消費税簡易課税制度選択届出書の書き方|個人事業主、フリーランス向け解説
更新日:2020年4月14日
公開日:2019年1月24日
個人事業主やフリーランスとして開業するためには法人ほど厳格な手続きは必要ありません。
しかし、官公庁関連の書類であるだけに間違えたくはないでしょう。
そこでこのページでは、個人事業主が税務署に提出する書類のうち、「消費税簡易課税制度選択届出書」の書き方例についてポイントを押さえて解説します。
個人事業主、フリーランスの方の参考となれば幸いです。
1.消費税簡易課税制度選択届出書とは
消費税簡易課税制度選択届出書(しょうひぜいかんいかぜいせいどせんたくとどけでしょ)とは、個人事業主の方が、消費税の課税所得計算方法として簡易課税制度を適用する場合に、税務署へ届け出る書類をいいます。
小規模事業者の場合には、原則的な消費税の課税所得計算では事務処理コストの負担が大きい場合があります。
そこで、「簡易課税制度」という、原則的な手続きよりも簡易な手続きを選択することができます。
ポイント:適用条件
簡易課税制度を適用するには、基準期間の課税売上高が5,000万円以下でなければなりません。
従って、簡易課税制度を適用開始後、基準期間の課税売上高が5,000万円を超えた場合、その課税期間では簡易課税制度は適用されず、原則的な計算方法が強制的に適用されます。
ポイント:継続して適用しなければいけない期間
いったん簡易課税制度を適用すると原則として2年間、継続して適用しなければなりません。
さらに、この2年の間に、「調整対象固定資産」に該当する資産の仕入れ等を行った場合には、さらに期間が延長されます。
ポイント:原則的な計算方法の適用に戻すには
「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」を提出します。
2.提出先と期限
提出先は、納税地を管轄する税務署になります。
また提出の期限ですが、提出した日の翌年から適用が開始され、課税事業者となります。
3.書式のダウンロード
消費税簡易課税制度選択届出書の書式は「[手続名]消費税簡易課税制度選択届出手続」より入手できます。
税務署でも紙書類で入手できます。
4.書式の内訳
「消費税簡易課税制度選択届出書」が1枚、記載要領が1枚です。
控え書式がありませんので、郵送で提出する場合には記入後に控え用として1部コピーして、返信用封筒(切手貼り付け、住所記入済み)を一緒に同封しましょう。
5.記入の方法
記載要領やこれから解説する書き方に従って記入します。
6.消費税簡易課税制度選択届出書の書き方
消費税簡易課税制度選択届出書の概要は以上になります。
ここから消費税簡易課税制度選択届出書の具体的な書き方について解説します。
引用元:国税庁HPより
(1)税務署の選択、納税地、個人情報など
引用元:国税庁HPより
①収受印
何も記入しません。
②提出日、税務署
日付は郵送する日付、電子申告する日付、税務署に持っていき提出する日付など、提出手段によって適切な日付を記入します。
次に納税地の税務署を記入します。
納税地によって異なります。「国税庁の検索ページ」で納税地を管轄する税務署を検索して記入しましょう。
③納税地
「住所、居所地、事業所等」から届け出している納税地を記入します。
居所地とは、外国の方が日本にいる場合の住所と考えて差し支えありません。
④氏名又は名称及び代表者氏名
氏名を記入し、印鑑を押印します。
⑤法人番号
法人番号のため記入不要です。空欄とします。
(2)期間や売上高に関する事項
引用元:国税庁HPより
⑥適用開始課税期間
簡易課税制度の適用を開始する事業年度の初日と末日を記入します。
個人事業主の事業年度は暦年と一致するため、開業した年でなければ、初日の月日は1月1日、末日は12月31日が入ります。
⑦上記期間の基準期間
⑥の基準期間を記入します。
個人事業主の場合、基準期間とは前々年をいいますので、⑥に記入した期間の2年前の1月1日から12月31日を記入します。
⑧基準期間の課税売上高
基準期間の課税売上高を記入します。
基準期間が開業前の場合にはゼロ(0)を記入します。
⑨事業内容
事業内容を記入します。
また、事業区分を記入します。
どの事業区分に該当するか分からない場合には、「No.6509 簡易課税制度の事業区分(国税庁)」を参考にして記入しましょう。
(3)提出要件の確認等に関する事項
引用元:国税庁HPより
⑩次のイ、ロ又はハの場合に該当する・・・
下記イ、ロ、ハの事項(⑪から⑲)のいずれかに該当する場合には、「はい」、そうでなければ「いいえ」に✔(チェックマーク)を入れます。
⑪課税事業者となった日
免税事業者が「消費税課税事業者選択届出書」を提出した結果、課税事業者となった場合には、課税事業者となった日を記入します。
そうでなければ空欄とします。
⑫課税事業者となった日から2年を・・・
「調整対象固定資産(ちょうせいたいしょうこていしさん)」とは、棚卸資産の建物、構築物、備品などの有形固定資産、無形固定資産などのうち、税抜きの取得価額が一取引単位につき100万円以上のものをいいます。
課税事業者となった日から2年以内に調整対象固定資産の課税仕入れ等を行っていない場合には「はい」に✔(チェックマーク)を入れます。
そうでなければ何も記入しません。
⑬設立年月日
法人の場合の項目のため、何も記入しません。
⑭基準期間がない事業年度に含まれる・・・
法人の場合の項目のため、何も記入しません。
⑮仕入れ等を行った課税期間の初日
高額特定資産の仕入れ等を行った課税期間の初日を記入します。
「高額特定資産」とは、棚卸資産又は調整対象固定資産で、税抜価額が1千万円以上の資産をいいます。
そうでなければ空欄とします。
⑯この届出による①の「適用開始課税期間」・・・
高額特定資産の仕入れ等を行った課税期間の初日から3年間のうち、上記「⑥適用開始課税期間」に含まれる期間が存在しなければ、「はい」に✔(チェックマーク)を入れます。
そうでなければ何も記入しません。
⑰仕入れ等を行った課税期間の初日
自己建設高額特定資産の仕入れ等を行った課税期間の初日を記入します。
「自己建設高額特定資産」とは、他の者との契約に基づき、又はその事業者の棚卸資産若しくは調整対象固定資産として、自ら建設等をした高額特定資産をいいます。
⑱建設等が完了した課税期間の初日
自己建設高額特定資産の建設等が完了した課税期間の初日を記入します。
⑲この届出による①の「適用開始課税期間」・・・
自己建設高額特定資産の仕入れ等を行った支払い対価の合計が1千万円以上となった課税期間の初日から、建設等が完了した課税期間の初日から3年までの期間のうち、上記「⑥適用開始課税期間」に含まれる期間が存在しなければ、「はい」に✔(チェックマーク)を入れます。
そうでなければ何も記入しません。
⑳参考事項
参考となる事項があれば記入します。
通常は空欄とします。
㉑税理士署名押印
税理士と顧問契約を締結している場合には、記入・押印します。
締結していない場合には空欄とします。
(4)その他の事項
引用元:国税庁HPより
㉑税務署処理欄
税務署が使用する箇所のため、記入不要です。
以上、消費税簡易課税制度選択届出書の書き方例を解説しました。
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