会計入門その12~貸倒引当金

更新日:2019年7月15日
作成日:2012年4月26日

貸倒引当金

前回、「会計入門その11~固定資産と減損会計」では、固定資産について現状制度を説明しました。

今回は貸倒引当金について説明します。

冒頭に引当金について説明し、貸倒引当金へと解説を移行します。

適用対象となる資産の範囲や3つの区分についても併せて解説していきます。


貸借対照表
引当金

引当金(ひきあてきん)とは、企業会計原則(きぎょうかいけいげんそく)に次のように定義されています。

将来の特定の費用又は損失であって、その発生が当期以前の事象に起因し、発生の可能性が高く、かつ、その金額を合理的に見積ることができる場合には、当期の負担に属する金額を当期の費用又は損失として引当金に繰り入れ、当該引当金の残高を貸借対照表の負債の部又は資産の部に記載するものとする。
製品保証引当金、売上割戻引当金、返品調整引当金、賞与引当金、工事補償引当金、退職給与引当金、修繕引当金、特別修繕引当金、債務保証損失引当金、損害補償損失引当金、貸倒引当金等がこれに該当する。

引当金には様々な種類があり、そのうちの1つが貸倒引当金です。

貸倒引当金

貸倒引当金(かしだおれひきあてきん)とは、文字通り将来の貸倒に備えて計上する引当金です。

例えば、モノやサービスを販売して受取手形や売掛金を資産に計上したとしても、最終的に回収するまでは本当にお金に換金できるかどうか分かりません。

これまでに解説してきました通り、資産とは将来、入ってきそうなお金ですから、入らないお金は資産ではないため、資産として計上しないようにします。

しかし、いくら貸し倒れるのか貸借対照表を作成した時点で分かるといいのですが、将来のことなので、確定した金額は分かりません。

かといって受取手形や売掛金をそのまま全額計上するというのも健全な会計処理とはいえません。

企業会計原則は、会社は「保守主義の原則」によって、予測される将来の危険に備えて、慎重な判断に基づく会計処理を行わなければいけないとしています。


【貸倒引当金の計上ルール】

それでは、どうするのか。それは、固定資産の減価償却(げんかしょうきゃく)と同じように、一定のルールで貸し倒れの金額を計算して資産の減少として貸借対照表に貸倒引当金として表示させます(金融商品に関する会計基準)。

具体的な会計処理の手続きは次の通りです。

1.貸倒引当金の対象となる資産を確認する

金銭債権(きんせんさいけん)」が該当します。要するに取引先との間で、お金をもらう約束をしている取引で発生したものです。

例えば、「受取手形」「売掛金」「未収入金」「長期貸付金」などが該当します。

棚卸資産や建物などは金銭債権に該当しません。

なぜならば販売・売却の前であるため、まだ取引先との間でお金をもらう約束をしていないからです。

棚卸資産は販売する時にお金をもらう約束が交わされ、棚卸資産を出荷や納品を行い、請求して初めて受取手形や売掛金になります。

建物は通常は最後まで売上利益の貢献のために使用するので金銭債権の対象になるようなものではありません。

なんらかの理由で建物を売却することになった場合には、未収入金になるのでその場合は金銭債権です。

2.金銭債権を3つに区分する

次に金銭債権を3つに区分します。3つの区分とは、下の通りです。

  • 1)一般債権(いっぱんさいけん):経営状態に重大な問題が生じていない債権者に対する債権
  • 2)貸倒懸念債権(かしだおれけねんさいけん):経営破綻の状態には至っていないが、債務の弁済に重大な問題が生じているか又は生じる可能性の高い債務者に対する債権
  • 3)破産更生債権等:経営破綻又は実質的に経営破綻に陥っている債務者に対する債権

3.貸倒見積高の算定

3つの区分毎に貸倒見積高を算定します。

具体的には一般債権については過去の貸倒実績の状況に基づいて算定し、残り2つの区分については取引先の経営状況や担保額などを考慮して個別に算定します。

上記の定義からお分かりだと思いますが、3)破産更生債権等は、最も厳しく貸倒を見積もることになります。

4.貸倒引当金の計上

上記の貸借対照表では、流動資産と固定資産それぞれに貸倒引当金を表示しています。

このように流動資産と固定資産それぞれの区分毎に貸倒引当金を計上します。

例えば、売掛金100のうち、5を貸倒引当金として見積もった場合には流動資産の貸倒引当金として表示します。

長期貸付金の貸倒引当金であれば、固定資産の貸倒引当金として表示します。

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