会計入門その4~資産と負債、純資産の関係

更新日:2019年7月7日
作成日:2012年4月10日

資産と負債、純資産の関係

前回、会計入門その3~貸借対照表の見方では、貸借対照表について、簡単な説明や表の基本的な見方、「資産の部」「負債の部」「純資産の部」といった区分について説明しました。

次に、「資産」「負債」「純資産」を説明し、その後、この3者の関係について解説します。


貸借対照表
「資産」「負債」「純資産」とは?

前回、貸借対照表について、本来の定義を分かりやすい表現で次の通り説明しました。

ある時点で会社について、お金がどれだけあり、また、将来、現金として入金されそうなお金や提供を受けるモノやサービスがどれだけあるのか。また将来、支払いとして出金がありそうなお金や提供するモノやサービス(義務)がどれだけあるのか。お金をどれだけ出資者(株主)から預かっており、そのお金でビジネス活動を通じて累計でどれだけ儲かったか(または損したか)が分かる資料

上記の説明がそのまま「資産(しさん)」「負債(ふさい)」「純資産(じゅんしさん)」の説明となっています。

・資産:お金がどれだけあり、また、将来、現金として入金されそうなお金や提供を受けるモノやサービスがどれだけあるのか。

・負債:将来、支払いとして出金がありそうなお金や提供するモノやサービスがどれだけあるのか。

・純資産:お金をどれだけ出資者(株主)から預かっており、そのお金でビジネス活動を通じて累計でどれだけ儲かったか(または損したか)。

以上が資産、負債、純資産の説明です。

※上記は、「将来(未来)」と「ある時点(現在)」という2つの時で説明していますが、もう一つ「過去」の視点も本来は説明に追加しなければなりません。この点については、各科目の説明ページにて解説していきます。「入門用の解説であり、定義を長文にしたくなかったため」とお考え下さい。

各科目と上記の説明を照らし合わせてみて下さい。例えば、「現金及び預金」が「資産」であることは理解できると思います。他にも上記3項目との関係についてイメージしやすい科目がいくつもあると思います。

一方で理解が難しい科目もあるのではないでしょうか?また科目自体の意味も分からないということもあると思いますので、難しい科目については次回以降のページで順番に説明しています。


資産、負債、純資産の関係

前回、次のことを説明しました。

・右側と左側の合計金額は必ず一致する。
・左側に「資産の部」、右側に「負債の部」と「純資産の部」が記される。

以上をまとめると、

資産(合計)=負債(合計)+純資産(合計)

という関係式が成り立ちます。

上の貸借対照表のケースに当てはめると、

資産 131,254千円=負債 88,506千円+純資産 42,748千円

確かに合ってます。

しかし、これだけでは単に計算が合っていることを説明しているだけです。

そこでこの関係式を皆さんが分り易く理解できるように、式を変形させます。

具体的には方程式の要領で、右辺にある負債を左辺に移行させます。すると次の式になります。

資産-負債=純資産

この式と上の資産、負債、純資産の説明とを見比べてみてください。

特に、資産の「入金」、負債の「出金」、純資産の「儲かった」という部分です。

ある別の式をイメージすることができます。皆さんお分かりになりますでしょうか?それは次の式です。

収入-支出=収支

これだと家計簿と同じなのでイメージしやすいと思います。

家計簿との違いは?

以上から資産、負債、純資産の関係は収入、支出、収支の関係と似ていることが分かりました。

でも違う点もあります。どこなのかというと

1.資産や負債には「将来」に入金、出金されそうなお金や提供を受けるまたは提供するモノやサービス(権利、義務)が含まれる。

これに対して家計簿は「ある時点(現在)」の入金や出金しか扱いません。

※上記で少しだけ説明しましたが、資産や負債には「過去」の入金や出金、又はモノやサービスの受け取り、提供が含まれます。

2.資産-負債=純資産の関係式は、ある時点の有高(ストック)を示している。それに対して収入-支出=収支は、ある一定の期間(フロー)についての関係を表している。

※「フローとストック」という言葉は会計学や簿記を学ぶ際には、頻出用語なので覚えておいて損はありません。

1.について補足しますと、資産や負債に将来や過去の入金、出金、モノやサービスを何でも含める、というわけではありません(そんなことしたら何でもアリになってしまいますから)。

権利や義務として確定したが、まだ入出金されていないもの」、または「過去に入出金したが、未だに権利や義務として確定していないもの」を資産や負債に含めます(ただし例外もあります)。

代表的な科目としては、資産では「売掛金(うりかけきん)」、負債では「買掛金(かいかけきん)」があります。


(参考)フローとストックについて

※この項は用語の説明になります。読むのを省略しても構いませんし、省略してもこれ以降のページでの説明に影響はありません。

上記の2.について、フローとストックの違いを図にしてみました。下の図をご覧下さい。

フローとストック

2019年1月1日にビジネスを開始。また、2019年1月1日から2019年12月31日までを【第1期決算】、2020年1月1日から2020年12月31日までを【第2期決算】、2021年1月1日から2021年12月31日までを【第3期決算】としています。現在は2020年12月31日とします。

フローといった場合にはある期間の活動を示します。

例えば、第1期決算の「1年間」や第2期決算の「1年間」を示します。また、「1ヶ月」や「四半期(3ヶ月)」、「半年」、極端なケースでいえば、「1分(60秒)」も、その間の活動はフローの考えに基づきます。

それに対してストックとは、ある時点での有高のことです。

従って「2019年1月1日から2019年12月31日まで」というように「1年間」という期間を表すような言葉の使い方はしません。「2019年12月31日時点の」や「2020年12月31日時点の」や、「2021年3月10日時点の」といった言葉の使い方をします。

ここで例えば、第2期決算について考えてみましょう。

まずは、フローです。フローは「2020年1月1日から2020年12月31日まで」の1年間の活動を表しています。従って上の図では、50になります。

それに対して、ストックは、「2020年12月31日時点」の有高をいいます。上の図でいうと150ということとなります。

ところで、上の図では次の関係となっていることに気付きましたか?

第1期のフロー(100)+第2期のフロー(50)=第2期のストック(150)

この通り、一番最初からその時点までのフローを足し合わせるとストックになることに気付きましたでしょうか。会計学や簿記を勉強する際には覚えておいて損はありません。

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