日商簿記2級 減価償却費の計算と仕訳|定率法(200%)と生産高比例法
更新日:2021年1月4日
公開日:2018年1月5日
前回は建設仮勘定の仕訳について解説しました。
今回は有形固定資産の減価償却費のうち、定率法(200%も)と生産高比例法の計算と仕訳について説明します。
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減価償却とは
土地以外の有形固定資産は、使用していくにつれて価値が減少していきます。
この価値の減少を一定のルールに基づいて有形固定資産の帳簿価額から差し引くための計算手続を「減価償却(げんかしょうきゃく)」といいます。
減価償却費の計算方法
減価償却費の計算方法には、「定額法」、「定率法(ていりつほう)」、「生産高比例法(せいさんだかひれいほう)」があります。
減価償却費の仕訳
定率法も生産高比例法も、減価償却費の仕訳は月割り計上も含めて定額法と同じです。詳細は下記の記事を参照。
定率法による減価償却の計算方法
定率法による減価償却の計算式は次の通り。
減価償却費(定率法) = 期首帳簿価額 × 償却率
期首帳簿価額は決算ごとに減価償却費が計上されるに従って、少なくなります。
従って、定率法の減価償却費は年々少なくなるのが特徴であり、毎年同じ金額を計上する定額法とは対照的です。
200%定率法と計算方法
「200%定率法(にひゃくぱーせんとていりつほう)」とは、償却率を通常の定額法による計算の2倍にして、減価償却費を定率法で計算する方法をいいます。
※「定額法による計算の2倍」です。「定率法による計算の2倍」ではありません。ご注意ください。
・定率法(200%定率法)の償却率 = 定額法の償却率 × 2
・定率法(200%定率法)の減価償却費 = 期首帳簿価額 × 償却率
※200%定率法は、定額法と定率法を併せたような減価償却方法です。償却率は定額法の償却率を2倍しますが、減価償却費の計算は「期首帳簿価額 × 償却率」であり、定率法と同じ方法で計算します。
【補足】250%定率法
200%定率法の他にも、「250%定率法」があります。定額法の償却率の2.5倍を用いて減価償却する方法であり、200%定率法とは倍率が異なります。
・定率法(250%定率法)の償却率 = 定額法の償却率 × 2.5
・定率法(250%定率法)の減価償却費 = 期首帳簿価額 × 償却率
生産高比例法
「生産高比例法(せいだんだかひれいほう)」とは、自動車や航空機、又は鉱山のように使用量や産出量が把握できるような固定資産に対して適用する減価償却方法です。
減価償却費の計算式は次の通りです。
生産高比例法の減価償却費 = ( 取得原価 - 残存価額 ) × 当期利用量 ÷ 総利用可能量
減価償却費は毎期の利用量に応じて増減することが特徴です。
仕訳例
- 1.A社は備品100万円を×1年4月1日に取得し、定率法(耐用年数8年 償却率0.313)により減価償却を行っている。①×2年3月31日 ②×3年3月31日の仕訳をそれぞれきりなさい。
- 2.上述1.にて、200%定率法を採用していた場合の仕訳を同じくきりなさい。
- 3.A社は自動車を×1年4月1日に取得し、生産高比例法(取得原価240万円 残存価額10% 総利用可能量120,000km)により減価償却を行っている。
- ×2年3月期の利用量は30,000kmであった。仕訳をきりなさい。
No | 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
---|---|---|---|---|
1① | 備品減価償却費 | 313,000 | 備品減価償却累計額 | 313,000 |
1② | 備品減価償却費 | 215,031 | 備品減価償却累計額 | 215,031 |
2① | 備品減価償却費 | 250,000 | 備品減価償却累計額 | 250,000 |
2② | 備品減価償却費 | 187,500 | 備品減価償却累計額 | 187,500 |
3 | 車両運搬具減価償却費 | 540,000 | 車両運搬具減価償却累計額 | 540,000 |
【解説】
No1 定率法
①×2年3月31日の減価償却費: 取得原価100万円 × 償却率0.313 = 313,000円
②×3年3月31日の減価償却費: 期首帳簿価額( 取得原価100万円 - 313,000円 ) × 償却率0.313 = 215,031円
No2 200%定率法
償却率: 1 ÷ 耐用年数8年 × 2 = 0.25
①×2年3月31日の減価償却費: 取得原価100万円 × 償却率0.25 = 250,000円
②×3年3月31日の減価償却費: 期首帳簿価額( 取得原価100万円 - 250,000円 ) × 償却率0.25 = 187,500円
No3 生産高比例法
×2年3月31日の減価償却費: ( 取得原価240万円 - 残存価額( 取得原価240万円 × 10% ) ) × 当期利用量30,000km ÷ 総利用可能量120,000km = 540,000円
まとめ
今回は、有形固定資産の減価償却の計算方法のうち、定率法(200%含む)と生産高比例法について解説しました。200%定率法を含めてそれぞれの計算式を覚え、あとは反復演習で計算に慣れましょう。
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