個人事業主が開業前支出を費用として所得税確定申告する方法(範囲と仕訳)

個人事業主・フリー

更新日:
公開日:

個人事業主の開業費の処理

個人事業主として事業を開始するためには開業手続きを行う必要があります。

具体的には開業届けを税務署に届け出ることで事業開始の日付を定めます。

しかし、開業する前の準備のために、広告宣伝や市場調査、事業免許の取得などの行為を行った結果、支出が発生する場合があります。

このページでは、個人事業主やフリーランスが、このような支出について開業後の所得税確定申告時に費用とする方法について、根拠となる税法やリンクも掲載しながらコメントします。

開業費とは

「開業前の事業準備のために支出した費用」のことを所得税法では「開業費」といいます。

開業費は、所得税法の用語でいう「繰延資産」の種類の1つです。

そして、開業費は所得税法上、個人事業主・フリーランスの確定申告上、費用としての計上が認められています。

以下、開業費の定義と費用として認められる範囲などについて、所得税法を引用しながらコメントします。

繰延資産と開業費の定義

最初に繰延資産と開業費の定義です。所得税法を平易な日本語に置き換えました(以下、同様)。

開業費とは、今後の事業活動のために開業前に予め準備しておくために支出した費用です。

今後の事業活動の準備のための支出であることから、当然、その効果は開業日以降に及びます。従って、開業費は繰延資産です。

開業費の所得税法上の計上方法

次に開業費の所得税法上の必要経費としての計上方法についてです。

開業費は、事業開始の年に全額を費用として計上することはできず、支出額を60で除し、年の経過月数を乗じて計算した金額を計上します。

例えば、開業費として120を支出し、10月1日に事業開始した場合、第1期は、「120÷60カ月×3カ月(10月~12月)=6」を費用として、所得税確定申告書に計上できます。

なお、開業費の償却方法は「任意償却」が認められています。

具体的には、開業費の償却額として費用計上する金額は、未償却残高の範囲内でいつでも費用計上できるとされています。

最後に4.ですが、取得価額が10万円以上の減価償却資産(建物、備品、機械設備、車両運搬具など)で使用可能期間が1年以上のものは開業費には含めず、固定資産として所得税法上、取り扱います。

理由は、減価償却の対象となる資産は、所得税法上、定めがあり、開業費とは異なる償却期間(耐用年数)が定められているため、固定資産として処理する必要があるからです。

開業費の範囲と仕訳処理

次に、より実務に近いポイントとして、開業費として計上できる範囲と仕訳処理についてコメントします。

開業費の範囲

上述の定義の通り開業費とは、今後の事業活動のために開業前に予め準備しておくために支出した費用のうち、その効果が支出日以後一年以上に及ぶものです。

基本的にはこの定義に該当する支出であれば、開業費になります。

ただし、上述の通り、固定資産は開業費には含めません。

また、仕入商品や製造製品、材料などの棚卸資産も開業費にはなりません。

これは、棚卸資産は開業費の性質である「その効果が支出日以後一年以上に及ぶ」という説明には該当しないからと考えることができます。

棚卸資産は販売時に売上原価になるので、ある期間中効果が及ぶという性質は持っていません。

最後に代表的な開業費の取引を列挙すると次の通りです。

開業費の仕訳処理

開業時には、借方に「開業費(資産の勘定科目)」、貸方に元入金として仕訳処理します。

償却時には、借方に。「開業費償却(費用の勘定科目)」、貸方に開業費を記入して仕訳します。

出来事借方科目借方金額貸方科目貸方金額
開業開業費×××元入金×××
開業費の償却開業費償却×××開業費×××

前の記事 | 次の記事