商業簿記入門その16~有価証券と仕訳処理(取得、売却、利息、配当金)(3級)

更新日:2019年1月30日 公開日:2017年8月13日

有価証券と仕訳処理(取得、売却、利息、配当金)

前回、「商業簿記入門その15~銀行勘定調整表」では当座預金の銀行勘定調整表について解説しました。

これで現金と預金の解説は終了しました。

今回は有価証券の各手続(取得、売却、利息、配当金)の仕訳処理について説明します。


有価証券とは

有価証券とは、簡単に言えば、株式、国債、地方債、社債を総称した呼び名です。

会社は現金・預金といった資金に余裕がある場合に、資金運用の目的でこれら有価証券を購入することがあります。

株式を購入して保有すると配当金が、国債、地方債、社債を購入して保有すると利息をもらえるというメリットがあります。このように有価証券を保有して利息や配当金を得ることによる収益(利益)を「インカムゲイン」といいます。

さらに、上場企業の株式や国債のように市場で流通している有価証券を購入し、価格が購入価格より上がった時に売却することで売買益を得ることができます。このような利益を「キャピタルゲイン」といいます。

このように有価証券は資金運用を目的として購入することがありますが、その他の目的として例えば、ある企業を子会社にするためや、事業提携といった目的で株式を購入することがあります。


有価証券の取得と仕訳処理

有価証券を取得(購入のこと)した場合には、取得に要した金額(取得原価といいます)を有価証券勘定で仕訳します。有価証券という資産の増加になるので、借方に記入します。

取得原価には、有価証券自体の価額のみでなく、購入する時に証券会社などに支払う手数料なども含めます(購入の際に付随してかかった費用ということで付随費用といいます)。

取引借方科目借方金額貸方科目貸方金額
有価証券の取得(購入)有価証券×××現金・預金など×××

有価証券の売却と仕訳処理

有価証券を売却した場合には、有価証券の減少(資産の減少)であるため貸方に有価証券を記入します。

有価証券の取得原価よりも高く売却できた場合は、売買差益が発生するため、差益は有価証券売却益を使用して仕訳します(収益の発生のため、貸方に記入)。

逆に低く売却した場合には、売買差損が発生するため、差損は有価証券売却損を使用して仕訳します(費用の発生のため、借方に記入)。

取引借方科目借方金額貸方科目貸方金額
有価証券の売却(売買差益が発生)現金・預金など×××有価証券×××
有価証券売却益×××
有価証券の売却(売買差損が発生)現金・預金など×××有価証券×××
有価証券売却損×××

有価証券の利息・配当金の受け取りと仕訳処理

国債・地方債・社債について利息を受け取った場合には、有価証券利息勘定を使用します(受取利息も可)。収益の発生であるため、貸方に記入します。

株式について配当金を受け取った場合には、受取配当金勘定を使用します。同様に収益の発生であるため、貸方に記入します。

※社債の利息の受け取りには社債利札(クーポン)を、株式の配当金の受け取りには配当金領収証を銀行に持ち込めば受け取ることができます。詳細は「商業簿記入門その9~現金(為替証書、配当金領収証、公社債利札の仕訳処理)」で解説していますので、ご興味ある方はご訪問ください。


仕訳例

  • 1.A社はB社の株式を1株当たり25,000円で100株購入した。購入に際して買取手数料50,000円が発生し、全て小切手を振り出して支払った。
  • 2.A社はC社の社債(額面価額100万円)を96万円で購入した。買取手数料2万円とともに代金は翌月末に支払うことにした。
  • 3.B社より2万円の配当金領収証が届いた。
  • 4.C社の社債について利札1枚(3万円)の期限が到来した。
  • 5.3の配当金領収証を銀行に持っていき現金(通貨)に換えた。
  • 6.4の利札を銀行に持っていき現金(通貨)に換えた。
  • 7.1で購入したB社株式を300万円で売却した。売却代金は当座預金に振り込まれた。
  • 8.2で購入したC社の社債を90万円で売却した。売却代金は当月末に振り込まれる。
No借方科目借方金額貸方科目貸方金額
1有価証券2,550,000当座預金2,550,000
2有価証券980,000未払金980,000
3現金20,000受取配当金20,000
4現金30,000有価証券利息30,000
5仕訳なし
6仕訳なし
7当座預金3,000,000有価証券2,550,000
有価証券売却益450,000
8未収入金900,000有価証券980,000
有価証券売却損80,000

3~6の仕訳処理が分からなかった方は、「商業簿記入門その9~現金(為替証書、配当金領収証、公社債利札の仕訳処理)」で解説していますので、ご参照ください。

未払金や未収入金は今後、解説する予定です。

まとめ

今回は有価証券の各手続(取得、売却、利息、配当金)の仕訳処理について解説しました。配当金領収証や利札の手続も含めて理解しながら覚えましょう。


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