会計入門その8~固定資産の区分

更新日:2018年12月27日
作成日:2012年4月20日

固定資産の区分

前回、「会計入門その7~ 未収入金と経過勘定(前払費用)」では、未収入金及び経過勘定(特に前払費用)について解説しましたため、流動資産の説明が終了しました。

そこで、今回から固定資産について解説していきます。

覚えることが多いので、冒頭である今回は、主に固定資産の分類について説明していきます。

<学習ポイント>
1.流動資産と固定資産の判断の基準
2.固定資産の分類
 ・有形固定資産
 ・無形固定資産
 ・投資その他の資産


貸借対照表
流動資産or固定資産の判断基準

資産は、流動資産と固定資産に区分することができます。

この区分を判定する基準として、①正常営業循環基準と②一年基準があります(「会計入門その5~ 資産の区分、受取手形と売掛金、有価証券」を参照)。

両者の説明は次の通りです。

①正常営業循環基準:会社の主目的たる営業取引によって発生する科目かどうか。
②一年基準:貸借対照表日(3月決算ならば3月31日)の翌日(4月1日)から数えて1年以内に現金として入金(回収)されるかどうか。

①②ともに「いいえ」の場合には、固定資産として区分することとなります。


固定資産の3つの区分について

固定資産は、有形固定資産、無形固定資産、投資その他の資産という3つの区分に分けることができます。

以下、それぞれについて説明します。

有形固定資産

上の貸借対照表を見ますと、有形固定資産として区分されているものは次の通りです。

・建物 ・構築物 ・機械装置 ・車両運搬具
・工具器具備品 ・土地 ・リース資産

有形固定資産とは、その名の通り、「有形=形が有る=目に見える」固定資産をいいます。

分かりやすいので、イメージできる科目も多いと思います。

少しだけ説明しますと、まず構築物とは、「土地の上に定着する工作物・建造物・土木設備」のことで建物以外のものをいいます。具体的には、「橋、ドック、さん橋、鉄塔、アスファルト舗装道路及び路面、庭園、花壇」などが該当します。

次に工具器具備品ですが、具体的には「メーターなどの測定検査器具、切削工具、金型、スパナ」などが工具器具で、「事務机、椅子、キャビネット、PC、テレビ、絵画や骨董品」などが備品になります。これらを総称して工具器具備品といいます。

さらにリース資産とは、リース会社などからリース契約を締結して賃借した場合に使用する科目です。

例えば自社で購入していれば、コピー機は工具器具備品、自動車は車両運搬具の科目で計上しますが、リース会社から賃借した場合には、コピー機も自動車もリース資産という科目でまとめて計上します。

ファイナンスリースについて

ここで説明しているリース資産は、「ファイナンス・リース」と呼ばれる契約でリースしている場合の取り扱いになります。

ファイナンス・リースとは、形式はリース取引ですが、実質的には購入に近い契約のリース取引をいいます。

この場合には、購入した場合と同様の処理を行うため、固定資産(リース資産)として貸借対照表に表示します。

固定資産の種類に関係なく「リース資産」として貸借対照表に表示するのは、リースしていることが分かるように他の固定資産と区別するためです(ただし、リース資産も他の有形固定資産と同様の内容が分かるように、その種類や減価償却の方法を注記します)。

【補足】オペレーティング・リース
ファイナンス・リース取引とは別に「オペレーティング・リース」というリース取引もあります。

どちらのリース取引に該当するのかは、契約内容から判断します(リース取引の会計基準に詳細な判断基準が記載されています)。

判断の結果、オペレーティング・リース取引である場合には、実質的な購入ではなく通常の賃借契約と判断されるため、固定資産には計上せずに賃借料やリース料といった科目で費用処理することになります。


無形固定資産

有形固定資産に対して、無形固定資産は「無形=形が無い=目に見えない」固定資産をいいます。

上の貸借対照表ではソフトウェアが掲載されていますが、その他、特許権,実用新案権,「商標権」などの法律上の権利や「電話加入権」「借地権」などの契約上の権利、「のれん」などがあります。

ソフトウェアは、具体的にはパソコンソフトやゲームソフト、映画ソフトがあります。

これらはCD-ROMやDVDといったものに保存されていますが、CDやDVD自体はハードウェアであり工具器具備品に該当します(とはいえ、CDやDVDは安価であるため、固定資産ではなく一括して費用計上する場合ももちろん多いのですが)。

すなわち、ソフトウェアは中に入っているプログラムのことです。

その他の科目については入門である当サイトでは説明しません。興味のある方は調べてみて下さい。

投資その他の資産

その名の通り、投資に関する科目とその他科目です。

上の貸借対照表では、次の科目が掲載されています。

・投資有価証券 ・関係会社株式 ・長期貸付金

※貸倒引当金については、「会計入門その12~ 貸倒引当金」で解説しています。よろしければご訪問ください。

投資有価証券と関係会社株式については、「会計入門その5~ 資産の区分、受取手形と売掛金、有価証券」で、有価証券を説明した際に少し触れました。

関係会社株式とは、子会社の株式に代表されるグループ会社の株式をいいます。

一方で投資有価証券には、様々な目的で購入した有価証券が含まれます。例えば、事業提携目的で購入した株式や貸借対照表日の翌日から数えて満期まで1年を超える国債・社債などが該当します(1年以内に満期が到来する国債・社債は、有価証券として流動資産に区分します)。

長期貸付金とは、貸付金のうち、貸借対照表の作成日の翌日から数えて1年を超えて返済されるものをいいます(1年以内に返済されるものは短期貸付金として流動資産に区分します)。

その他、投資その他の資産に区分される科目としては、長期前払費用や敷金、差入保証金、ゴルフ会員権、保険積立金などがあります。長期前払費用については前回、「会計入門その7~ 未収入金と経過勘定(前払費用)」で説明した通りです。


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記事一覧


  • 1.概要
    その 1~はじめに(必ずお読み下さい)
    その2~ なぜ決算書を作成するのか?

  • 2.貸借対照表
    その3~ 貸借対照表の見方
    その4~ 資産と負債、純資産の関係

  • 3.資産の部
    その5~ 資産の区分、受取手形と売掛金、有価証券
    その6~ 棚卸資産
    その7~ 未収入金と経過勘定
    その8~ 固定資産の区分
    その9~ 減価償却と資産計上
    その10~ 固定資産と時価主義
    その11~ 固定資産と減損会計
    その12~ 貸倒引当金

  • 4.負債の部
    その13~ 負債の区分 支払手形と買掛金、短期借入金
    その14~ 未払金と経過勘定
    その15~ 未払法人税等と預り金
    その16~ リース債務と退職給付引当金

  • 5.純資産の部
    その17~ 純資産とは
    その18~ 資本金と資本準備金
    その19~ 資本取引・損益取引区分の原則
    その20~ 貸借対照表の分析

  • 6.損益計算書
    その21~ 損益計算書とは
    その22~ 売上高と実現主義
    その23~ 売上原価と費用収益対応の原則
    その24~ 売上総利益と粗利率・原価率
    その25~ 販売費及び一般管理費
    その26~ 営業利益・営業利益率
    その27~ 営業外収益・費用と経常利益
    その28~ 特別損益と当期純利益その他

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