日商簿記3級 収益・費用の繰延べ・見越し(経過勘定)と仕訳

更新日:2021年1月16日
公開日:2018年4月21日

前回は、合計残高試算表の作成について解説しました。

今回は、収益・費用の繰延べ・見越し(経過勘定)と仕訳について説明します。

繰延べとは

繰延べ(くりのべ)とは、計上した収益や費用を、期間に応じて当期と次期以降に配分する仕訳により、次期以降の収益や費用にすることをいいます。

例えば、「当期に受け取った家賃収入であるが次期以降の家賃である場合」や、「借入金の利息を支払ったが次期以降の利息を前払いしている場合」などが繰延べに該当します。

繰延べの「延」は「延長する」の「延」です。ここから、「収益や費用を次期以降に延期する」といったイメージで覚えると覚えやすいでしょう。

見越しとは

見越し(みこし)とは、当期の収益や費用であるが、次期以降にお金などを受け取る、または支払うため、収益や費用として計上されていない場合に、当期の収益や費用にすることをいいます。

例えば、「次期に受け取る家賃収入であるが当期分の家賃である場合」や、「当期に計上する借入金利息の支払いが次期以降である場合」などが見越しに該当します。

見越しとは「将来を見通すこと」や「予測」という意味があります。ここから、「予測 = 事前に前もって計上する」といったイメージで覚えると覚えやすいでしょう。

繰延べや見越しの対象になる取引

繰延べや見越しの対象になる取引は、「企業会計原則」という会計ルールに記載があり、「一定の契約に従って、継続した役務の提供や役務の享受」が対象になります。

役務(えきむ)」とはサービスを意味し、「享受(きょうじゅ)」とは受け取りを意味します。

一定の契約に従って」とは、「契約の締結時に役務の提供期間を決めている」と考えておけば差し支えありません。

繰延べと見越しの仕訳

決算時の決算整理仕訳」として仕訳します。

※実務では毎月仕訳を切る場合もあります。

繰延べの仕訳

繰延べを行う場合には、「前受〇〇勘定(負債に属する勘定科目)」「前払〇〇勘定(資産に属する勘定科目)」を使用して仕訳処理します。

〇〇の部分はサービスの内容によって異なります。例えば、家賃の前受けであれば、「前受家賃」、保険料の前払いであれば、「前払保険料」といった勘定科目を使用します。

前受〇〇勘定の総称を「前受収益勘定(負債に属する勘定科目)」、前払〇〇勘定の総称を「前払費用勘定(資産に属する勘定科目)」といいます。

具体的な仕訳を収益の繰延べで説明します。例えば、6か月分の家賃を受け取り、うち2ヵ月分は次期の収益である場合を考えます。

6ヵ月分の家賃を受け取った場合には、6ヵ月分の金額で借方に現金預金、未収入金などの勘定科目、貸方には受取家賃勘定を記入しています。

そこで2ヵ月分を次期に繰延べるために、借方に受取家賃勘定を記入し、貸方に前受家賃勘定を記入します。

この仕訳の結果、当期には4ヵ月分の受取家賃が計上された状態になります。

費用の繰延べの場合も、同様に考えますが、貸借の記入が収益とは反対になります。「費用を次期以降に繰延べる = 当期の費用を減少させる」ので、借方に前払〇〇(前払保険料勘定など)を記入し、貸方に費用の勘定科目(保険料勘定など)を記入して仕訳します。

