商業簿記入門その97~株式会社の設立と開業の仕訳処理(2級)

更新日:2018年4月26日 公開日:2018年4月25日

株式会社の設立時と開業の仕訳処理(2級)

前回、「商業簿記入門その96~株式発行に関する用語と手続き(2級)」では、株式発行に関する用語と会社法の手続きについて解説しました。

今回は、株式会社の設立時や開業前の仕訳処理を解説します。

※簿記2級の論点になります。

※株式会社や会社法の概要は「商業簿記入門その95~株式会社と会社法(総論)(2級)」をご参照ください。

※株式発行の用語や会社法の手続きについては「商業簿記入門その96~株式発行に関する用語と手続き(2級)」をご参照ください。


株式会社の設立時の取引

設立時の取引としては、「株式の発行」と「設立のために要する費用の発生」を挙げることができます。

設立時の株式発行の仕訳処理

設立時の株式発行に関する取引については、「資本金勘定(純資産に属する勘定科目)」「資本準備金勘定(純資産に属する勘定科目)」および当座預金勘定を使用して仕訳処理します。

具体的には株式の払い込み金額を発行株式数と発行価額から計算します。次に問題の指示に従って、払込金額のうち資本金と資本準備金に組み入れる金額を計算し、貸方に資本金勘定と資本準備勘定を使って記入します。借方には当座預金勘定などを記入します。

設立のために要する費用の発生に関する仕訳処理

設立のために要する支出には、例えば、定款の作成費用や株式発行費用、登記のための費用などがあります。

これらの取引で発生した費用は、「創立費勘定(費用に属する勘定科目)」を使用して仕訳処理します。

具体的には、借方に創立費勘定を記入し、貸方に現金預金などの勘定科目を記入して仕訳します。

設立時の仕訳処理(まとめ)

商業簿記入門その96~株式発行に関する用語と手続き(2級)」にて解説した会社法の手続きと併せて、仕訳処理のまとめを掲載します。

項目手続き
設立時に発行する株式数発行可能株式総数の4分の1以上の株式を発行しなければならない。
資本準備金に組み入れ可能な金額株式発行の払込金額の2分の1までを、資本金とはせずに資本準備金とすることができる。
出来事借方科目借方金額貸方科目貸方金額
設立時の株式発行当座預金×××資本金×××
資本準備金×××
設立に要する費用の発生創立費×××現金預金など×××

株式会社の開業時の取引

開業(かいぎょう)とは、簡単に言えば事業をはじめること(営業を開始すること)をいいます。

定款の作成や登記手続きを行い、また株式発行もして、株式会社というハコは作成することができました。

しかし、この段階では、実際の事業を始めるには準備が不足しています。

例えば、仕事場所であるオフィスの準備や名刺、ハンコの作成、広告宣伝の準備などが挙げられます。

開業時の仕訳処理

このような営業を開始するまでに要した支出に関する取引は、「開業費勘定(費用に属する勘定科目)」を使用して仕訳処理します。

具体的には、借方に開業費勘定を記入し、貸方に現金預金などの勘定科目を記入して仕訳します。

開業時の仕訳処理(まとめ)

仕訳処理をまとめると次の通りになります。

出来事借方科目借方金額貸方科目貸方金額
開業に要する費用の発生開業費×××現金預金など×××

仕訳例

1.A社は株式会社の設立に際して、発行可能株式総数1万株に対して3,000株を発行価額2,000千円で発行し、全額申込があり、払込金は当座預金に預け入れた。なお、株式発行の際に株券印刷代金10万円は現金で支払った。

2.B社は株式会社の設立に際して、発行価額1,000円で株式発行を行い、全額の払い込みを受けて当座預金に預け入れた。株式発行に関するその他の情報は次の通りである。
(1)設立時に作成された定款には、発行可能株式総数は2万株と記載されており、会社法に定められる最低限の株式数を発行した。
(2)払込金のうち、会社法に定められた最低額を資本金に組み入れる。

3.C社は設立したばかりの会社である。営業を開始する前の支出として、名刺やハンコの作成代金や広告宣伝費に合計20万円かかり、C社を振出人とする小切手を振り出して支払った。

No借方科目借方金額貸方科目貸方金額
1当座預金6,000,000資本金6,000,000
創業費100,000現金100,000
2当座預金5,000,000資本金2,500,000
資本準備金2,500,000
3開業費200,000当座預金200,000

【解説】
1.資本金への組み入れ額について指定はないため、原則の「全額を資本金に組み入れる」と推測して仕訳処理します。

2.設立時には発行可能株式総数の4分の1以上を発行しなければなりません。2万株の4分の1である5千株が発行株式数になります。

まとめ

今回は設立時と開業時の仕訳処理について解説しました。資本金組み入れ額の計算は必ず覚えておきましょう。


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