工業簿記2級 材料費(消費と月末の計算):原価計算入門

更新日:2019年11月23日
作成日:2016年11月5日

前回から引き続き、費目別計算のうち材料費について解説します。

材料費は、労務費や経費と同様、費目別計算の要素の1つです。今回は材料の消費時の仕訳や月末材料の計算、棚卸について説明します。

種類別の勘定連絡図(個別、総合、標準)

クリックすると、実際個別原価計算、実際総合原価計算、標準原価計算それぞれの勘定連絡図(簿記2級で出題される典型的なケース)が別窓で開きます。

今回の学習はココ

上記の勘定連絡図のうち材料について学習します。

工業簿記の計算段階でいうと、第1段階の費目別計算に該当します。

今回の学習-材料費と払い出し(消費)、先入先出法、棚卸減耗費用

費目別計算(ひもくべつけいさん)とは材料費、労務費、経費について直接費と間接費に分類して計算・集計するための手続きをいいます。

具体的には上記の実際個別、実際総合、標準といった各勘定連絡図の左側に位置する材料、賃金、経費などの総勘定元帳から、仕掛品や製造間接費に分類して集計する手続きをいいます。

材料の消費(払い出し)

例えばズボンを製造するために、
11月5日に主要材料である布を保管場所から1,200枚取り出したとします。

このような行為を「消費(払い出し)」といいます。

払い出す直前の、布の在庫と購入の状況は次の通りとします。

  • 11月1日 月初の在庫は200枚 @120円
  • 11月2日 1,000枚 @100円で購入。引取運賃が5,000円(掛け払い)。
  • 11月4日 400枚 @110円で購入。引取費用は2,000円(掛け払い)。

そして材料を購入した11月2日と4日の仕訳は次の通りとします。

  • <仕訳>
  • 11月2日 (借方)材料 105,000(貸方)買掛金 105,000
  • 11月4日 (借方)材料  46,000 (貸方)買掛金  46,000

仮にこのまま月末を迎えたとすると、材料勘定のTフォームは次の通りです。

材料勘定(Tフォーム)と払い出し計算

?の部分が今回のテーマである払い出しと月末材料です。

材料消費時(払出時)の計算と仕訳

?の部分を計算するためには次のことを学習します。

  • ・単価の計算方法:先入先出法、総平均法など
  • ・月末材料(次月繰越)数量の把握:継続記録法とたな卸計算法
  • ・たな卸減耗の有無:継続記録法を使用している時のみ

順番に解説します。

単価の計算:先入先出法と総平均法

代表的な方法として先入先出法と総平均法について説明します。

先入先出法(さきいれさきだしほう)

先に仕入(購入、受入とも)したものから先に出す(消費、払い出し)とみなして単価を計算する方法です。

11/5の布の消費1,200枚の単価と仕訳は次の通り。

<単価の計算>

(11/1 24,000円 + 11/2 105,000円)÷ (11/1 200枚 + 11/2 1,000枚) = @107.5円

<仕訳>

(借方)仕掛品 129,000 (貸方)材料 129,000

<解説>

計算:1,200枚×@107.5 = 129,000円

仕訳:ズボンを作るために布を払い出した=仕掛中(製造中)なので「仕掛品勘定」を使用します。

※布など素材費や買取部品費は直接材料費に該当するため仕掛品勘定で記帳しますが、糸など補助材料費や工場消耗品費、消耗工具器具備品費は間接材料費であるため、仕掛品ではなく製造間接費で記帳します。次回「8.材料費(費目別計算、まとめ)」で解説しています。

※仕掛品勘定ではなく「直接材料費勘定」で仕訳するパターンなどもあります。問題文を読み取って仕訳します。

<その他の仕訳例>

(借方)直接材料費 129,000 (貸方)材料 129,000

問題で直接材料費勘定が設定されている場合には、材料費から仕掛品へ振り替えるのではなく、直接材料費に振り替える方法があります。

材料から仕掛品へ直接振り替えてしまうと、実務では試験問題とは異なり沢山の取引を行っているため、仕掛品の借方のうち、どの取引が直接材料費に該当するのか把握するのが大変です。

