会計入門その29~財務指標

更新日:2018年12月27日
作成日:2012年5月30日

財務指標

前回、「会計入門その28~特別損益と当期純利益その他」では、特別損益と当期純利益等について説明しました。

今回は、財務指標について説明します。

様々な財務指標を一覧表にまとめました。

そして、財務指標の中から、例として流動比率と投資収益率(ROI)について詳細に解説しています。

特にROIは複数の投資案からどれを選択するか?といった応用問題を挙げて具体的に解説しました。

<学習ポイント>
1.財務指標
 ・一覧  ・流動比率
 ・投資収益率(ROI)
4.応用例
 ・投資案の選択


貸借対照表 損益計算書
財務指標

財務指標(ざいむしひょう)とは、決算書データなどを用いて算出される、経営分析を行う際に有用となる数値をいいます。

これまでにもいくつか財務指標を紹介してきましたが、主な財務指標について一覧表を下に掲載します。「今回ケース」の欄には、上の貸借対照表、損益計算書のデータを用いた場合の数字を記載しています(空欄になっているところは、データが足りず算出できない箇所です)。

財務指標一覧

様々な財務指標があります。今回は上記のうち2つ程、説明します。


【流動比率】

流動比率は、財務の安全性を示す指標です。

これまでに資産と負債について説明してきました(資産は「会計入門その4~資産と負債、純資産の関係」、負債は「会計入門その13~負債の区分 支払手形と買掛金、短期借入金」を参照)。

資産は将来お金が入ってきそうなモノ・サービス(権利)、負債は将来お金が出ていきそうなモノ・サービス(義務)、です。

しかも流動資産や流動負債は、1年以内に左記が実現することが予想されるものです。

従って、流動資産と流動負債の比率を表す流動比率は、近い将来の会社の財務状況を簡易的に示す指標ということができます。

流動比率が100%以上であれば、流動資産>流動負債であり、近い将来にお金が入ってきそうなものがお金が出ていきそうなものより多いため、財務状況は安全ということができます。

【投資収益率(ROI)】

投資収益率(ROI)は、投資の有効性や効率性を示す指標です。

投資収益率(ROI)(%) = 利益 / 投資額 × 100

利益を上げるためには、資金調達を行ってお金を集め、モノ・サービスを仕入れ・製造してお客に販売しないといけません。

ここで、資金調達の手段としては出資(自己資本)してもらう方法と借り入れを行う方法(社債を含み、総称して他人資本といいます)があります。また、これまでに稼いだ儲け(繰越利益剰余金)を新たにビジネスに資金注入するという方法もあります(これも自己資本です)。

このように新たなビジネスにお金を注ぎ込むことを投資といいます。また投資したお金のことを投下資本といいます。

以上から、利益と投下資本である自己資本(株主資本)や借入金、社債の合計額の比率であるROIは、どれだけ効率的、有効的に投資を行って利益を稼いでいるかを簡易的に示す指標ということができます。

※利益はいろいろと考えることができます。上述の財務指標一覧表のように経常利益を用いる場合もあれば、(経常利益+支払利息)を使用する場合もあります。また、利益ではなくキャッシュフローをベースとして計算する場合もあります。


財務指標の応用例(ROIを例に)

ROIを使用した応用例をみてみましょう。例えば、ズボンを製造販売している会社で新しくズボンを製造販売しようということになりました。

そこで、社内で案を募集した結果、5つの案が出てきました。それが次の表です。案(プロジェクト)毎に売上高や営業利益等、決算データと同様の数字が集計されています。

このようにプロジェクト毎や部門毎といった単位で売上や利益を管理する手法を、管理会計といいます。

ROI

どの案も利益が出ることが予想されるのですが、投資額の上限は150であるため、全ての案を実行するというわけにはいきません。

営業利益率ではE案が一番なのでE案を実行したいところですが、ROIで検討するとC>D>B>A=Eとなり、Eは最も悪くなります。E案は多額の投資を必要とするため投資の効率性・有効性があまりよくないということになります。

結局、この会社ではROIを重視しているため、ROIの高い順に、C案、D案、B案を採用。残りの投資額が50あることからA案も追加で採用しました(E案はROIがA案と同じですが投資額が大きいので採用できません)。

ちなみに今回採用した4案(A~D案、ケース1)とA案・E案を採用した場合(ケース2)とを比較してみると、次の通りです。

ROI その2

【補足】今回の例は、ケース1が必ず正解というわけではありません。ROIを重視している会社であれば上記の通り採用することになりますが、営業利益率を重視していればE案を真っ先に採用するはずです。


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記事一覧


  • 1.概要
    その 1~はじめに(必ずお読み下さい)
    その2~ なぜ決算書を作成するのか?

  • 2.貸借対照表
    その3~ 貸借対照表の見方
    その4~ 資産と負債、純資産の関係

  • 3.資産の部
    その5~ 資産の区分、受取手形と売掛金、有価証券
    その6~ 棚卸資産
    その7~ 未収入金と経過勘定
    その8~ 固定資産の区分
    その9~ 減価償却と資産計上
    その10~ 固定資産と時価主義
    その11~ 固定資産と減損会計
    その12~ 貸倒引当金

  • 4.負債の部
    その13~ 負債の区分 支払手形と買掛金、短期借入金
    その14~ 未払金と経過勘定
    その15~ 未払法人税等と預り金
    その16~ リース債務と退職給付引当金

  • 5.純資産の部
    その17~ 純資産とは
    その18~ 資本金と資本準備金
    その19~ 資本取引・損益取引区分の原則
    その20~ 貸借対照表の分析

  • 6.損益計算書
    その21~ 損益計算書とは
    その22~ 売上高と実現主義
    その23~ 売上原価と費用収益対応の原則
    その24~ 売上総利益と粗利率・原価率
    その25~ 販売費及び一般管理費
    その26~ 営業利益・営業利益率
    その27~ 営業外収益・費用と経常利益
    その28~ 特別損益と当期純利益その他

  • 7.財務分析
    その29~ 財務指標
    その30~ B/SとP/Lの財務分析


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