会計入門その21~損益計算書とは(認識、現金主義と発生主義)

更新日:2018年12月27日
作成日:2012年5月14日

損益計算書とは(認識、現金主義と発生主義)

前回、「会計入門その20~貸借対照表の分析」では、貸借対照表の分析について説明しました。

今回から損益計算書について解説します。

損益計算書とは簡単にいうと次の通りです。

「会社が、ある期間中にどれだけ儲かったかが分かる資料」

貸借対照表の「繰越利益剰余金」では、事業を始めてから今までの累計でどれだけ儲かったかは分かりますが、ある決算期にどれだけ儲けたのかは分かりません。

そこで、ある期間中にどれだけ儲けたかが分かるように損益計算書を作成します。損益計算書は決算毎、すなわち1年毎に作成するのはもちろんですが、月次や半期、四半期でも作成することがあります。

<学習ポイント>
1.損益計算書の見方
 ・経営成績
 ・黒字と赤字
2.収益、費用、利益
3.現金主義と発生主義


損益計算書を見てみよう

架空の会社の損益計算書を下に掲載しました。

損益計算書

この会社が、平成29年1月1日から平成29年12月31日までの1年間でどれだけ儲かったかが分かります。

「儲かったかどうか」ということを、「経営成績」といいます。

また、儲かった場合とは、損益計算書の「〇〇利益」と表示されている箇所、すなわち、「売上総利益」「営業利益」「経常利益」「税引前当期純利益」「当期純利益」がプラスである場合をいいます。黒字ともいいます。

例えばこの会社では、「平成29年1月1日から平成29年12月31日までの経営成績は、当期純利益が15,864千円の黒字だった。」といったように説明することができます。

一方で、儲からなかった場合、言い換えると「損をした(損失であったとも)」場合とは、「売上総利益」「営業利益」「経常利益」「税引前当期純利益」「当期純利益」がマイナスである場合をいいます。赤字ともいいます。

例えば、当期純利益が1千万円の赤字である場合には、上記の損益計算書では単位が千円単位であるため、「当期純利益 -10,000」と表示します。

他にも赤字の場合の表示には、「当期純利益 △10,000」「当期純利益 △10,000」「当期純損失 10,000」など、いくつかの表示方法があります。

損益計算書には、貸借対照表と同様に区分や科目があります。売上高は聞いたことがあると思いますが、見慣れない区分や科目もあると思います。次回から説明します。


損益計算書の3要素

上記の損益計算書には大きく分けて3つの要素があります。それは、「収益」「費用」「利益」です。それぞれの説明は次の通りです。

収益:会社にお金が入ってくる要因
費用:会社からお金が出ていく要因
利益:収益から費用を差し引いて求められる会社の儲け(または損失)

また、収益・費用・利益の各区分・科目は次の通りです。

収益:売上高、営業外収益、特別利益
費用:売上原価、販売費及び一般管理費、営業外費用、特別損失
利益:売上総利益、営業利益、経常利益、特別利益、税引き前当期純利益、当期純利益

区分や科目はこれから覚えていくとして、収益、費用、利益(損失)の3要素についてもう少し説明します。

【3要素の関係】
この3要素の関係は次の通りです。

収益-費用=利益

この式は家計簿の、「収入-支出=収支」と似ていることが分かると思います。

【現金主義と発生主義】
しかし、違う点があります。それは、家計簿ではお金が入ってきた時や出ていった時の日付で収入や支出を計上するのですが、損益計算書では、お金が入っていなくても収益を計上することもあれば、逆にお金が入ってきているのに収益を計上しない、ということがあります。費用についても同様です。

つまり、上の表で「収益は会社にお金が入ってくる要因」と説明していますが、そのお金が入ってくるのは、過去の場合もあれば現在、未来の場合もある、ということです。

費用も同様です。従って収益と費用の差し引きで求められる利益も同様です。

例えば、「会計入門その5~資産の区分、受取手形と売掛金、有価証券」で説明した売掛金は、モノやサービスを販売したにも関わらずお金は入っていません。しかし、1ヵ月後、2ヵ月後など、近い将来にお金をもらう約束(契約)はしています、モノやサービスを販売した時点でお金をもらっていなくても収益(ここでは売上高)を計上することになります。

このように、どの時点で収益や費用、収入や支出を計上するのかという考え方を、会計用語で認識といいます。

そして、家計簿の収入や支出のように、お金が入ってきた時やお金が出ていった時にその日付で計上する認識の考え方を現金主義といい、このような会計を現金主義会計といいます。

一方で、上の例えで説明したように、お金が入ってきた時や出ていった時ではなく、モノやサービスを販売した時や消費した時に収益や費用を計上する認識の考え方を発生主義(収益の場合は、実現主義とも)といい、このような会計を発生主義会計といいます。

事業を始めたうちは、会社であっても家計簿と同じように、現金主義で収益や費用を計上している会社も多く存在します。しかし、段々と会社が大きくなるに従って、適正な損益計算書の作成が会社の内外で求められるようになり、会計の認識を現金主義会計から発生主義会計に移行していくようになります。


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記事一覧


  • 1.概要
    その 1~はじめに(必ずお読み下さい)
    その2~ なぜ決算書を作成するのか?

  • 2.貸借対照表
    その3~ 貸借対照表の見方
    その4~ 資産と負債、純資産の関係

  • 3.資産の部
    その5~ 資産の区分、受取手形と売掛金、有価証券
    その6~ 棚卸資産
    その7~ 未収入金と経過勘定
    その8~ 固定資産の区分
    その9~ 減価償却と資産計上
    その10~ 固定資産と時価主義
    その11~ 固定資産と減損会計
    その12~ 貸倒引当金

  • 4.負債の部
    その13~ 負債の区分 支払手形と買掛金、短期借入金
    その14~ 未払金と経過勘定
    その15~ 未払法人税等と預り金
    その16~ リース債務と退職給付引当金

  • 5.純資産の部
    その17~ 純資産とは
    その18~ 資本金と資本準備金
    その19~ 資本取引・損益取引区分の原則
    その20~ 貸借対照表の分析

  • 6.損益計算書
    その21~ 損益計算書とは
    その22~ 売上高と実現主義
    その23~ 売上原価と費用収益対応の原則
    その24~ 売上総利益と粗利率・原価率
    その25~ 販売費及び一般管理費
    その26~ 営業利益・営業利益率
    その27~ 営業外収益・費用と経常利益
    その28~ 特別損益と当期純利益その他

  • 7.財務分析
    その29~ 財務指標
    その30~ B/SとP/Lの財務分析


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