会計入門その17~純資産とは(出資や株主、株式について)

更新日:2018年12月27日
作成日:2012年5月2日

純資産とは(出資や株主、株式について)

前回、「会計入門その16~リース債務と退職給付引当金」では、固定負債のうち、リース債務と退職給付引当金について説明しました。

今回は純資産について説明します。

純資産は出資や会社の種類とも関係が深い用語です。

そこで借入と出資の違いや、株式会社に代表される会社の種類も併せて解説していきます。

<学習ポイント>
1.純資産
2.借入と出資の違い
3.会社の種類
 ・株式会社
 ・その他の会社


貸借対照表
純資産とは

まずは復習から。「会計入門その4~資産と負債、純資産の関係」にて、純資産を次のように説明しました。

純資産:お金をどれだけ出資者(株主)から預かっており、そのお金でビジネス活動を通じて累計でどれだけ儲かったか(または損したか)。

会社はビジネス活動を行う時に、始めにお金を集めます。銀行から借り入れることもあれば、経営者自身がお金を出す(出資する)こともあるでしょう。また、経営者が知り合いに頼んでお金を出資してもらうこともあります(エンジェル投資といいます)。

もし、銀行などからお金を借りた時には「短期借入金」や「長期借入金」の科目で計上することになります。

一方で、経営者自身であろうとその他の者であろうと、会社の出資者としてお金を出してもらったときには、この純資産の部の科目で計上することになります。

このように出資や借入れでお金を集めた後、会社はこのお金を元手として、ビジネス活動を通じて売上利益を獲得してお金を増やしていきます。この増えたお金についても純資産の部で計上し把握します。


借入れと出資の違い

借入れは、金銭消費貸借契約に基づきお金を借りることであり、借りている期間中は利息を支払います。また、最終的にはお金を返さないといけません。

それに対して出資とは、出資した者が会社の所有者になるということです。

「会社は社長(経営者)のもの」という誤解をされている方がいるかもしれませんが、厳密には「会社は出資者のもの」ということになります。日本の会社ではオーナー企業である場合が多いので「会社は社長のもの」というケースも多いのですが、社長以外の人間が出資している場合もあります。その場合にはその出資している割合で各々が会社を所有しているということになります。

言い換えると、出資とは「会社経営に参加する権利」を購入することです。

会社の所有者である以上、会社の売上利益獲得に向けて会社経営に参加することになります。利益が出れば出資者のもの、赤字になっても会社の所有者である出資者の責任、ということになります。従って、借入れの場合のように会社はお金を返す必要はありません。また利息を支払う必要がありません。

その代わり、会社に利益が出た場合には配当が出資者に支払われることになります。またこの「会社に経営する権利」は他の人間に売却することもできます。もし利益が出ている会社で有名な会社であれば当初お金を出した金額よりもずっと高い金額で売却することができるかもしれません。

以上のように、出資は、借入れに比べてハイリスク・ハイリターンということになります。


会社の種類について

ちなみに現在、設立可能な会社の種類としては、合名会社、合資会社、合同会社、株式会社の4種類があります。

以前は有限会社が設立できたのですが、新たに会社法という法律が施行されてからは、有限会社は設立できなくなってしまいました(過去に有限会社を設立した場合はそのまま社名変更せずにそのまま活動することができます)。

出資者のうち、株式会社の場合の出資者を特に株主といい、「会社の経営に参加する権利」を株式といいます。

株式と聞くと売買を繰り返してお金を増やすだけのもの、というイメージを持つ方もいると思いますが、本来的には、しっかりと株主総会に出席し、会社を良くしていくべく、真剣に会社経営に参加し、売上利益を拡大させさらに事業を拡大させていくということです。

中にはこのように本来の意味で株主となっている方ももちろん存在し長期的視野に立って会社経営に参加しています。このような考えが日本にも根付き、悪いイメージが払拭されるといい、と個人的には思います。


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記事一覧


  • 1.概要
    その 1~はじめに(必ずお読み下さい)
    その2~ なぜ決算書を作成するのか?

  • 2.貸借対照表
    その3~ 貸借対照表の見方
    その4~ 資産と負債、純資産の関係

  • 3.資産の部
    その5~ 資産の区分、受取手形と売掛金、有価証券
    その6~ 棚卸資産
    その7~ 未収入金と経過勘定
    その8~ 固定資産の区分
    その9~ 減価償却と資産計上
    その10~ 固定資産と時価主義
    その11~ 固定資産と減損会計
    その12~ 貸倒引当金

  • 4.負債の部
    その13~ 負債の区分 支払手形と買掛金、短期借入金
    その14~ 未払金と経過勘定
    その15~ 未払法人税等と預り金
    その16~ リース債務と退職給付引当金

  • 5.純資産の部
    その17~ 純資産とは
    その18~ 資本金と資本準備金
    その19~ 資本取引・損益取引区分の原則
    その20~ 貸借対照表の分析

  • 6.損益計算書
    その21~ 損益計算書とは
    その22~ 売上高と実現主義
    その23~ 売上原価と費用収益対応の原則
    その24~ 売上総利益と粗利率・原価率
    その25~ 販売費及び一般管理費
    その26~ 営業利益・営業利益率
    その27~ 営業外収益・費用と経常利益
    その28~ 特別損益と当期純利益その他

  • 7.財務分析
    その29~ 財務指標
    その30~ B/SとP/Lの財務分析


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