個人事業主向け解説 | 給与支払事務所等の開設届出書の書き方
更新日:2019年5月19日
公開日:2019年1月22日
個人事業主として開業するためには法人ほど厳格な手続きは必要ありません。
しかし、官公庁関連の書類であるだけに間違えたくはないでしょう。
そこでこのページでは、個人事業主が税務署に提出する書類のうち、「給与支払事務所等の開設届出書」の書き方例についてポイントを押さえて解説します。
個人事業主の方の参考となれば幸いです。
1.給与支払事務所等の開設届出書とは
給与支払事務所等の開設届出書(きゅうよしはらいじむしょとうのかいせつとどけでしょ)とは、個人事業主の方が、従業員を雇い給与を支払う場合に、税務署へ届け出る書類をいいます。
給与支払事務所等とは、文字通り給与支払いを行う事務所等をいいます。
そして給与支払事務所等を開設するためには、この届出書を税務署に提出しなければなりません。
以上から、従業員に給与を支払う場合には税務署に給与支払事務所等の開設届出書を提出する、ということになります。
ポイント:従業員がいない個人事業主は届け出が必要かどうか?
個人事業主自身が生活費などのために使用するお金は、届け出の対象外です。
従って、個人事業主が従業員を雇っていない場合には、給与支払事務所等の開設届出書は提出しません。
これに対して株式会社など法人を設立した場合には、従業員がいなくとも社長(代表取締役)へ支払う報酬は届出の対象になります(社長は法人からお金を支払ってもらうというイメージです)。
2.提出先と期限
提出先は、納税地を管轄する税務署になります。
また提出の期限は、給与支払事務所等を開設してから、1か月以内となっています。
ポイント:開業届の記入内容によっては、給与支払事務所等の開設届出書は提出不要
「個人事業の開業届出書」の記入事項のうち、「給与等の支払の状況」に記入している場合には、給与支払事務所等の開設届出書は提出不要です。
【根拠条文】所得税法230条、229条
※開設後、給与支払事務所等に移転や廃止等があった場合には、届け出します。
3.書式のダウンロード
給与支払事務所等の開設届出書の書式は「[手続名]給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出」より入手できます。
税務署でも紙書類で入手できます。
4.書式の内訳
「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」が1枚、記載要領が1枚です。
給与支払事務所等の移転や廃止などの場合にも、この書式を使用します。
控え書式がありませんので、郵送で提出する場合には記入後に控え用として1部コピーして、返信用封筒(切手貼り付け、住所記入済み)を一緒に同封しましょう。
5.記入の方法
記載要領やこれから解説する書き方に従って記入します。
6.給与支払事務所等の開設届出書の書き方
給与支払事務所等の開設届出書の概要は以上になります。
ここから給与支払事務所等の開設届出書の具体的な書き方について解説します。
引用元:国税庁HPより
(1)税務署の選択、納税地、個人情報など
引用元:国税庁HPより
①整理番号
何も記入しません。
②タイトル
開設の文字を○で囲みます。
③税務署受付印
何も記入しません。
④提出日、税務署
日付は郵送する日付、電子申告する日付、税務署に持っていき提出する日付など、提出手段によって適切な日付を記入します。
次に納税地の税務署を記入します。
納税地によって異なります。「国税庁の検索ページ」で納税地を管轄する税務署を検索して記入しましょう。
⑤事務所開設者
(注)に記載の通り、所得税の確定申告で記載する納税地と同じ情報を記入します。
「個人番号又は法人番号」には個人番号を記入します。
個人番号とはマイナンバーカード(個人番号カード)に記載された12桁の番号のことです(顔写真が掲載されていない面に4桁ずつ3つに区切って記載されています)。
なお、個人番号を記入するため、併せてマイナンバーカードなどの本人確認書類の写しを添付して提出しなければなりません。
最後に代表者氏名の右側に押印しましょう。
(2)開設と給与支払い開始の年月日
引用元:国税庁HPより
⑥開設と給与支払い開始の年月日
「開設・移転・廃止年月日」の「開設」を○で囲みます。
日付は支払給与事務所等を開設した年月日を記入します。
次に「給与支払を開始する年月日」には、もし開設した月に給与支払いを開始しない場合に記入します。
開設した月に給与支払いする場合は空欄とします。
(3)届出の内容及び理由
引用元:国税庁HPより
⑦届出の内容及び理由
今回は初めての開設を想定しているため、「開設」の分類のうち、「開業又は法人の設立」に✔(チェックマーク)を記入します。
他の箇所は空欄のままとします。
(4)給与支払事務所等について
引用元:国税庁HPより
⑧氏名、住所、責任者氏名
全て空欄とします。
※上記の「(3)届出の内容及び理由」で、開業又は法人の開設にチェックしましたが、この項目の右側を見ると、「給与支払事務所等について」欄の記載事項が、「開設・異動前」「異動後」ともに「/(斜線)」となっています。
従って、⑧の各項目はすべて空欄です。
⑨従業員数
給与等を支払う職種別の人員数を記入します。
⑩その他参考事項
参考として特別に記載することがなければ空欄とします。
(5)その他の事項
引用元:国税庁HPより
⑪税理士署名押印
税理士と顧問契約を締結している場合には、記入・押印します。
締結していない場合には空欄とします。
⑫税務署処理欄
税務署が使用する箇所のため、記入不要です。
以上、給与支払事務所等の開設届出書の書き方例を解説しました。
関連記事
簡単に開業手続きを済ませたい方は
私も初めて開業手続書類を調べた時には、その種類の多さに驚きましたが、専従者や従業員がいる場合や、仕入税額控除の還付が見込める場合はとにかく、ほとんどの方は数種類の書類だけで開業手続は完了します。
「開業freee」であれば、ほとんどの開業手続きの書類を作成できます。
書類も「各ページからPDFをダウンロードして印刷し、氏名や住所など同じ項目を何度も記入し、添付の書き方ファイルを見ながら作成」といった面倒な作業はしなくとも、無料クラウドソフトの「開業freee」を使えば、スマートフォンからでも簡単に開業書類が作成できてしまいます。
登録も簡単で、すぐに開業書類の作成を始められます。
登録方法は下記の記事を参照。
個人事業の開業書類を5分で作成 開業freee