商業簿記入門その31~手形の種類と取り扱い(3級)

公開日:2017年11月5日

手形の種類と取り扱い

前回、「商業簿記入門その30~商品券と他店商品券の仕訳処理」では、商品券と他店商品券の仕訳処理について解説しました。

今回は手形の種類や実務上の取り扱いについて説明します。


手形とは

手形とは、手形法に基づいて発行される有価証券をいいます。

商品の仕入れや販売時の代金支払、受取の手段として、現金預金、小切手、売掛金・買掛金とともに利用されます。

まずは実際の手形を見てみましょう。下にサンプルを用意しました。

【約束手形】

このサンプルの小切手だと、『キツツキ工務店のキツツキ一夫(振出人)が、「ゴリラ木材株式会社に対して、平成24年7月20日に、一千万円を全国ペンギン銀行の小鳥支店から支払います」ということを約束する証書(手形)を平成24年4月12日に振り出した(作成した)』ということです。

手形には約束手形の他、もう一つ、為替手形というものがあります。

【為替手形】


【補足】約束手形と為替手形について

約束手形と為替手形の違いですが、約束手形は代金支払人(=振出人)と受取人の2者間の取引ですが、為替手形は3者が登場します。

上述の為替手形で説明すると、ライオン商会が支払人、株式会社ドッグ運送が受取人ですが、もう1者、振出人(手形作成者)のゴリラ木材株式会社が登場します。

為替手形を用いた場合、振出人であるゴリラ木材がライオン商会とドッグ運送の両方と取引しています。ゴリラ木材は、ドッグ運送から商品を仕入れ、ライオン商会へ商品を販売しています。

従って、ゴリラ木材はドッグ運送に対する買掛金があり、ライオン商会に対する売掛金が存在しています。

ゴリラ木材はドッグ運送に代金を支払い、ライオン商会から代金を受け取ることになりますが、為替手形を振り出せば、ライオン商会は、ゴリラ木材にではなく、ドッグ運送に手形に記載された金額(5百万円)を支払ってくれます。

そしてこの支払いの結果、ゴリラ木材はライオン商会に対する買掛金5百万円が減少し、同様にドッグ運送に対する売掛金5百万円が減少することになります。


手形の取り扱い

手形を取り扱う場合にはいくつか知っておかないといけないことがあります。

1.記載事項
手形は手形法に基づいて作成されますが、上記サンプルのように必ず記載する事項があります。記載方法も定まっています。

2.当座預金の開設
手形を振り出すには、必ず銀行と取引して、当座預金の口座を開設しなければいけません。

3.手形帳
手形を振り出す(作成する、発行する)には、手形帳から作成します。手形帳は未記入の手形が束になったものです。サンプルには「AA135789」という手形番号が記載されていますが、手形帳の他の手形にも連番でこのような手形番号が印字されています。

4.印紙
10万円以上の手形には、印紙を貼る必要があります。この印紙代金は手形の作成者が負担します(小切手は現金の取り扱いであるので、印紙は必要ありません)。

5.手形の管理
手形を振り出すために手形帳の手形に必要事項を自署(または記名捺印)して、点線部分より切り離します。左側の白地の部分は「ミミ」と呼ばれ、控えになります。後で振り出した手形情報を確認できるように、ミミには必要な情報を記入しておきます。

6.手形の保管
手形は勝手に使用されると会社のお金の横領につながります。従って、手形帳や発行済みでまだ渡していない手形手は金庫などで厳重に施錠管理します。

7.支払のための呈示
手形を受け取った場合ですが、自社が取引している銀行に持っていき、見せれば(支払のための呈示(ていじ)といいます)、取引銀行が取り立ててくれます。

まとめ

今回は、手形の種類と取り扱いについて解説しました。今回は仕訳処理は登場しませんでしたが、受取手形、支払手形の取引について仕訳処理できるようになるために、実務上の取り扱いについてもイメージできるようにしておきましょう。


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