会計入門その28~特別損益と当期純利益その他

更新日:2018年12月27日
作成日:2012年5月30日

特別損益と当期純利益その他

前回、「会計入門その27~営業外収益・費用と経常利益」では、営業外収益・費用と経常利益について説明しました。

今回は、特別損益や当期純利益等について説明します。

特別損益について、性質や含まれる表示科目について説明した後に、特別損益に含めるかどうかの判断基準を解説します。

特に特別損益の重要な科目である評価損について、詳細な説明をしているため、理解を深めることができます。

<学習ポイント>
1.特別損益
 ・性質
 ・科目
 ・判断基準
 ・評価損についてbr /> 2.当期純利益


損益計算書
特別損益とは

特別損益(とくべつそんえき)とは、特別利益と特別損失を総称した言葉です。

利益や損失という言葉が付いていますが、特別利益は収益の区分、特別損失は費用の区分となります。利益の区分ではないので間違えないようにしましょう。

特別利益も特別損失も、経常利益の次に表示されます(最初に特別利益、その次に特別損失を表示)。

【特別損益の性質】

経常利益は、「通常」の会社の活動の成果を表すということを前回、「会計入門その27~営業外収益・費用と経常利益」で説明しました。

それに対して特別利益や特別損失では、その名称の通り、「特別」、つまり会社の通常の活動ではない内容を扱う区分となっております。

【特別損益に含まれる科目】

特別損益に含まれる科目としては次の科目があります。

特別利益:固定資産売却益、有価証券売却益、貸倒引当金戻入、その他
特別損失:固定資産売却損、有価証券売却損、災害損失、有価証券評価損、減損損失、その他

科目の内容についてはネット検索や書籍等で調べてみて下さい。いくつかポイントとなる点について説明します。

【特別損益の判断】

特別損益の科目としては上記のようなものがあります。しかし、特別損益の区分は「特別」であり、会社特有の様々な「特別」なケースがあるため、上記科目には当てはまらない場合もあります。

従って、特別損益の区分とするのか、経常損益より上の区分(営業外収益・費用や販管費等)にするのか、判断するための基準が次の2点です。

臨時かどうか
巨額かどうか

この2点を満たした場合には特別損益の区分、そうでなければ経常損益より上の区分で表示します。


【資産の評価損について】

会計入門その11~固定資産と減損会計」にて、資産科目の決算時の評価について説明しました。

減損会計や時価主義による検討の結果、評価損が生じた場合には、損益計算書上の決められた区分にて評価損を計上する必要があります。

ここでは特別損失と関連させて、より具体的に説明すると次の通りです。

1.受取手形や売掛金、貸付金等(金銭債権)
将来、得意先や貸付先の倒産等により債権を回収できないと予想される場合には貸倒引当金を計上。決算時に貸倒引当金を見積った結果、前期に計上した貸倒引当金よりも金額が増加する場合にはその増加分だけ「貸倒引当金繰り入れ(繰入額)」として販管費(受取手形や売掛金)又は営業外費用(貸付金)に計上する(臨時・巨額の場合は特別損失)。

2.棚卸資産
棚卸資産に係る会計基準を適用し検討した結果、評価損を計上する場合には、棚卸資産評価損等、適当な科目により、売上原価・製造原価として計上する(臨時・巨額の場合は特別損失)。

3.固定資産
減損損失に係る会計基準を適用し検討した結果、評価損を計上する場合には、「減損損失」として特別損失に計上する。

4.投資有価証券・子会社株式
投資有価証券や子会社株式について減損会計を適用して検討した結果、評価損を計上する場合には、「投資有価証券評価損」「子会社株式評価損」として特別損失に計上する。

【評価損の計上に関する問題】

これらの評価損は金額が非常に大きくなる場合もあり、その結果、経常利益の区分ではプラスであったにも関わらず、最終利益(当期純利益)の区分ではマイナス(つまり当期純損失)となってしまうケースがみられます。なので会社側の判断により、評価損を計上しないケースも存在します。

また、本来は売上原価、販管費、営業外費用の区分で計上すべき金額を特別損失で計上しようとするケースもあります(そうすれば売上総利益、営業利益、経常利益では数字が良くなるため)。

このように資産の評価損については、計上するかしないか、どの区分で計上するのか、といった点で、会社側と監査法人側とで議論となるケースがよくあります。将来、経理や会計分野で活躍したいとお考えの方はこの点を覚えておくと後々役に立つと思います。


当期純利益

特別損益の区分の下に「税引前当期純利益(ぜいびきまえとうきじゅんりえき)」が表示されます(マイナスの場合は税引前当期純損失)。

計算式は次の通りです。

税引前当期純利益=経常利益+特別利益-特別損失

そして次に「法人税、住民税及び事業税」が表示され、最後に「当期純利益(とうきじゅんりえき)」が表示されます(マイナスの場合は当期純損失)。

当期純利益=税引前当期純利益-法人税、住民税及び事業税

【当期純利益から分かること】

経常利益は、「会社の通常の活動から得られた成果」を表すと、「会計入門その27~営業外収益・費用と経常利益」で説明しました。

当期純利益では特別損益項目や税金も含めた金額となります。従って、当期純利益は「その決算期における会社の全ての活動の成果」を表すということになります。

損益計算書上の指標としては営業利益や経常利益が重要視されますが、最終利益である当期純利益に基づいて株主に配当されたり、当期純利益の金額が、貸借対照表上の「繰越利益剰余金」が増減する元になるので、当期純利益ももちろん重要な数字となります。


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  • 1.概要
    その 1~はじめに(必ずお読み下さい)
    その2~ なぜ決算書を作成するのか?

  • 2.貸借対照表
    その3~ 貸借対照表の見方
    その4~ 資産と負債、純資産の関係

  • 3.資産の部
    その5~ 資産の区分、受取手形と売掛金、有価証券
    その6~ 棚卸資産
    その7~ 未収入金と経過勘定
    その8~ 固定資産の区分
    その9~ 減価償却と資産計上
    その10~ 固定資産と時価主義
    その11~ 固定資産と減損会計
    その12~ 貸倒引当金

  • 4.負債の部
    その13~ 負債の区分 支払手形と買掛金、短期借入金
    その14~ 未払金と経過勘定
    その15~ 未払法人税等と預り金
    その16~ リース債務と退職給付引当金

  • 5.純資産の部
    その17~ 純資産とは
    その18~ 資本金と資本準備金
    その19~ 資本取引・損益取引区分の原則
    その20~ 貸借対照表の分析

  • 6.損益計算書
    その21~ 損益計算書とは
    その22~ 売上高と実現主義
    その23~ 売上原価と費用収益対応の原則
    その24~ 売上総利益と粗利率・原価率
    その25~ 販売費及び一般管理費
    その26~ 営業利益・営業利益率
    その27~ 営業外収益・費用と経常利益
    その28~ 特別損益と当期純利益その他

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