会計入門 資本金と資本準備金

更新日:2019年7月16日
作成日:2012年5月4日

前回、「会計入門その17~純資産とは(出資や株主、株式について)」では、純資産について解説しました。

今回は純資産の科目のうち、資本金と資本準備金について解説していきます。

特に資本金が会社活動上で重要な役割を果たす理由や、資本準備金の活用場面について言及しながら解説します。

会社の設立

資本金や資本準備金が増減する取引はいくつか存在しますが、代表的な増加の取引は会社設立です。

例えば、会社を設立するにあたって経営者は数人の知人から出資してもらい株主になってもらいました。結果として合計1千万円のお金を集めることができました。

この時の貸借対照表は次の通りとなります。

この時点で現金及び預金に1千万円を計上すると同時に資本金資本準備金が増加します。

資本金

資本金(しほんきん)」は皆さんも聞いたことのある言葉だと思います。

例えば、会社のホームページを見ると、会社概要に資本金の額が記載されている場合もあります。

資本金は会社に出資があった時に使用する科目です。この科目を見れば、会社がどれだけ株主(=会社の所有者)からお金を預っているかが分かります。

資本金は重要な科目です。なぜならば、会社設立時には会社はまだ実質的なビジネス活動は行っていないため、当然、売上や利益が計上されているわけではなく、取引先もいないからです。

従って、外部の人間からすると信用していい会社かどうかは分かりません。

それではどこを見るかというと、「会社にどれだけの元手があるか」が分かる資本金の額です。

もちろん資本金だけを見ているわけではありませんが重要な指標になります。

会社設立時点では、この資本金がお金として現金及び預金で計上されていますが、今後購買などのビジネス活動を通じて別の資産、例えば棚卸資産や建物、工具器具備品等に替わります。

しかし、どんな形であれ、重要なのは「資本金の額に見合った資産が会社にあるかどうか」ということです。

いったん出資があったからには、簡単に資本金の額を減少させることはできません。減少させることができないということは、会社は少なくとも同額の資産を保有していなければならないということです。

例えば、現在5百万円の資本金を2百万円に減少させ、減少した3百万円は自分のふところに入れてしまう、といったことを防がないといけません。

なぜならば、資本金の額を見て安心して会社と取引している外部の人間(特に会社債権者)を保護する必要があるからです。

以上から、会社への出資については会社法で厳格な手続が定められています。

手続が厳格であるため出資が完了するまでに数ヶ月もかかってしまうことは珍しくなく、手続も煩雑ですが、このような理由があるからです。

資本準備金

さて、以上の通り、出資の手続きは債権者保護のために厳格な手続が求められますが、今回の例では出資は1千万円であるにも関わらず、資本金は1千万円ではなく5百万円になっています。

確かに会社債権者を保護するのであれば全額資本金に計上すべきかもしれません。

一方で資本金を減少させる合理的な理由がある場合には、もう少し拘束力の弱い「資本金に準じた科目」があると手続的にも比較的スムーズに進みます。

このようなケースに対応するために「資本準備金(しほんじゅんびきん)」という科目があります。

資本準備金は資本金よりも柔軟に使用できる科目です(といっても自分のふところに入れることができるわけではもちろんありません)。

出資のうち2分の1までを資本準備金にしてもいいという会社法上のルールがあります。

このルールに従って、上のケースでも1千万円のうち5百万円を資本準備金に計上しています。実務でも通常は2分の1を資本準備金に計上します。

資本準備金の取り崩しと欠損填補

ではどういった場合に、より柔軟に資本準備金を使用できるかというと、例えば、欠損填補(けっそんてんぽ)があります。

次の2つの貸借対照表をご覧下さい。

上の貸借対照表ですが、繰越利益剰余金がマイナス150万円となっています。

繰越利益剰余金(くりこしりえきじょうよきん)」とは、「これまでのビジネス活動を通じて決算を経てきた結果、累積した損益であり、会社が累積して儲かっているのかどうか」が分かる表示科目です。

今回のケースでは赤字が累積し、繰越利益剰余金がマイナスとなりました。

これを「繰越欠損(くりこしけっそん)」といいます。

このままですと貸借対照表上の見栄えがよくありません。

また繰越剰余金がマイナスになっていると、「今期の決算では黒字だったのにまだ累積では赤字なのか」といったことにもなり、新たな気持ちでビジネスを進めるモチベーションも下がってしまいます。

そこで、この欠損を資本準備金と相殺させることで欠損填補することが会社法上のルールとして認められています。

具体的には株主総会で普通決議の承認を得ることで欠損填補を行うことができます(株式数による多数決。人数による多数決ではありません)。

決議の結果、矢印の下の貸借対照表となり、繰越利益剰余金がゼロになりました。

併せて資本準備金も5百万円から350万円に減少しています。

これで貸借対照表上の見栄えは良くなりました。

ただし、株主から預っているお金を減らすという決断を下すことになりますし、「今後の会社の事業でこの赤字を取り戻すことはできないので減少するのか」と考える人もいるでしょう。

社内外に与える影響を考えると、実務では軽々しく資本準備金の減少はできるはずはなく、慎重に会社内で検討する必要があります。

関連記事

戻る | 次へ