×××
資本金×××子会社株式×××
資本剰余金×××非支配株主持分×××
利益剰余金×××負ののれん発生益×××

まとめ

今回は支配獲得時の資本連結の仕訳処理について解説しました。覚えることが多く大変だと思います。なんとなく分かった段階で、まずは問題を解いてみることをお勧めします。それでもスッキリとしない場合には、再度、全体を理解するためにこのページを利用するなど、問題演習とテキスト理解を繰り返すことで段々と定着させていきましょう。

次回も引き続き、資本連結を解説します。仕訳例は今回の解説分とまとめて次回に掲載し、解説します。


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