個人事業主の開業届け手続き | 他の書類もまとめて解説

個人事業主・フリー

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個人事業主の開業手続

個人事業主として開業するためには、法人ほど厳格な手続きは必要ありません。

しかし、税務や社会保険に関する所定の手続きは存在します。

ビジネスの最初のステップであり、誰もが「つまずきたくない」と思うことでしょう。

また、「面倒な手続きは早く終わらせてビジネスに専念したい」という気持ちも同時に抱きます。

そこで、このページでは、個人事業主やフリーランスが開業のために必要な手続きや書類を解説するとともに、開業手続きに便利なWEBサービスをご紹介します。

個人事業主・フリーランスの開業手続きと書類一覧

始めに個人事業主・フリーランスが開業に必要とする主な手続きについて、書類、期限などを一覧にしました。

※各種類・手続のリンクをクリックすると下記の各手続きの説明へ移動します。

種類手続対象書類名提出先期限
1.所得税(1)開業届全員個人事業の開業届出書納税地の所轄税務署長事業開始日から1か月以内
(2)青色申告青色申告する方所得税の青色申告承認申請書事業開始日から2か月以内
(3)青色専従者給与青色専従者給与を必要経費に算入したい方青色事業専従者給与に関する届出書必要経費に算入する年の3月15日まで
(4)棚卸資産評価評価方法を選択したい方所得税の棚卸資産の評価方法の届出書開業した日の属する年分の確定申告期限まで
(5)減価償却方法償却方法を選択したい方所得税の減価償却資産の償却方法の届出書開業した日の属する年分の確定申告期限まで
2.源泉所得税(1)給与支払従業員を雇用する方給与支払事務所等の開設届出書給与支払事務所等の所在地の所轄税務署事務所等の開設日から1か月以内
(2)預り源泉税の納付時期納付を年2回にしたい方源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書提出した日の翌月に支払う給与等から適用
3.消費税(1)消費税の適用消費税を適用する方消費税課税事業者選択届出書納税地を所轄する税務署長原則として開業日を含む年の12月31日まで
(2)簡易課税制度簡易課税制度を適用する方消費税簡易課税制度選択届出書納税地を所轄する税務署長原則として開業日を含む年の12月31日まで
4.地方税開業届原則として全員各都道府県により異なる各都道府県税事務所下記の詳細を参照
5.社会保険各種手続従業員を雇用する方・労災保険と雇用保険は強制加入:労災保険は労働基準監督署、雇用保険はハローワーク(公共職業安定所)が窓口。
・常時5名以上の従業員雇用の場合には、社会保険は強制加入。年金事務所で手続が必要

※開業手続きの詳細を知りたいという方は

所得税、源泉所得税、消費税、地方税、社会保険に関する開業手続きの詳細を知りたい方は、下記のリンクをご参照ください。

※地方税(事業税)は東京都を例としてリンクを掲載しました。詳細は道府県の所管ページを「道府県名 個人事業 事業税 届出」などで検索してください。

※簡単に開業手続きを済ませたい方は

もし時間をかけずに開業手続きを行いたい場合には、「開業freee」がおススメです。

「開業freee」は主な開業書類の作成が簡単にWEB上で行える無料サービスです。

※このページの最後にご紹介しています。

1.所得税に関する開業手続

法人のメインとなる税が法人税であれば、個人事業を行う場合の主な税は所得税になります。

個人事業に係る所得税は、原則1月1日から12月31日の1年(暦年)を課税期間とし、この課税期間中の事業所得から計算します。

個人事業主・フリーランスが開業した場合に行う所得税の手続きは次の通りです。

(1)開業届(所得税)

「開業freee」対応書類

個人事業主・フリーランスが開業する場合には、必ず届け出る必要があります。

具体的には開業日や事業の概要、給与等の支払いの状況といった開業の概要だけでなく、屋号を記入する欄もあります。また、青色申告や消費税適用の有無を選択する欄があります。

※給与等の支払の状況に記入すれば、後述の「給与支払事務所等の開設届出書」は提出不要とされています。

国税庁の該当ページには、書類フォーマットとともに「書き方」もファイル添付されているため、この書き方を参考にしながらフォーマットに記入します。

(2)青色申告

「開業freee」対応書類

確定申告書の申告方法には白色申告と青色申告があります。

青色申告を選択する場合には、「所得税の青色申告承認申請書」を提出する必要があります。

青色申告には65万円の特別控除が受けられるなどメリットが多く、開業届と同時に提出する個人事業主も多いでしょう。

青色申告のメリットや開業時の手続きなど、詳細はこちらで解説しています。

(3)青色専従者給与

「開業freee」対応書類

生計を一にしている配偶者やその他の親族が、個人事業主・フリーランスの事業に従事している場合には、一定の要件を満たせばその支払給与が必要経費として認められる、という制度があります。