そこで、材料と仕掛品の間に直接材料費という勘定科目を設定して、材料から直接材料費に振り替えれば、直接材料費に該当する取引を把握するのが楽になります。

この場合、冒頭でリンクした勘定連絡図(3種類)に直接材料費の総勘定元帳を追加した結果、勘定連絡図は次の通りになります。

直接材料費を使った仕訳
総平均法(そうへいきんほう)

月初在庫(前月繰越)と購入の合計から1単位当たりの平均単価を計算する方法です。

11/5の布の消費1,200枚の単価と仕訳は次の通り。

<単価の計算>

(11/1 24,000円 + 11/2 105,000円 + 11/4 46,000円)÷ (11/1 200枚 + 11/2 1,000枚 + 11/4 400枚) = @109.375円

<仕訳>

(借方)仕掛品 131,250 (貸方)材料 131,250

<解説>

計算:1,200枚×@109.375 = 131,250円

Tフォームの左側を合計して計算」します。

仕訳:先入先出法と同じです。

先入先出法や総平均法以外にも移動平均法や後入先出法などの方法があります。

月末材料(次月繰越)の計算

数量を把握する方法として継続記録法とたな卸計算法があります。

継続記録法(けいぞくきろくほう)

購入の記録と払い出しの取引を記録をすることで月末材料の数量を計算し、併せて実地たな卸を行うことでたな卸減耗費を把握する方法

たな卸計算法(たなおろしけいさんほう)

購入のみ記録しておき、実地たな卸を行うことで月末材料の数量を把握する方法。消費数量は左側(借方)と右側(貸方)の差額で計算する。たな卸減耗費は把握しない。

上の例では、11/5の払い出しの記録をしているので、この衣服メーカーは継続記録法で取引を記録しています。

上の例に次の設定を追加します。

(設定の追加)
「11/30 布の実地たな卸を行ったところ、数量は380枚であった。」

継続記録法の場合

継続記録法による記録では月末材料は400枚です。

しかし実際の数量をカウントしてみた結果、380枚でした。

20枚の差異が生じた原因はいろいろと考えられますが、この20枚を「たな卸減耗費(たなおろしげんもうひ)」として処理します。

月末材料の数量は380枚となります。

たな卸計算法の場合

仮にたな卸計算法を採用していた場合も月末材料の数量は実地たな卸の数量である380枚です(継続記録法と変わらず)。

しかし払い出しの記録を残していないので、帳簿上の月末材料の数量は分かりません。

従って、たな卸計算法ではたな卸減耗費を把握できません。結果として棚卸減耗費は払い出し数量に含まれることになります。

継続記録法による月末材料(次月繰越)とたな卸減耗費の計算
  • 先入先出法の場合
  • 月末材料:380枚 × @115 = 43,700円
  • たな卸減耗費:20枚 × @115 = 2,300円
  • ※先入先出法を採用しているので、在庫として残っているのは11/4に仕入れた単価115円です。
  • 総平均法の場合
  • 月末材料:380枚 × @109.375 = 41,562.5円→41,563円(四捨五入)
  • たな卸減耗費:20枚 × @109.375 = 2187.5円→2,187円
    ※総平均法では払出も月末材料も単価はすべて同じになります。
  • ※Tフォーム左側の合計と同じ金額になるようにするため、小数点以下について調整しています。
仕訳

(借方)製造間接費 ××× (貸方)材料

解説

たな卸減耗費は材料費ではなく、間接経費として分類します。

間接費であるため、仕掛品ではなく製造間接費に振り替えます。

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まとめ

今回は材料費のうち、消費時の仕訳や月末材料の計算について解説しました。次回は材料費の直接費・間接費の分類や仕訳を解説し、まとめを掲載します。

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