商業簿記3級 現金過不足と仕訳処理

更新日:2019年9月8日
公開日:2017年8月6日

前回、「商業簿記入門その10~現金出納帳の記帳方法(3級)」では、現金出納帳について解説しました。

今回は、現金過不足と仕訳処理について説明します。

現金過不足とは

現金過不足(げんきんかぶそく)とは、帳簿上の現金残高と実際の現金有高に差異があることをいいます。

実務上で現金過不足が発生した場合には、一時的に現金過不足勘定を使用して仕訳します。

現金過不足が発生した時の仕訳処理

実際の現金有高が正しい」と考えて、帳簿上の現金残高を実際の現金有高に合わせるように、仕訳処理します。

仕訳処理ですが、借方、貸方のどちらかに現金勘定を使用し、もう一方には現金過不足勘定を使用します。

より具体的に、ケースに分けて説明します。

(ケース1)帳簿上の現金残高 > 実際の現金有高の場合
→帳簿上の現金残高が多いので、帳簿上の現金残高を減らします(現金の減少)。現金は資産に属する勘定科目であり、資産の減少は貸方に記録します。

出来事借方科目借方金額貸方科目貸方金額
現金過不足の発生現金過不足×××現金×××

(ケース2)帳簿上の現金残高 < 実際の現金有高の場合
→実際の現金有高の方が多いので、帳簿上の残高を増やします(現金の増加)。現金は資産に属する勘定科目であり、資産の増加は借方に記録します。

出来事借方科目借方金額貸方科目貸方金額
現金過不足の発生現金×××現金過不足×××

※「資産の増加→借方に記録」「資産の減少→貸方に記録」がすぐに思い浮かばなかった方は、「取引の8分類」のメモ書きを手元に置きながら学習しましょう。「取引の8分類」については、「商業簿記入門その5~取引と仕訳(3級)」をご参照ください。

【補足】現金過不足勘定の性格について
現金過不足勘定は、帳簿上の現金残高を実際の現金有高に一致させるために使用する、「現金勘定の相手勘定」です。

また、一時的な不明残を扱うために存在する勘定科目でもあり、他の勘定科目とは異なる、「特別な勘定科目」とも捉えることができます。

資産、負債、純資産、収益、費用のどれに属するのかも分からない勘定科目ですので、現金過不足勘定については無理に「取引の8分類」に当てはめて考えようとはせずに、「現金過不足が発生した場合に使用する現金勘定の相手科目」として覚えておきましょう。

現金過不足の原因が判明した時の仕訳処理

現金過不足の原因が分かった場合には、原因に合った仕訳処理を行います。

この仕訳は決まったものではなく、その原因に応じて仕訳は変わりますので、暗記ではなく応用が試されるところでもあります。

例をいくつか挙げて説明します。

(1)帳簿上の現金残高が1,000円多かったが、切手の購入代金だと判明した場合(通信費勘定を使用)。

出来事借方科目借方金額貸方科目貸方金額
現金過不足の発生現金過不足1,000現金1,000
原因判明通信費1,000現金過不足1,000

(2)帳簿上の現金残高が5万円少なかったが、金庫に保管していた公社債利札(期限到来済)を仕訳していなかったことが判明した場合

出来事借方科目借方金額貸方科目貸方金額
現金過不足の発生現金50,000現金過不足50,000
原因判明現金過不足50,000有価証券利息50,000

(3)帳簿上の現金残高が10万円少なかったが、実際の現金有高をカウントする際に、金庫に保管していた自己振出小切手を現金としてカウントしていたことが判明した場合

出来事借方科目借方金額貸方科目貸方金額
現金過不足の発生現金100,000現金過不足100,000
原因判明現金過不足100,000現金100,000
当座預金100,000現金100,000

(3)は現金のカウントが間違っていたという場合であり、実務上では起こりえることですが2級、3級の資格試験では出題可能性は低いと思います。

現金過不足の原因が判明しない場合の決算日の仕訳処理

決算日を迎えたが現金過不足の原因が分からない場合、現金過不足勘定の残高をそのままにしておくわけにはいきません。

なぜならば、【補足】で上述した通り、現金過不足勘定は「一時的な勘定科目」だからです。

ではどうするのかというと、収益または費用の勘定科目に振り替えます。具体的には次の通りです。

(ケース1)帳簿上の現金残高 > 実際の現金有高の場合
損したと考え、現金過不足勘定を雑損勘定に振り替えます。

出来事借方科目借方金額貸方科目貸方金額
決算日に現金過不足の原因が判明しない雑損×××現金過不足×××

(ケース2)帳簿上の現金残高 < 実際の現金有高の場合
得したと考え、現金過不足勘定を雑益勘定に振り替えます。

出来事借方科目借方金額貸方科目貸方金額
決算日に現金過不足の原因が判明しない現金過不足×××雑益×××

【補足】現金有高の調べ方と実務について(アルバイト、監査、経理財務での経験)

現金有高を調べるにはカウンタ金種表(金種別表、金種計算表とも)を使用します。

現金有高を確認するタイミングですが、実務上では業界や取り扱っている現金量によって異なります。

私はコンビニのアルバイト、監査法人での現金実査、及び経理財務部署の従業員という3つの立場で現金のカウントに携わったことがありますが、現金のカウントという単純な仕事でも、実務では様々な考え方や取り扱い方があります。

例えば、コンビニのアルバイトでは毎日数回、現金をカウントしていました。お客さんとあれだけ現金のやり取りを行っているので、現金カウントの都度、現金過不足は当たり前のように発生します。

一方で経理財務の従業員時代では、現金はほとんど置いておらず取引も経費精算や仮払が中心であったためカウントは週1回でした。また、現金過不足は発生しないのが当たり前の状態です。

最後に監査法人時代ですが、監査法人に入社(監査法人では「入所」といいます)すると、1年目、2年目のスタッフは必ずといっていい程、現金預金の監査担当になります。

決算日には現金実査のためにクライアントに訪問します。具体的にはクライアントの経理財務担当者がカウントした金種別表に基づき、監査人が実際にクライアントの現金をカウントします。

その結果、監査人の現金実査の結果とクライアント側のカウント結果に差異がある場合には、たとえ1円であっても監査報告対象としていました。現金は会計の基本ですから、現金周りに間違いがあるということは、たとえ1円であってもよろしくないということです。

まとめ

今回は現金過不足について解説しました。これまでの現金に関する解説も含めた問題が出題されます。インプットとアウトプットのバランスを取りながら学習しましょう。

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