個人事業主の確定申告入門~開業時の仕訳(個人資産の元入れ)

公開日:2019年1月30日

開業時の仕訳(個人資産の元入れ)

今回は個人事業主として最初の開業時の取引について仕訳を解説します。

取引例

  • 4月1日に開業し、次の取引を行った。
  • 1.事業用資金として個人の預金口座より50万円を事業用の普通預金口座に振り込んだ。
  • 2.家庭で使用していた机15万円を事業用として転用した。
  • 3.家庭で使用していたイス5万円を事業用として転用した。
  • 4.家庭で使用していたPC25万円を事業用として転用した。
  • 5.家庭で使用していた自動車100万円を事業用として転用した。

仕訳

  • 4月1日
  • 1.普通預金 500,000 / 元入金 500,000
  • 2.工具器具備品 150,000 / 元入金 150,000
  • 3.消耗品費 50,000 / 元入金 50,000
  • 4.工具器具備品 250,000 / 元入金 250,000
  • 5.車両運搬具 1000,000 / 元入金 1,000,000

1.開業時の取引とは

開業時の取引としては、「資金や資産の元入れ」があります。

元入れとは、株式会社の設立でいえば「出資」に該当します。

即ち、個人事業主の個人の資金や資産を事業用に転用することです。

株式会社では、社長や株主と株式会社は「会社法」という法律で、それぞれ別個の存在となり、明確に資金や資産は区別されます。

これに対して個人事業主の場合には、個人事業主が家庭用と事業用に分離することは法律上では定められていないため、自らが両者の資金と資産を区別して使用していかなければなりません。

両者の区分が曖昧な場合には、税務調査が入った際に指摘される可能性がありますので、例えば、事業用と家庭用で預金口座を分けたり、事業で使用する資産は台帳を作成するなど、明確に分けておくことが望ましいと言えます。

2.元入金

開業時の仕訳で使用する勘定科目が「元入金」勘定です。

元入れとは、株式会社でいう出資と同様の意味と捉えておけば差し支えありません。

元入れでは、資金だけでなく、固定資産などの資産も対象になります。

株式会社でいえば、現物出資ということです。

ただし、現物出資のように厳格な手続きが法的に定められているわけでななく、個人事業主の意思だけで事業用の資産にできます。

3.固定資産の元入れ

固定資産を元入れする場合には、価額が10万円未満または使用可能期間が1年未満であれば、消耗品費として全額必要経費に計上します。

価額が10万円以上かつ使用可能期間が1年以上の場合には、元入れ時の仕訳では、固定資産として計上します。

なお、事業用に転用する際の価額ですが、購入時の価額を使用することはできません。

厳密には、中古の固定資産として所得税法のルールに従って、価額を計算することになります。

詳細は中古の固定資産の解説ページにて説明します。

4.仕訳の解説

仕訳の借方は「元入金」勘定を使用します。

なお、「事業主借」勘定を使っても問題ないと思われます。

2.から5.の固定資産の元入れでは固定資産の種類に応じて「工具器具備品」「車両運搬具」といった勘定科目を使用します。

3.は価額が10万円未満のため、「消耗品費」勘定を使用し、全額この年の経費として計上します。

なお、2.は10万円以上20万円未満のため、一括償却資産、4.は30万円未満のため、青色申告の少額減価償却資産の特例を適用することで、通常の減価償却よりも大きな金額を経費にできます。

5.(参考)開業後の手続き

開業後には、税務署を始めとして、様々な書類を届け出る必要があります。

例えば、開業した事実を届け出る「開業届」や青色申告を選択した場合に提出する「青色申告承認申請書」などです。

その他、従業員を雇用する場合や消費税の選択など、さらにいくつかの書類を提出する場合があります。

それぞれ提出期限の定めがありますので、期限内に手続きを行わなければなりません。

6.関連記事



☆フォローお願いします
簿記2級・3級のスケジュール進捗管理に〇

<広告>PDCA会計の電子書籍

会計や簿記の電子書籍を出版しています。

Amazon Kindleと楽天Koboから発売(販路拡大中)。

本サイトの解説をまとめた会計の入門書籍

本Webサイトのコンテンツよりも品質を高めた基本テキスト

本Webサイトとは解説も図表も異なる、分かりやすいオリジナルの工業簿記テキスト

過去問30回を分析した仕訳問題集

ページトップへ