商業簿記入門その39~電子記録債権と電子記録債務の手続と仕訳処理(2級)

公開日:2017年11月25日

電子記録債権と電子記録債務の手続と仕訳処理

前回、「商業簿記入門その38~手形の更改・不渡りと仕訳処理」では手形の更改及び不渡りとその仕訳処理について解説しました。

今回は電子記録債権と電子記録債務の手続と仕訳処理について説明します。

※簿記2級の論点になります。


電子記録債権と電子記録債務とは

電子記録債権(でんしきろくさいけん)と電子記録債務(でんしきろくさいむ)とは、電子記録により発生する債権・債務であり、売掛金(買掛金)や受取手形(支払手形)と同様に商品仕入れや販売で取り扱われる、新しい債権債務を言います。

電子記録債権と電子記録債務の手続

電子記録債権と電子記録債務は「電子記録債権法(でんしきろくさいけんほう)」という法令に基き、電子債権記録機関(でんしさいけんきろくきかん)が記録します。

その電子債権記録機関である「でんさいネット(株式会社全銀電子債権ネットワーク)」が電子記録債権の仕組みについてPDFを公表しているので参考までに一部を掲載します。

電子記録債権と電子記録債務の特徴を、売掛金(買掛金)や受取手形(支払手形)と比較してまとめると①ペーパレス化(紙面ではなく電子記録) ②盗難や紛失の心配が極端に少なくなる ③印紙税が発生しない などを挙げることができます。

手続きですが、上述の図のように債務者(商品を仕入れた者)が「発生記録の請求(債務を電子記録するように請求すること)」を、取引銀行を通じて、でんさいネット(電子債権記録機関)に行います。債務者自身が発生記録の請求を行うため、この時点で債務者は電子記録債務が発生したことが分かります。

そして次に、でんさいネットは電子記録債権と電子記録債務の記録を行います。

最後に、でんさいネットが取引銀行を通じて、債権者(商品を販売した者)に対して発生記録の通知を行います。この時点で債権者は電子記録債権が発生したことを知ることができます。


電子記録債権と電子記録債務の仕訳処理

電子記録債権と電子記録債務に関連した取引は、「電子記録債権勘定(資産に属する勘定科目)」と「電子記録債務勘定(負債に属する勘定科目)」を使用して仕訳処理します。

具体的には、商品を仕入れた際に発生した買掛金について、債務者が発生記録を電子債権記録機関に請求し、発生記録が行われた場合には、買掛金から電子記録債務への振り替えが行われるため、借方に買掛金勘定を記入し、貸方に電子記録債務勘定を記入します。

次に商品を販売した側では、上述の発生記録が電子債権記録機関より通知された場合には、売掛金から電子記録債権への振り替えを行うため、借方に電子記録債権勘定を記入し、貸方に売掛金を記入します。

期日になり、金銭の授受(支払と受け取り)が行われた場合には、通常の売掛金買掛金と同様に仕訳処理します。

【補足】電子記録債権の譲渡について

手形と同様に電子記録債権も割り引きによる譲渡(売却)を行うことができます。

この場合、割引料(利息に相当)は、手形では手形売却損勘定で処理しましたが、電子記録債権では、「電子記録債権売却損勘定(費用に属する勘定科目)」で仕訳処理します。

出来事主体借方科目借方金額貸方科目貸方金額
発生記録(の請求)債務者買掛金×××電子記録債務×××
発生記録の通知債権者電子記録債権×××売掛金×××
代金の支払い債務者電子記録債務×××当座預金など×××
代金の回収債権者当座預金など×××電子記録債権×××
債権譲渡債権者当座預金など×××電子記録債権×××
電子記録債権売却損×××

仕訳例

1.A社はB社より商品30万円を仕入れた。代金は掛けとした。※A社とB社の仕訳をきりなさい。
2.A社は上記1.の債権を取引銀行を通じて、電子債権記録機関へ発生記録の請求を行い記録が行われた。
3.B社は上記2.の発生記録について、取引銀行を通じて電子債権記録機関の通知を受けた。
4.B社は上記3.の債権を譲渡するために、取引銀行を通じて電子債権記録機関へ譲渡記録を行った。代金は利息5,000円が差し引かれた残額が当座預金に振り込まれた。

No主体借方科目借方金額貸方科目貸方金額
1A社仕入300,000買掛金300,000
B社売掛金300,000売上300,000
2A社買掛金300,000電子記録債務300,000
3B社電子記録債権300,000売掛金300,000
4B社当座預金295,000電子記録債権300,000
電子記録債権売却損5,000

まとめ

今回は電子記録債権と電子記録債務の手続と仕訳処理について解説しました。見慣れない取引ですので、理解しながら覚えましょう。


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