原価計算入門その3~まとめ(1)実際原価計算

更新日:2019年7月27日
作成日:2016年11月4日

実際原価計算の全体像をまとめました

原価計算の全体像を把握したい時や、各ページの解説で、この項目が原価計算全体の中でどの部分に該当するのか理解したい時にご利用下さい。




【実際原価計算の流れ】

実際原価計算の流れは次の通りです。

【1.費目別計算】

<手続き1-1>費目の分類

取引や原価活動を確認して、発生した原価を材料費(ざいりょうひ)、労務費(ろうむひ)、経費(けいひ)に分類します。

<手続き1-2>直接費と間接費の分類

材料費、労務費、経費をそれぞれ、直接費(ちょくせつひ)と間接費(かんせつひ)に分類します。

<手続き1-3>製造間接費への集計

間接材料費、間接労務費、間接経費は全て「製造間接費(せいぞうかんせつひ)」に集計します。

以上の手続きによって、最終的には原価を直接材料費、直接労務費、直接経費、製造間接費に集計します。

【2.部門別計算】

分類した費目のうち、製造間接費についてはさらに「部門別計算(ぶもんべつけいさん)」を行う場合があります。

※部門別計算のメリットは、製造間接費を部門毎に集計して予定配賦率を設定することで、より正確な原価計算を可能にすることです。

<手続き2-1>部門の設定と各部門への製造間接費の集計

製造部門(せいぞうぶもん)と補助部門(ほじょぶもん)を設定して、各部門毎に部門個別費(ぶもんこべつひ)と部門共通費(ぶもんきょうつうひ)を集計します。

<手続き2-2>製造部門への製造間接費の集計

各部門の配賦基準に基づき、直接配賦法や相互配賦法といった手法を用いて、最終的には全ての原価を各製造部門に集計させます。

製品部門に集計させた原価は、その製品部門の配賦基準に基づき製品の製造間接費として製造に投入されます。

【3.実際原価、予定原価の計算と差異分析】

<手続き3-1>実際原価の計算

実際原価を用いて原価を計算します(実際原価 = 実際価格 × 実際数量)。

<手続き3-2>予定原価の計算と差異分析

実際価格の代わりに予定価格を使用して原価を計算できます(実際原価 = 予定価格 × 実際数量)。

予定価格を用いた場合であっても実際原価は集計し、予定価格で計算した予定原価との差異を分析します。

特に、製造間接費の予定価格を「予定配賦率(よていはいふりつ)」といい、予定配賦率を用いて計算した製造間接費の予定原価を「予定配賦額(よていはいふがく)」といいます。

製造間接費の予定配賦額は、同じく製造間接費の実際原価と比較して差異分析を行い、「予算差異(よさんさい)」「操業度差異(そうぎょうどさい)」という2種類の差異を計算します。

※予定価格で原価を計算しても、製造原価報告書や損益計算書に表示させる最終的な原価の金額は実際価格による実際原価です。

※予定価格を用いるメリットは、実際原価を把握しなくても原価を計算できることや、差異分析を行うことで価格(単価)に関する原価管理ができることです。




【4.製品別計算】

これまでに集計した原価を製造工程に投入し、すでに投入済みの前月仕掛品も含めて、完成品原価と期末仕掛品原価に配分する手続きを行います。

<手続き4-1>各科目から仕掛品勘定への振り替え

直接材料費と直接労務費は費目別計算が終了した段階で、製造間接費は部門別計算が終了した段階で、それぞれ、消費した材料費、消費した労務費、発生した製造間接費が計算されているので、それらを各費目の勘定科目から仕掛品勘定に振り替えます(製造への投入)。

<手続き4-2>個別原価計算と総合原価計算の選択

投入された仕掛品は、製品の生産形態が受注生産(オーダーメード)であれば「個別原価計算(こべつげんかけいさん)」、見込生産であれば「総合原価計算(そうごうげんかけいさん)」を採用して完成品原価を求めます。

総合原価計算では、生産形態の違いにより、さらに単純総合原価計算、等級別総合原価計算、組別総合原価計算、工程別総合原価計算に区分して製品別計算を行います。

<手続き4-3>完成品原価と月末仕掛品原価の計算

選択した原価計算方法に基づいて、完成品原価と月末仕掛品原価を計算します。

【5.売上原価の計上】

<手続き5-1>製品の受け払いと仕訳処理

完成した製品は仕掛品勘定から製品勘定へ振り替え処理を行います。

<手続き5-2>製品の販売と仕訳処理

製品が販売された場合には、売上を計上する仕訳処理を行うのとともに、製品勘定から売上原価勘定への振り替え処理を行います。

【6.損益計算書と製造原価報告書の作成】

上記1.から5.の手続きは月ごとに行います。

そして1年間手続きを行った後、決算手続きとして損益計算書(そんえきけいさんしょ)製造原価報告書(せいぞうげんかほうこくしょ)を作成します。

※貸借対照表も作成しますが、原価計算や工業簿記では解説しません。

実際原価計算では、予定価格を用いた場合に原価差異が発生します。

損益計算書や製造原価報告書のどこに原価差異を表示させるのかがポイントです。

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