日商簿記2級 販売のつど、売上原価勘定に振り替える方法による商品売買取引の仕訳
更新日:2021年1月4日
公開日:2017年12月17日
前回は、商品有高帳の記帳方法と先入先出法、移動平均法について解説しました。
今回は販売のつど、売上原価勘定に振り替える方法による商品売買取引の仕訳について解説します。
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- 販売のつど、売上原価勘定に振り替える方法による商品売買取引の仕訳 ←今回の解説
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販売のつど、売上原価を把握する方法とは
これまで学習した商品売買取引の仕訳処理には、3分法がありました。
3分法の特徴は「売上原価は仕入勘定を用いて計算する」です。
しかし3分法では「月次や決算の時点まで待たないと売上原価を把握することができない」というデメリットがあります。
「いつでも売上原価を把握できる」というわけではありません。
そこで、販売のつど、売上原価を把握する方法として、「売上原価勘定を用いて仕訳処理する方法」が今回解説する方法です。
販売のつど、売上原価を把握する方法の仕訳
「売上原価勘定(費用に属する勘定科目)」「商品勘定(資産に属する勘定科目)」「売上勘定(収益に属する勘定科目)」を用いて仕訳処理します。
※繰越商品勘定ではなく、商品勘定です。
具体的には、商品の仕入時には商品勘定を使用して仕訳します。
そして販売時には、商品の販売額を売上勘定に記入するとともに、販売した商品の仕入額は商品勘定から売上原価勘定に振り替えます。
各取引を集計する勘定科目についてまとめると次の通りです。
- ①商品と仕入取引:商品勘定
- ②売上原価の集計:売上原価勘定
- ③販売取引:売上勘定
出来事 | 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
---|---|---|---|---|
商品の仕入 | 商品 | ××× | 買掛金など | ××× |
商品の販売 | 売上 | ××× | 売上 | ××× |
売上原価 | ××× | 商品 | ××× |
仕訳例
- 1.A社はB社より商品100個を@2万円で仕入れた。支払は掛けとした。
- 2.A社はC社へ商品50個を@3万円で掛け販売した。販売商品の仕入単価はNo1と同様とする。
- 3.A社は決算を迎えた。
No1 | 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
---|---|---|---|---|
1 | 商品 | 2,000,000 | 買掛金 | 2,000,000 |
2 | 売掛金 | 1,500,000 | 売上 | 1,500,000 |
売上原価 | 1,000,000 | 商品 | 1,000,000 | |
3 | 仕訳なし |
【解説】
3分法では、繰越商品勘定と仕入勘定の間で、決算整理仕訳をきりますが、販売のつど売上原価勘定を用いて仕訳処理する方法では、決算整理仕訳はありません。
まとめ
今回は販売のつど、売上原価勘定に振り替える方法による商品売買取引の仕訳について解説しました。3分法との違いについて理解しながら仕訳を覚えましょう。
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