青色申告で節税する会計帳簿の作り方~個人事業主の取引と仕訳の特徴

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個人事業主の取引と仕訳の特徴

今回は個人事業主の取引と仕訳の特徴について、大企業と比較しながら解説します。

1.取引や仕訳から見た個人事業主と大企業との違い(総論)

始めに述べておきますと、両者に大きな違いはありません。

大企業ができる取引のほとんどは、個人事業主でもできますし、一般的に妥当とされている勘定科目や仕訳ルールも同じです。

ただし、根本的に違う部分が存在しており、その存在の結果、個人事業主の取引は大企業と異なる部分が生じています。

そして、さらにその結果、取引を反映する仕訳方法も両者に違いが生じます。

2.個人事業主の取引や仕訳ルールが分かりにくい理由

経済に与える影響や、関係する人数が圧倒的に異なることから、誰でも大企業のルールを最初に記憶する、ということが根本的な原因だと思います。

新聞やテレビのニュース、学校教育や資格試験、書籍などが全て大企業を優先して取り上げます。

ビジネス自体もやはり大企業を中心とした仕組みになっています。

また、会社は組織であり人の集団です。1人が知らなくても別の人が知っていれば対応できます。会社の中で知っている人がいなければ、豊富な資金で専門家を雇うことで対応できます。

以上から、大企業とは対照的な個人事業主に特有の取引や仕訳ルールを知る手段がほとんどないことが、分かりにくくしている原因です。

3.違いその1:個人と法人の違い

「公私混同をしない」という言葉がありますが、正に個人事業主に相応しい言葉です。

会社を設立した場合には、たとえオーナー企業であったとしても、社長という自然人と法人である会社とは、法律上は別の存在として取り扱われます。

従って、両者の取引は法律上も、そして関係する人たちの中でも、別個の存在として認識されます。

また、会社法を始めとする様々な法律によって、会社は厳しいルールが適用されます。

これに対して個人事業主の場合には、個人事業主自身が、「私(家庭)」の自分と「公(事業)」の自分とを区別して、取引していかなければいけません。

3-1.家庭の取引と事業の取引を区別するための仕訳

会社では設立時の出資(現物出資を含む)は、株主と会社の取引です。

また、設立後に社長など会社の関係者と会社とが取引した時も、関係者と会社との取引となります。

これに対して個人事業主の場合には、例えば、家庭用(個人用)の預金口座から事業用口座にお金を振り込んだり、または家庭で使用していた資産を事業用に転用したりすることで、事業用の資金や資産とします。

この行為は個人事業主自身が「取引」とみなしているにすぎず、社会的には取引とは言えません。

一方で、所得税法上では、家庭と事業とは区別して事業のみを記帳しておく必要があることから、仕訳も会社では使用しない「元入金」「事業主貸」「事業主借」という勘定科目を使って記帳します。

3-2.家庭と事業で兼用する資産の仕訳

会社と社長は法律上、別個の存在であるのに対して、個人事業主は家庭の自分と事業の自分は同一の存在です。

法人税法上など会社上のルールでは、会社と社長は明確に分けて認識できます。

一方で、個人事業主の場合、家庭と事業と両方で使用している資産が存在する場合も少なくありません。

このようなケースは個人事業主特有の論点であり、会社の仕訳では学ぶことができません。

3-3.所得税法の適用と手続き

会社には「法人税法」が適用されますが、個人事業主には「所得税法」が適用されます。

また、確定申告書の様式も両者で異なります。

さらには、開業手続きに代表される、税務署への届け出など、各種の手続きについても、税法が異なるので、個人事業主は会社の手続きとは別に手続きを調べて学んでいくことになります。

3-4.納税や還付の仕訳

会社は社長とは別個の存在であるため、法人税の納付も会社が納付します。即ち会社の取引です。

これに対して、個人事業主は家庭と事業とで同一の存在であり、所得税の納付は家庭の個人が納付します。即ち事業の取引ではありません。

還付についても同様です。

このような違いが、「それでは消費税や事業税も違うのか?」と考えさせ、個人事業主の仕訳を分かりにくくしています。

4.違いその2:小規模事業と大規模事業との違い

上記2.にて述べましたが、大企業は経済や社会に与える影響が大きいことから、様々な情報を知る手段が存在します。

また、与える影響が大きいだけにルールもたくさん存在し、一つ一つの手続きや仕訳を含む会計・税法のルールも細かく定められています。

これに対して、個人事業主に適用されるルールを知る手段は少なく、各種のルールも厳密ではない部分が存在します。

4-1.相対的に緩和化された取引の仕訳化

上述の通り、与える影響が小さいことから、個人事業主には相対的に緩和化された仕訳ルールで記帳できます。

例えば、上記3-2.の家庭と事業で兼用している資産の取引についても、大体の案分が分かる資料があればよいと記述している書籍やネット情報が多く存在します。

また勘定科目にも明確なルールが存在しないことから、税務調査が入った場合に理解できる客観性を備えていれば、比較的、自由に設定できます。

これは、金融商品取引法や会社法で会計ルールが細かく定められている大企業と対照的です。

4-2.免税事業者の消費税の処理

大企業は消費税を納税するのが通常であることから、免税事業者の場合の消費税の処理について学ぶ機会がありません。

しかし個人事業主は開業時に免税事業者であり、また、開業時に顧問税理士を雇うケースはほとんどないことから、自ら消費税の仕訳処理について学ぶ必要があります。

4-3.税務調査の確率

経済や社会に与える影響が小さいことから、税務調査に入られる確率も少なく、さらに明確な会計ルールが存在しないことや情報の入手手段が少ないことと相まって、節税と脱税の境界線が分かりにくいです。

5.関連リンク

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