この場合の「個人事業主・フリーランスの事業に従事し、生計を一にしている配偶者やその他の親族」のことを「専従者(せんじゅうしゃ)」といいます。

専従者給与のうち、必要経費として認められるための要件やその金額については、青色申告と白色申告とで異なりますが、青色申告の方が有利です。

青色専従者給与として必要経費として認めてもらうには、青色事業専従者給与額を必要経費に算入しようとする年の3月15日まで(その年の1月16日以後に開業した人や新たに専従者がいることとなった人は、その開業の日や専従者がいることとなった日から2月以内)に「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出する必要があります。

※青色専従者として認められた場合には、支払給与額が必要経費として認められますが、デメリットとして扶養控除など所得控除の対象外となってしまいますので、慎重な検討が必要になります。

(4)棚卸資産評価

商品・製品や製品を作るための材料など、棚卸資産を保有するような事業を営む個人事業主・フリーランスは、経理処理をする際に在庫となる棚卸資産の金額を決める必要があります。

棚卸資産は「単価×数量」で金額が決まります。数量はカウントすればわかりますが、仕入と販売(払い出し)を繰り返す場合には、仕入毎に単価が変わるため、在庫金額を決める際にはその単価の計算方法を決めておかなければなりません。

「先入先出法」「総平均法」など、評価方法を選択したい場合には、開業した日の属する年分の確定申告期限までに「所得税の棚卸資産の評価方法の届出書」を提出する必要があります。

※仮に提出しない場合には、棚卸資産の評価方法は「最終仕入原価法」が適用されます。

(5)減価償却方法

例えば、開業した年に機械設備や車両運搬具などの減価償却の対象となる資産を取得する場合には、経理処理として減価償却を行う必要があります。

これらの資産は長期間に渡って使用されるため、取得した時点で全て経費となるのではなく、決まった方法(減価償却方法)で毎年一定の額を経費としていきます。

代表的な減価償却方法には「定額法」と「定率法」がありますが、もし「定率法」を選択したい場合には、開業した日の属する年分の確定申告期限までに「所得税の減価償却資産の償却方法の届出書」を提出する必要があります。

※仮に提出しない場合には、「定額法」が適用されます。

2.源泉所得税に関する開業手続

個人事業主・フリーランスが専従者や従業員を雇用した際に給料を支払った場合には、支払の都度、所得税や復興特別所得税を給料から差し引いて預かっておく必要があります。

そして、給料支払の月の翌月10日までに、預かった金額を従業員に代わって国に納める必要があります。

この従業員から預かった所得税や復興特別所得税のことを「源泉所得税」といいます。

源泉所得税の預かりは、従業員だけでなく、税理士や弁護士などに支払う報酬もその対象となります。

(1)給与支払

「開業freee」対応書類

開業した年に専従者や従業員を雇用し、給与を支払うことになった場合には、給与等の支払事務を取り扱う事務所等を開設した日から1か月以内に「給与支払事務所等の開設届出書」を提出しなければなりません。

※但し、上述の「個人事業の開業届出書」に給与等の支払の状況を記入して提出済みの場合には、「給与支払事務所等の開設届出書」は提出する必要はありません。

(2)預り源泉税の納付時期

「開業freee」対応書類

上述の通り、源泉所得税は給与を支払った月の翌月10日までに納付しなければなりません。

しかし毎月の事務処理は煩雑であることから、特例として、納期を毎月ではなく年2回(7月10日と1月10日)にできる制度があります。

※給与の支給人員が常時10人未満であることが条件となっています。

この特例を適用したい場合には、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出します(原則、提出日の翌月に支払う給与等から適用されます)。

3.消費税に関する開業手続

消費税とは、物品やサービスの消費に対して、広く公平に負担を求める間接税です。

消費税の特徴の一つとして、「多段階課税」があります。「多段階課税」とは、最初の生産者と最終の消費者の2者だけでなく、その間に介在する卸や小売業者も含めて、取引の都度、段階的に消費税の預かり(支払い)が行われるような課税方法をいいます。

具体的には消費税の課税対象となる物品やサービスを購入した場合には、消費税を支払い、逆に販売した場合には消費税を預かります。

そして、消費税の課税事業者となった個人事業主・フリーランスは毎年の売上に係る消費税額から、仕入税額控除などを計算して差し引いた金額を翌年の3月末日までに国に納めます。

