工業簿記2級 先入先出法と平均法とは(入門)|材料の消費計算(ズボンメーカーの問題例)

更新日:2020年5月19日
作成日:2016年11月5日

前回に引き続き、材料費について解説します。

※この「原価計算入門」のサイトでは、2級レベルの工業簿記を、衣服メーカーを例として毎回解説しています。

種類別の勘定連絡図(個別、総合、標準)

クリックすると、実際個別原価計算、実際総合原価計算、標準原価計算それぞれの勘定連絡図(簿記2級で出題される典型的なケース)が別窓で開きます。

今回の学習はココ

先入先出法と平均法について学習します。工業簿記の計算段階でいうと、第1段階の費目別計算に該当します。

費目別計算(ひもくべつけいさん)とは材料費、労務費、経費といった費目を直接費と間接費に分類して計算・集計するための手続きをいいます。

具体的には上記の各勘定連絡図の左側に位置する材料、賃金、経費などの総勘定元帳から、仕掛品や製造間接費に分類して集計する手続きです。

先入先出法とは

先入先出法(さきいれさきだしほう)とは、先に仕入れたモノから先に払い出したと仮定して棚卸資産などの消費・払い出し単価を計算する方法をいいます。

例えば、食品に代表されるように古いモノから先に陳列棚の最前列に配置するといったように、実際のモノの払い出しにも合致するケースが多い方法といえます。

平均法とは

平均法(へいきんほう)とは、月や年といった一定の期間に存在したモノ(月初・期首の棚卸資産+当月・当期仕入や製造投入)の金額を総数量で割ることで算出した、その期間全体の平均を棚卸資産などの消費・払い出し単価とする方法をいいます。

工業簿記2級の本試験では平均法といった文言で出題されますが、「総平均法(そうへいきんほう)」が正式名称です(別の計算方法として「移動平均法(いどうへいきんほう)があります」)。

例えば、塗料や石油といった液体は一緒に混ぜた場合には、いつ仕入れたのか分かりません。このようなモノの場合には平均法は実態と整合する計算方法といえます。

工業簿記2級の出題形式

日商簿記2級の工業簿記では、実際総合原価計算の問題の中で、冒頭の設定コメント中に「完成品総合原価と月末仕掛品原価とに配分する方法」として先入先出法または平均法が出題されます。

材料消費時(払出時)の計算と仕訳例(ズボンメーカーを例に)

今回は先入先出法と平均法の初学者を対象とした解説を目的としているため、本試験の出題形式ではなく月の材料の払い出しを問題例にしました。

材料勘定のTフォーム

問題文から材料勘定のTフォーム(ボックス図)を作成すると次の通り。

?の部分を求めます。

先入先出法による消費単価の計算と仕訳

11/3の布の消費1,200枚の単価と仕訳は次の通り。

11/3の布の消費1,200枚は月初在庫も含めて先に仕入れた布から払い出したと仮定します。

従って、11/1(月初在庫)の200枚と11/2の仕入れ1,000枚を取り出したことになるため、両者の合計を1,200枚で割ることで消費単価を計算します。

※材料費の消費時の仕訳は下記の記事を参照。

先入先出法の計算(本試験用)

もう一つの計算方法。

「先に仕入れたモノから払い出したと仮定する」ということは別の言葉に置き換えると「月末在庫は新しく仕入れたモノから構成される」ということです。

従って、最初に月末在庫の金額を求め、その後、差し引き計算で当月消費を求めます。

本試験の出題形式ではこちらの方法が早く正確に解ける場合が多いです。

平均法による消費単価の計算と仕訳

ボックス図を再掲します。

11/3の布の消費1,200枚の単価と仕訳は次の通り。

11/3の布の消費1,200枚の金額は当月の全ての布(月初在庫含む)の合計平均から消費単価を計算して求めます。

従って、上記の消費単価@109.375円は当月消費の単価であると同時に月末在庫の単価でもあります。

次の問題と解答

材料の月末在庫の棚卸しに関連する継続記録法と棚卸計算法を解説します。両者の違いと棚卸減耗費との関係を押さえるのがポイント。

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