個人事業主の経理入門~開業時の仕訳(個人資産の元入れ)

公開日:

開業時の仕訳(個人資産の元入れ)

今回は個人事業主として最初の開業時の取引について仕訳を解説します。

取引例

  • 4月1日に開業し、次の取引を行った。
  • 1.事業用資金として個人の預金口座より50万円を事業用の普通預金口座に振り込んだ。
  • 2.家庭で使用していた机15万円を事業用として転用した。
  • 3.家庭で使用していたイス5万円を事業用として転用した。
  • 4.家庭で使用していたPC25万円を事業用として転用した。
  • 5.家庭で使用していた自動車100万円を事業用として転用した。

仕訳

  • 4月1日
  • 1.普通預金 500,000 / 元入金 500,000
  • 2.工具器具備品 150,000 / 元入金 150,000
  • 3.消耗品費 50,000 / 元入金 50,000
  • 4.工具器具備品 250,000 / 元入金 250,000
  • 5.車両運搬具 1000,000 / 元入金 1,000,000

解説

以下、解説です。

1.開業時の取引とは

開業時の取引としては、「資金や資産の元入れ」があります。

元入れとは、株式会社の設立でいえば「出資」に該当します。

即ち、個人事業主の個人の資金や資産を事業用に転用することです。

株式会社では、社長や株主と株式会社は「会社法」という法律で、それぞれ別個の存在となり、明確に資金や資産は区別されます。

これに対して個人事業主の場合には、個人事業主が家庭用と事業用に分離することは法律上では定められていないため、自らが両者の資金と資産を区別して使用していかなければなりません。

両者の区分が曖昧な場合には、税務調査が入った際に指摘される可能性がありますので、例えば、事業用と家庭用で預金口座を分けたり、事業で使用する資産は台帳を作成するなど、明確に分けておくことが望ましいと言えます。

2.元入金

開業時の仕訳で使用する勘定科目が「元入金」勘定です。

元入れとは、株式会社でいう出資と同様の意味と捉えておけば差し支えありません。

元入れでは、資金だけでなく、固定資産などの資産も対象になります。

株式会社でいえば、現物出資ということです。

ただし、現物出資のように厳格な手続きが法的に定められているわけでななく、個人事業主の意思だけで事業用の資産にできます。

3.固定資産の元入れ

固定資産を元入れする場合には、価額が10万円未満または使用可能期間が1年未満であれば、消耗品費として全額必要経費に計上します。

価額が10万円以上かつ使用可能期間が1年以上の場合には、元入れ時の仕訳では、固定資産として計上します。

なお、事業用に転用する際の価額ですが、購入時の価額を使用することはできません。

厳密には、中古の固定資産として所得税法のルールに従って、価額を計算することになります。

詳細は中古の固定資産の解説ページにて説明します。

4.仕訳の解説

仕訳の借方は「元入金」勘定を使用します。

なお、「事業主借」勘定を使っても問題ないと思われます。

2.から5.の固定資産の元入れでは固定資産の種類に応じて「工具器具備品」「車両運搬具」といった勘定科目を使用します。

3.は価額が10万円未満のため、「消耗品費」勘定を使用し、全額この年の経費として計上します。

なお、2.は10万円以上20万円未満のため、一括償却資産、4.は30万円未満のため、青色申告の少額減価償却資産の特例を適用することで、通常の減価償却よりも大きな金額を経費にできます。

5.(参考)開業後の手続き

開業後には、税務署を始めとして、様々な書類を届け出る必要があります。

例えば、開業した事実を届け出る「開業届」や青色申告を選択した場合に提出する「青色申告承認申請書」などです。

その他、従業員を雇用する場合や消費税の選択など、さらにいくつかの書類を提出する場合があります。

それぞれ提出期限の定めがありますので、期限内に手続きを行わなければなりません。

6.関連リンク(同サイト内の他コンテンツ)

開業時の届け出書類に関するまとめページです。よろしければご参考ください。





関連リンク

会計入門
~実務に役立つ会計の入門

決算書が読めるようになるサイト。「実務に役立つシリーズ」第1弾!!

原価計算入門
~簿記資格の学習を支援

衣服メーカーを例に分かりやすく解説。「実務に役立つシリーズ」第2弾!!

商業簿記入門
~2級、3級の資格学習を支援

サイト管理者の経験も交えて実務的な視点で解説。「実務に役立つシリーズ」第3弾!!

会計ヘッジ
将来リスクを回避するためのサイト

会計、簿記、経理、税務、起業など、トピックやトレンドも含め、様々な情報を配信

個人事業主の開業手続に必要な書類(所得税、社会保険、消費税など)

個人事業主として開業するためには、法人ほど厳格な手続きは必要ありません。しかし、税務や社会保険に関する所定の手続きは存在します。ビジネスの最初のステップであり、誰もが・・・

開業届の書き方 | 個人事業主、フリーランス向け解説

個人事業主として開業するためには法人ほど厳格な手続きは必要ありません。しかし、最初の手続きであるだけに間違えたくはないでしょう。そこでこのページでは、個人事業主・・・

個人事業主が青色申告を選択するメリットや開業時の手続きを詳しく解説

個人事業主やフリーランスは毎年、所得税の確定申告を行いますが、その際に提出先となる所轄の税務署を決めるのが「納税地」です。ここでは、納税地の選び方と・・・

青色申告承認申請書の書き方 | 個人事業主、フリーランス向け解説

個人事業主の提出書類は法人ほど厳格な手続きは必要ありません。しかし、官公庁関連の書類であるだけに間違えたくはないでしょう。そこでこのページでは、個人事業主や・・・

税金の種類まとめ | 個人事業主・フリーランス向け解説

個人事業主やフリーランスの方は税金を国に納める必要があります。しかし、納める税金には、様々な種類があり、それぞれの特徴や計算方法、納付期限などを把握・・・

個人事業主・フリーランスの所得税 | 赤字の繰越しと繰戻し還付を詳しく解説

個人事業主やフリーランスの方は所得税を国に納める必要があります。この所得税には様々な制度が存在し、これらの制度を適切に組み合わせることで納める税金を・・・