(1)消費税の適用

ほとんどの個人事業主・フリーランスは開業した年は免税事業者、すなわち消費税は納付しなくてもよい事業者です。

※免税事業者 or 課税事業者の判定には様々な判定のための要件(条件分岐)が存在しますが、原則として、第1期(開業した年)と第2期は免税事業者に該当します。

しかし消費税を払わずに済むというメリットだけではありません。免税事業者の場合には、たとえ売上に係る消費税額よりも仕入税額控除額が大きい場合であっても、消費税の還付(かんぷ。消費税を多く払いすぎているため、過払分を国から払い戻してもらうこと)を受けることも同時にできなくなってしまいます。

開業した年に仕入が多い場合や、海外輸出を行う事業を営む場合には、消費税の還付を受けられる可能性があります。

この場合には、納税義務の免除の規定の適用を受けない(すなわち、課税事業者となる)手続きとして、開業日を含む課税期間中(通常は12月31日まで)に「消費税課税事業者選択届出書」を提出します。

(2)簡易課税制度

もし開業した年に消費税の課税事業者になった場合には、消費税の申告書を作成しなければなりません。

しかし、小規模事業者の場合には事務処理コストの負担が大きくなる可能性があります。

そこで、「簡易課税制度」という、原則的な手続きよりも簡易な手続きを選択することができます。

「簡易課税制度」を選択したい場合には、開業日を含む課税期間中(通常は12月31日まで)に「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出します。

※たとえ簡易課税制度選択届出書を提出している場合であっても、基準期間の課税売上高が5,000万円を超えるなど、一定の条件に当てはまる場合には、その課税期間は、簡易課税制度は適用されません。詳細は下記リンクをご参照ください。

4.地方税に関する開業手続

地方税に関する開業手続きとは、地方税のうち、事業税に関する手続きのことをいいます。

例えば東京都内で個人事業主・フリーランスが事業を始めた場合には、事業の開始の日から15日以内に、「事業開始等申告書」を所管となる都税事務所に提出するものとしています。

根拠となる条文は、「東京都都税条例」の第26条です。

(東京都都税条例)
「(事業開始等の申告義務) 第二十六条 事業税の納税義務者は、事業を開始し、又は事務所若しくは事業所を設けた場合においては、その事業を開始し、又は事務所若しくは事業所を設けた日から十五日以内に次に掲げる事項を知事に申告しなければならない。・・・(以下略)」

東京都を事例とした参考として、東京都主税局のリンクを掲載します。

他の道府県でも「道府県名 個人事業 事業税 届出」などで検索すれば所管となるページにアクセスできるでしょう(2,3の道府県名で確認しましたが、問題なく所管のページにアクセスできました)。

以上が地方税に関する開業手続きの概要となりますが、「freee」の関連ページによると、罰則が特に定められておらず、また、所得税の確定申告をすれば、都道府県に自動的に通知がいくため、事業税の開業届を提出しない方もいるようです(下記にリンクを掲載します)。

5.社会保険に関する開業手続

従業員を雇う場合には、社会保険に加入しますが、社会保険の種類によって加入有無が異なります。

まず、労災保険と雇用保険は強制加入となります。

労災保険は、保険関係成立日(従業員を雇用した日)の翌日から10日以内に「保険関係成立届」を、50日以内に「概算保険料申告書」をそれぞれ所轄の労働基準監督署(都道府県労働局などでも可)に提出します。

次に雇用保険ですが、「保険関係成立届」を提出した後に、「雇用保険適用事業所設置届」を事業所設置日(保険関係成立日と同じ)の翌日から10日以内に、「雇用保険被保険者資格取得届」を資格取得日(給料発生日。通常は入社日)の翌月10日までに、それぞれハローワーク(公共職業安定所)に提出します。

以上が必ず加入する社会保険です。次に健康保険と厚生年金保険を説明します。

これらの社会保険は必ずではなく、「従業員が常時5人以上いる(ただし一定の業種は除く)」など、ある条件に当てはまった場合には強制加入となります。また、任意で加入することも可能です。

加入する場合には、年金事務所(以前は社会保険事務所)で手続きを行うことになります。

「開業freee」のご紹介

以上、個人事業主やフリーランスの開業手続書類についてコメントしました。

私も初めて開業手続書類を調べた時には、その種類の多さに驚きましたが、専従者や従業員がいる場合や、仕入税額控除の還付が見込める場合はとにかく、ほとんどの方は数種類の書類だけで開業手続は完了します。

「開業freee」であれば、ほとんどの開業手続きの書類を作成できます。

また、書類も「各ページからPDFをダウンロードして印刷し、氏名や住所など同じ項目を何度も記入し、添付の書き方ファイルを見ながら作成」といった面倒な作業はしなくとも、無料クラウドソフトの「開業freee」を使えば、スマートフォンからでも簡単に開業書類が作成できてしまいます。

登録も簡単で、すぐに開業書類の作成を始められます。

登録の方法は下記のページにて説明しました。

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