商業簿記入門その69~純資産(資本金と引出金)の仕訳処理(3級)

公開日:2018年3月21日

純資産(資本金と引出金)の仕訳処理(3級)

前回、「商業簿記入門その68~外貨建ての営業取引と仕訳処理(2級)」では、外貨建て取引のうち、営業取引の仕訳処理について解説しました。

今回は、純資産(資本金)の仕訳処理について説明します。

※純資産については「商業簿記入門その2~資産・負債・純資産と貸借対照表との関係(3級)」にて解説しています。よろしければご参考ください。


資本金とは

資本金(しほんきん)とは、出資者(株主)から預かったお金のことをいいます。

例えば、経営者がビジネスを始めるために会社を作ります。しかし、会社を作ってもビジネスを始めるには資金が必要です。

借入れという方法もありますが、作ったばかりの会社では信用がありません。従って借入によって資金を獲得することは難しいです。

そこで、経営者自身や親族、知人などが会社にお金を預けて、このお金を元手にしてビジネスに必要となるモノを購入したり人を雇います。

【補足】資本に関する用語の説明

※簿記3級の範囲ではありませんが、手続きや用語を理解すると仕訳処理を覚えやすくなります。

このお金を会社に預ける行為を「出資(しゅっし)」といいます。また会社にお金を預けた人のことを「出資者(しゅっししゃ)」といいます。特に株式会社の出資者のことを「株主(かぶぬし)」といいます。

出資者は会社の経営に参加する権利を有します。毎年6月下旬になると、上場企業の株主総会に関するニュースが報道されますが、株主は株主総会で会社の重要な経営に関する意思決定を行うのです。

その他、会社への出資はお金が普通ですが、モノ(備品や土地、有価証券、自動車など)を出資することもできます。これを「現物出資(現物出資)」といいます。

このように資本金は会社を始める際には重要な元手となります。

さらには資本金を担保とすれば、借入することも可能です。元手が増えるのでさらに大きなビジネスをすることができます。

その他のポイントとして、出資は会社を始めた時だけではなく、その後も会社は必要な時に出資者(株主)を募って出資を受けることができます。

資本(純資産)については「会計入門その17~ 純資産とは」以降で詳細に解説しています。ご興味ある方はご参考ください。


資本金の仕訳処理

資本金の増減取引には「資本金勘定(純資産に属する勘定科目)」を使用します。

具体的には経営者や出資する者から、会社が出資を受けた場合には、資本金が増加するため、貸方に資本金勘定を記入します。

※純資産に属する勘定科目は、増加は貸方、現象は借方に記入します。

次に資本が減少する場合ですが、簿記3級の範囲では、会社が個人経営であり、個人と会社が混在しているような状態が想定されるケースとして考えられます。

例えば、通帳は個人と会社と2つ持っていますが、個人のお金が足りないため、会社用の通帳から、お金を引き出すような場合です。

この例では、会社の仕訳としては、預金が減少するため貸方に普通預金勘定などを記入し、借方には資本金の減少として、資本金勘定を記入します。

このように個人経営者が会社の財産を自己消費のために減少させる行為を「(資本の)引き出し(ひきだし)」といいます。

引出金勘定と仕訳処理

引き出しが頻繁に行われる場合など、引き出した内容のみを把握したい場合には、「引出金勘定(資本金の控除科目)」を使用して仕訳処理する方法があります。

期中に引き出しを行った場合には、借方に資本金勘定ではなく、引出金勘定を記入します。

そして、期末の決算処理の際に、引出金勘定の残高を資本金に振り替える仕訳をきります。具体的には借方に資本金勘定、貸方に引出金勘定をそれぞれ記入します。

仕訳処理のまとめ

出来事借方科目借方金額貸方科目貸方金額
出資お金、モノ
の勘定科目
×××資本金×××
引き出し資本金勘定で処理資本金×××お金、モノ
の勘定科目
×××
引出金勘定
で処理
期中引出金×××お金、モノ
の勘定科目
×××
決算資本金×××引出金×××

仕訳例

【問題】
1.A社は会社立ち上げの際に、現金100万円と備品40万円、自動車60万円の出資を受けた。
2.A社の社長は、個人消費の目的で、現金10万円を引き出した(引出金勘定を使用して仕訳すること)。
3.A社の社長は、個人消費の目的で、備品5万円を引き出した(引出金勘定を使用して仕訳すること)。
4.決算日を迎えた。

【解答】

No借方科目借方金額貸方科目貸方金額
1現金1,000,000資本金2,000,000
備品400,000
車両運搬具600,000
2引出金100,000現金100,000
3引出金50,000備品50,000
4資本金150,000引出金150,000

まとめ

今回は純資産(資本金と引出金)とその仕訳処理について解説しました。資本という用語を理解して仕訳を覚えましょう。


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