商業簿記入門その78~役務収益と役務原価の認識と仕訳処理(2級)

公開日:2018年4月19日

役務収益と役務原価の認識と仕訳処理(2級)

前回、「商業簿記入門その77~売上収益の認識(引渡基準、出荷基準、検収基準)(2級)」では、売上収益の認識基準について解説しました。

今回は、役務収益と役務原価の認識基準とその仕訳処理について説明します。

※簿記2級の論点になります。


役務とは

役務(えきむ)とは、物販(モノの販売)と対になる会計用語で、「サービス」を意味する言葉です。

よく使われる言葉として「役務を提供する」がありますが、「サービスを提供する」を意味します。

「サービス業」という言葉がありますが、サービス業の会社はお客にモノを販売するのではなく、目に見えないサービスを提供することでお金を得る事業を営んでいます。

例えば鉄道会社は、鉄道という乗り物を使ってお客が目的地まで移動することを手伝うサービスを提供しています。その他、遊園地や映画館、物件の賃貸などが、役務提供する事業としてイメージしやすいでしょう。

役務の特徴

役務は目に見えないサービスであり、その量や大きさを図ることができません。

それではどのように役務を把握するかといいますと、「役務を提供した期間」で役務を把握します。

鉄道会社であれば、お客が電車に乗っている間が役務提供の期間になります。また、大家さんであれば、物件を貸している期間が役務提供の期間です。

役務収益と役務原価

役務収益(えきむしゅうえき)とは、サービス業で計上される売上のことをいいます。

役務原価(えきむげんか)とは、サービス業で計上される売上原価のことをいいます。

一般的には、サービス業務の役務収益も広く含めて「売上」という言葉が使われることも多いですが、役務収益という言葉が使われる場合には、サービス業に限定した収益を指し示していると考えておいて差し支えありません。


役務収益と役務原価の認識

役務収益と役務原価の認識(にんしき)とは、「どの時点で役務収益や役務原価を計上するか」ということを意味します。

商業簿記入門その77~売上収益の認識(引渡基準、出荷基準、検収基準)(2級)」では、引渡基準、出荷基準、検収基準を説明しましたが、これらは物販、すなわち、モノの販売( = 売上)に関する認識基準です。

これに対して、上述で説明した役務の特徴である「役務を提供した期間」に応じて役務収益や役務原価を計上することが、役務収益と役務原価の認識基準です。

役務収益と役務原価の仕訳処理

役務に関する取引には、「役務収益勘定(収益に属する勘定科目)」「役務原価勘定(費用に属する勘定科目)」「仕掛品勘定(資産に属する勘定科目)」を使用して仕訳処理します。

具体的には、役務を提供した場合には、役務収益勘定を貸方に記入し、借方は現金預金、売掛金などの勘定科目を記入します。

次に費用が発生した場合には、仕掛品勘定の借方に記入して、仕掛品勘定に原価を集計します。

そして、役務収益を計上する時点で、仕掛品勘定から役務原価勘定へ振り替えを行います。

まとめると次の通りです。

出来事借方科目借方金額貸方科目貸方金額
役務の提供現金預金、売掛金など×××役務収益×××
費用の計上仕掛品×××現金預金、買掛金など×××
原価の振り替え
※役務の提供時
役務原価×××仕掛品×××

仕訳例

A社はサービス業を営んでおり、広告したい会社に対して、A社が所有するWEB上の広告スペースを提供している。次の取引について、仕訳をきりなさい。

1.A社はゲーム企画・販売会社であるB社より、3D〇用のあるシミュレーションゲームを販売するために、1ヶ月間のキャンペーン期間に限定して、B社専用のWEBサイトを広告用に公開したいとの依頼があった。そこで、A社は外部業者にB社専用のWEB制作を依頼しWEBサイトが完成したため公開した。なお、当該WEBサイトの制作費用は100万円であり、3か月後に支払い予定である。

2.キャンペーン期間が終了したため、A社はB社に対して広告料金150万円を請求した。

No借方科目借方金額貸方科目貸方金額
1仕掛品1,000,000買掛金1,000,000
2売掛金1,500,000役務収益1,500,000
役務原価1,000,000仕掛品1,000,000

まとめ

今回は役務収益と役務原価の認識および仕訳処理について解説しました。具体的なケースをイメージして覚えましょう。


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