出来事借方科目借方金額貸方科目貸方金額
収益の繰延べ収益の勘定科目×××前受〇〇×××
費用の繰延べ前払〇〇×××費用の勘定科目×××

見越しの仕訳

見越しを行う場合には、「未収〇〇勘定(資産に属する勘定科目)」「未払〇〇勘定(負債に属する勘定科目)」を使用して仕訳します。

〇〇の部分はサービスの内容によって異なります。例えば、手数料の未収であれば、「未収手数料」、利息の未払いであれば、「未払利息」といった勘定科目を使用します。

未収〇〇勘定の総称を「未収収益勘定(資産に属する勘定科目)」、未払〇〇勘定の総称を「未払費用勘定(負債に属する勘定科目)」といいます。

具体的な仕訳を費用の見越しで説明します。例えば、6か月分の利息を次期に支払いますが、うち2ヵ月分は当期の費用である場合を考えます。

6ヵ月分の利息は次期に支払うため、当期にはこの取引については仕訳していません。

そこで2ヵ月分の利息を当期に見越すために、借方に支払利息勘定を記入し、貸方に未払利息勘定を記入します。

この仕訳の結果、当期には2ヵ月分の支払利息が計上された状態になります。

収益の見越しの場合も同様に考えますが、貸借の記入が費用とは反対になります。「収益を当期に見越す = 当期の収益として計上する」ので、借方に収益の勘定科目(受取手数料勘定など)を記入し、貸方に未収〇〇(未収手数料勘定など)を記入して仕訳処理します。

出来事借方科目借方金額貸方科目貸方金額
収益の見越し未収〇〇×××収益の勘定科目×××
費用の見越し費用の勘定科目×××未払〇〇×××

経過勘定項目

上述の「前受〇〇」「前払〇〇」「未収〇〇」「未払〇〇」の4種類の勘定科目のことを「経過勘定項目(けいかかんじょうこうもく)」といいます。

経過勘定項目(勘定科目)のまとめ

下記に主な経過勘定項目をまとめました。

取引繰延べor
見越し
収益or
費用
費用or収益科目繰延べor見越し科目
家賃繰延べ収益受取家賃前受家賃
費用支払家賃前払家賃
見越し収益受取家賃未収家賃
費用支払家賃未払家賃
地代繰延べ収益受取地代前受地代
費用支払地代前払地代
見越し収益受取地代未収地代
費用支払地代未払地代
保険料繰延べ費用保険料前払保険料
見越し未払保険料
利息繰延べ収益受取利息前受利息
費用支払利息前払利息
見越し収益受取利息未収利息
費用支払利息未払利息
手数料繰延べ収益受取手数料前受手数料
費用支払手数料前払手数料
見越し収益受取手数料未収手数料
費用支払手数料未払手数料

仕訳例

次の取引は、A社の×1年4月1日から×2年3月31日を当期とする取引である。×2年3月31日の繰延べと見越しに関する決算整理仕訳を示しなさい。

  • 1.B社と建物を継続して借りる契約を締結している。×2年1月1日、向こう半年分の家賃300万円を支払った。
  • 2.C社へ100万円を貸しており、年率6%の利息で5年後に返済される契約を締結している。利息は毎年5月31日に前年6月1日~当年5月31日までの期間の利息が当座預金に振り込まれる。
  • 3.D社へ土地を継続して貸す契約を締結している。×2年2月1日に半年分の地代600万円を先払いで受け取ることになっている。
  • 4.E社と火災保険契約を締結しており、毎年4月30日に前年5月1日から当年4月30日までの保険料36万円を支払う契約になっている。
No借方科目借方金額貸方科目貸方金額
1前払家賃1,500,000支払家賃1,500,000
2未収利息50,000受取利息50,000
3受取地代4,000,000前受地代4,000,000
4保険料330,000未払保険料330,000

<解説>問題2について
次期×2年5月31日に受け取る利息額(×1年6月1日~×2年5月31日):貸付金100万円 × 6% = 6万円

うち、当期の期間:×1年6月1日から×2年3月31日の10ヶ月分。

当期の未収利息:6万円 × (10ヶ月/12ヶ月) = 5万円

まとめ

今回は収益・費用の繰延べ・見越しとその仕訳について解説しました。仕訳例の取引はあえて難しくしています。暗記に頼らずに繰延べと見越しを理解するようにしましょう。

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