個人事業主の確定申告入門~預金口座への預け入れや引き出し等の仕訳

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預金口座への預け入れや引き出し等の仕訳

今回は、事業用の口座と家庭用の口座との預け入れや引き出し等の仕訳を中心に解説します。

取引例

  • 1.事業用の普通預金口座として家庭用の預金口座を事業用専用として使用することにした。この預金口座の残高は50万円である。
  • 2.事業用の普通預金口座へ家庭より現金5万円を預け入れた。
  • 3.家庭用の預金口座より現金1万円を引き出し、直ちに事業用の預金口座へ預け入れた。
  • 4.事業用の普通預金口座から生活費として家庭用の預金口座へ30万円を振り込んだ。その際に支払手数料が216円かかった。
  • 5.事業用の普通預金口座から購入した商品15万円の支払いを行った。その際に支払手数料540円がかかった。

仕訳

  • 1.普通預金 500,000 / 事業主借 500,000
  • 2.現金 10,000 / 事業主借 10,000
  • 3.普通預金 10,000 / 事業主借 10,000
  • 4.事業主貸 100,216 / 普通預金 100,216
  • 5.買掛金 150,000 / 普通預金 150,540
  • 支払手数料 540 /

解説

以下、解説です。

1.預金口座への預け入れと引き出し

個人事業主は、事業を行うために預金口座の預け入れや引き出し(振り込み)を行います。

最も使用されるのは普通預金口座でしょう。

事業用の普通預金口座へ預け入れ、又は口座から引き出しや振り込みを行う場合には、普通預金勘定を使用します。

2.家庭用の預金口座への預け入れと引き出し

家庭用の預金口座へお金を預け入れや引き出し、振り込みを行った場合には、普通預金勘定は使用せずに「事業主貸勘定」や「事業主借勘定」を使用します。

なぜならば、家庭用の預金口座は、事業では使用しないため、普通預金勘定を使用してしまうと、家庭の取引と事業の取引が一緒になってしまうからです。

即ち、青色申告のための仕訳は、事業の取引についてのみ記帳しなければいけない、ということです。

もちろん、取引例のうち、「家庭用の預金口座へお金を振り込む」「家庭用の現金として使用する」「家庭用の預金口座からお金を預ける」といったように家庭の取引が含まれてしまう場合があります。

そのような場合には、「家庭の個人事業主」との取引とみなして、家庭との取引を他の取引先と同じように考えて仕訳します。

ただし、他の取引先と異なるのは、他の取引先とのお金のやり取りで債権債務が発生した場合には「売掛金」「買掛金」「未収入金」「未払金」といった勘定科目を使用しますが、家庭との取引で債権債務が発生した場合には「事業主貸」「事業主借」という勘定科目を使用する、ということです。

借方では「事業主貸」を記入し、貸方では「事業主借」と記入します。

それぞれ、家庭に対する債権と債務を表しています。

3.銀行手数料

預金口座の預け入れや引き出し、振り込みなどの取引において、銀行手数料が発生した場合には、「支払手数料勘定」を使用します。

個人事業主が銀行手数料を負担する場合には、「支払手数料勘定」を使用して経費計上します。

なお、家庭との取引において、支払手数料が発生する場合には支払手数料ではなく、「事業主貸勘定」を使用するのが正しい記帳と考えます。

なぜならば、事業と家庭との取引は、他の取引と異なり、純粋な事業としての取引ではないからです。

または、事業用の預金口座から家庭用の預金口座へ振り込む場合には、支払手数料は家庭用の預金口座が負担するように手続きすることが望ましいと考えることもできます。

4.事業用の預金口座

事業用の預金口座は、家庭との取引と区別するためにも作ることが望ましいです。

しかし、使用していた家庭用の預金口座を事業用にしてしまっても構わないでしょう。

この場合には、これまで使用していた残高は、事業用の普通預金になるため、貸方に事業主借を記入します。

5.補助科目の使用

会計ソフトでは、勘定科目の他に「補助科目」を設定することができます。

例えば、複数の普通預金口座を事業で使用する場合には、その口座毎に取引を把握できれば便利です。

しかし、仕訳では、どの口座も「普通預金」と記入するため、口座毎に取引を把握できません。

このような時には、補助科目にて「○○銀行○○支店」と口座の数だけ設定しておき、仕訳記入時に補助科目にも必ず入力するようにしておけば、口座毎に取引を把握できます。

6.仕訳の解説

事業主貸と事業主借の使用方法は、上記の解説を参照。

家庭からお金を貸した、借りた、というイメージで考えれば理解できるはずです。

仕訳の借方と貸方という「借」「貸」とは反対側に記入することになりますが、「借方」「貸方」という言葉には意味はない、又は別の意味がある、と考えておいてください(気になった方はネットでお調べください。ここでは解説しません)。

3.現金を引き出しただけであれば、現金勘定を記入しますが、ただちに預金口座へ預け入れたので普通預金勘定を記入します。

4.家庭との取引のため、手数料216円は支払手数料と経費計上せず、事業主貸勘定で記入しています。

5.商品支払いのための振り込みであり、家庭との取引ではありません。従って、手数料540円は支払手数料勘定で記入します。

なお、消費税が免除される免税事業者を想定した仕訳となっています。仮に個人事業主が消費税を納税する課税事業者である場合で、かつ、税抜き処理で仕訳する場合には、支払手数料は500円で記入し、540円のうち消費税分40円は、「仮払消費税 40 / 」と記帳が追加されます。





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