売掛金とは|仕訳例を示して具体的に解説(簿記3級)

記事最終更新日:2023年12月27日
記事公開日:2017年9月3日

※本記事の一部では、簿記2級の試験範囲について解説しています。

「売掛金」は簿記3級で学習する勘定科目です。しかし、会社の販売に関する重要な科目であり、簿記1級以上の試験でも、貸倒引当金をはじめ、難しい論点や経理実務上の課題も少なくありませんので、重要な勘定科目です。

本記事では、「売掛金」について、簿記3級の仕訳を中心に解説します。

仕訳例

<仕訳例>
1.商品100を販売し、代金は掛けとする請求書を同封して本日商品を発送した。
2.上記1の商品のうち5が数量間違えで返品され戻ってきた。
3.上記1の掛代金95が普通預金口座に振り込まれた。
4.上記1の問題について、消費税10%を設定する場合の仕訳を示しなさい。
5.得意先に対する売掛金のうち10が貸し倒れたため、適切に処理する(前期に計上した貸倒引当金を充当する)。
6.売掛金のうち30を受取手形で回収した。
7.売掛金20について、得意先が発生記録の請求を行った結果、電子記録債権として登録されたと電子債権記録機関から通知があった。

No借方科目借方金額貸方科目貸方金額
1売掛金100売上100
2売上5売掛金5
3普通預金95売掛金95
4売掛金110売上100
仮受消費税10
5貸倒引当金10売掛金10
6受取手形30売掛金30
7電子記録債権20売掛金20

売掛金とは

売掛金」とは、事業として取り扱うモノやサービスを販売する場合に、契約書や注文書、請求書等で約束した期日までに、代金を受け取る権利(債権)をいいます。

売掛金は一般的に「掛け」といい、「掛けで販売した」「掛代金を回収した」といった使い方をします。

売掛金の性質と仕訳の記帳

売掛金は現金と同様に「会社財産」に該当することから「資産」に属します。

従って、「取引の8要素」の資産の仕訳の通り、売掛金の増加は「借方」に記入し、売掛金の減少は「貸方」に記入して仕訳します。

売掛金の基本的な仕訳

商品販売時の仕訳

商品を販売した際には「売上」を貸方に記入しますが、代金を掛けとした場合には売掛金が増加するため「売掛金」を借方に記入します。

この仕訳の方法は、商品売買取引を「仕入」「売上」「繰越商品」の3勘定で記帳することから、「3分法」といいます。

取引借方科目借方金額貸方科目貸方金額
商品販売売掛金xxx売上xxx

(参考)請求書と売掛金

モノやサービスを販売した会社は、購入した会社宛に「請求書」を送付します。請求書には請求金額の合計とその内訳(明細)、消費税、振込先、支払期日などが記載してあります。

このうち消費税を含めた請求書金額の合計額が売掛金です。

(簿記2級)商品返品時の仕訳

商品間違えや数量間違え等のため、得意先から商品が返品されて戻ってくることがあります。

この場合には、商品販売の時とは貸借反対の仕訳を記帳し、売上・売掛金をそれぞれ減少します。

取引借方科目借方金額貸方科目貸方金額
商品返品売上xxx売掛金xxx

掛代金の回収時の仕訳

現金や預金口座への振り込みによって、売掛代金を回収した場合には売掛金が減少するため、貸方に「売掛金」を記入し、借方に現金や普通預金等を記入します。

取引借方科目借方金額貸方科目貸方金額
掛代金回収現金・普通預金等xxx売掛金xxx

消費税の設定時の仕訳

商品販売の問題で、消費税が設定されている場合には、売掛金は「商品本体価格 + 消費税額」で仕訳し、一方で貸方については、本体価格は「売上」で、消費税額は「仮受消費税」で記入します。

取引借方科目借方金額貸方科目貸方金額
消費税の設定時売掛金xxx売上xxx
仮受消費税xxx

掛代金の貸し倒れ時の仕訳

得意先の倒産等によって、売掛金が貸し倒れとなり回収できなくなった場合には、売掛金が減少するため、「売掛金」を貸方に記入します。借方には貸倒引当金を計上している場合には「貸倒引当金」を記入し、貸倒引当金を計上していない場合には、「貸倒損失」を記入します。

取引借方科目借方金額貸方科目貸方金額
貸倒れ貸倒引当金・貸倒損失xxx売掛金xxx

(簿記2級)貸倒懸念債券と破産更生債権等

貸倒れの可能性が高い売掛金は、「貸倒懸念債権」及び「破産更生債権等」として、個別に貸倒引当金を見積もって計上します。

受取手形及び電子記録債権による回収時の仕訳

売掛金を現金・預金ではなく、「受取手形」や「電子記録債権」で回収する場合があります。

この場合には売掛金の減少となるため、貸方に「売掛金」を記入し、借方には増加する「受取手形」や「電子記録債権」を記入します。

取引借方科目借方金額貸方科目貸方金額
手形・電子記録債権による回収受取手形・電子記録債権xxx売掛金xxx

その他の仕訳

「売掛金」に関連するその他の仕訳として、「クレジット売掛金」と「債権売却損」があります。

クレジット売掛金

商品の販売時に、得意先がクレジットカードで代金を支払う場合には、「売掛金」ではなく「クレジット売掛金」で仕訳します。

(簿記2級)債権売却損

売掛金などの債権を売却した場合には手数料が発生しますが、当該手数料は「債権売却損」で仕訳します。

まとめ

以上、売掛金の仕訳について、簿記3級の試験範囲を中心に解説しました。

仕訳が多岐に渡るため、関連記事も併せて参考して頂けると幸いです。

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著者情報

須藤恵亮(すとうけいすけ)

フリーランス公認会計士。1人で「PDCA会計」を企画・開発・運営。

中央青山監査法人で会計監査、事業会社2社でプレイングマネジャーとして管理業務全般及びIPO準備業務に携わる。

現在は派遣・契約社員等として働きながら、副業的に「PDCA会計」の執筆やアプリ開発等コツコツ活動しています。

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