個人事業主の経理入門~従業員の給与に関する仕訳

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従業員の給与に関する仕訳

今回は、従業員の給与に関する仕訳について解説します。

取引例

  • 1.5/31 従業員に支払う給料を計上した。給与台帳の内訳毎の合計は、基本給250万円、時間外25万円、社会保険料40万円、源泉徴収税5万円であった。
  •  1-1.従業員が事務員や営業マンである場合
  •  1-2.従業員が工場の工員である場合
  • 2.6/25 従業員に給料を事業用普通預金口座より支払った。
  • 3.6/30 個人事業主は、生活費のために、事業用普通預金口座から30万円を引き出して、直ちに家庭の口座に預け入れた。

仕訳

  • 1-1.5/31
  • 給与 2,750,000 / 未払費用 2,300,000
  •         / 預り金 450,000
  • 1-2.5/31
  • 賃金 2,750,000 / 未払費用 2,300,000
  •         / 預り金 450,000
  • 2.6/25
  • 未払費用 2,300,000 / 普通預金 2,300,000
  • 3.6/30
  • 事業主貸 300,000 / 普通預金 300,000

解説

以下、解説です。

1.給与

給与とは、会社や個人事業主と雇用契約を締結した従業員が受け取る、仕事への対価をいいます。

給料、賞与、現物支給など、名称は様々ですが、従業員が受け取る仕事への対価は給与です。

雇用形態も正社員、契約社員、パート、アルバイトと様々ですが、雇用形態には関係ありません。

なお派遣社員は、派遣元会社(通常は派遣会社といいます)の従業員であることから、普段働いている会社の従業員ではなく、その会社からすると、給与に該当しません。

また、社長、取締役などの役員も会社から受け取るのは報酬といい、給与ではありません。

2,賃金

モノを製造する事業において、製造に関わる従業員は作業工や工員と言われることがあります。

製造に関わる従業員に対して支払う給与のことを「賃金」といいます。

経理でも、製造に要した費用は原価計算の手法を使って、製造原価として集計するため、事務員や営業マンなど他の従業員とは区別して賃金勘定を使用したりします。

3.給与の仕訳と支払いとの関係

給与は後払いであることが少なくありません。

例えば、月末締め、翌月25日支払いや、20日締め、翌月10日払いなど。

経理は通常は月ごとに仕訳を記入します。

また、給与は「発生主義」によって発生した月に費用を計上します。

従って、例えば給与が後払いである場合には、未払費用を使用して仕訳を記入します。

ただし、確定申告自体は年に1回のため、普段は支払いの日付で仕訳を記入し、12月だけ未払費用勘定を使って12月分の給与を計上する方法でも構いません。

しかし、この方法によると、12月は11月分と12月分という給与2か月分を計上し、翌1月は前月12月分の未払費用を戻す仕訳を記入するため、月ベースでみると費用は平準化されません。

4.源泉所得税と社会保険料

給与明細を見ると、様々な項目に区分されて金額が記載されています。

経理の仕訳上では、特に源泉所得税と社会保険料に注目します。

これらの項目は給与から差し引かれる「控除項目」に該当し、従業員が本来、税務署や年金事務所に支払うお金を、会社や個人事業主が預かって納付するものです。

そこで、給与の仕訳上では、預り金勘定を使用して仕訳します。

5.個人事業主の生活費

個人事業主が事業用の資金を生活費などで家庭用に引き出す場合には、給与には該当しません。

個人と家庭との取引であるため、「事業主貸勘定」を使用して記入します。

6.仕訳の解説

1.給与は残業代も含めるため、基本給と時間外を合計した275万円が従業員への労働の対価になります。

費用(経費)への計上は、この労働の対価全てであるため、借方に給与勘定を入力します(1-2.では賃金勘定を使用しました)。

一方で、労働の対価全てを従業員に支払うわけでなく、上記の通り、社会保険料や源泉所得税は個人事業主が預かります。

そこで、これら合計の45万円を預り金勘定を使用して貸方に計上します。

なお、補助科目で社会保険料の内訳(健康保険料や雇用保険など)や源泉所得税を設定しておき仕訳時に入力すると、取引や残高の把握に役立ちます。

差し引きの230万円は、1.の5月31日時点では支払っていないため、未払費用勘定を入力します。

2.6月25日に1.に計上した未払いの給与を支払っています。そこで、借方に未払費用を入力し、貸方に普通預金を入力して仕訳しています。

3.個人事業主の事業と家庭との取引であるため、給与勘定は使用せず、事業主貸勘定を使用しています。

7.関連リンク

給与に関するサイト内のページになります。





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