原価計算入門その7~材料費(消費と月末の計算)

作成日:2016年11月5日 更新日:2018年5月13日

前回から引き続き、費目別計算のうち材料費について解説します。

材料費は費目別計算の要素の1つです。
下記に学習上のポイントを参考に記載しました。ご利用ください。

※この「原価計算入門」のサイトでは、衣服メーカーを例として毎回解説しています。

【学習のポイント】

0.材料費となる要素の分類
1.材料の購入時:材料副費の取り扱い
2.材料の消費(払い出し)時:材料費の計算
 ①継続記録法と棚卸計算法の違い
 ②先入先出法と総平均法
 ③費目の分類
3.たな卸時:①月末材料の計算 ②たな卸減耗費の計算


【材料の消費(払い出し)】

11月5日にズボンを製造するために、
主要材料である布を保管場所から1,200枚を取り出しました。

これが消費(払い出し)です。

払い出す直前の、布の購入と消費の状況は次の通りです。

11月1日 月初の在庫は200枚 @120円
11月2日 1,000枚 @100円で購入。引取運賃が5,000円(掛け払い)。
11月4日 400枚 @110円で購入。引取費用は2,000円(掛け払い)。

前回説明した通り、11月2日と4日の仕訳は次の通りです。

<仕訳>
11月2日 (借方)材料 105,000(貸方)買掛金 105,000
11月4日 (借方)材料  46,000 (貸方)買掛金  46,000

仮にこのまま月末を迎えたとすると、材料勘定のTフォームは次の通り。

材料勘定
11/1 前月繰越 24,000(200枚 @120)11/5 ? ?円(1,200枚 @?)
11/2 買掛金 105,000(1,000枚 @105)
11/4 買掛金 46,000(400枚 @115)11/30 次月繰越 ?円(?枚 @?)

?の部分が今回のテーマである払い出しです。払い出しについて考えてみましょう。

【材料消費時(払出時)の計算と仕訳】

?の部分を分かるようにするためには次のことを知っておく必要があります。

・単価の計算方法:先入先出法、総平均法など
・月末材料(次月繰越)数量の把握:継続記録法とたな卸計算法
・たな卸減耗の有無:継続記録法を使用している時のみ

順番に解説します。



【単価の計算:先入先出法と総平均法】

先入先出法
先に仕入(購入、受入とも)したものから先に出す(消費、払い出し)
とみなして単価を計算する方法です。

11/5の布の消費1,200枚の単価と仕訳は次の通り。

<計算>
(11/1 24,000円 + 11/2 105,000円)÷ (11/1 200枚 + 11/2 1,000枚) = @107.5円

<仕訳>
(借方)仕掛品 129,000 (貸方)材料 129,000

<解説>
計算:1,200枚×@107.5 = 129,000円
仕訳:ズボンを作るために布を払い出した=仕掛中(製造中)なので「仕掛品勘定」を使用します。
※「材料費勘定」を使用しない方法を説明しています。

総平均法
月初在庫(前月繰越)と購入の合計から1単位当たりの平均単価を計算する方法です。

11/5の布の消費1,200枚の単価と仕訳は次の通り。

<計算>
(11/1 24,000円 + 11/2 105,000円 + 11/4 46,000円)÷ (11/1 200枚 + 11/2 1,000枚 + 11/4 400枚) = @109.375円

<仕訳>
(借方)仕掛品 131,250 (貸方)材料 131,250

<解説>
計算:1,200枚×@109.375 = 131,250円
上記Tフォームの左側を合計して計算します。
仕訳:ズボンを作るために布を払い出した=仕掛中(製造中)なので「仕掛品勘定」を使用します。
「材料費勘定」を使用しない方法を説明しています。

【その他】
他にも移動平均法や後入先出法などの方法があります。

※【予定消費価格について】
予定消費価格を使用して、消費した材料費を計算する方法がありますが、ここでは解説を割愛します。
費目別計算で扱う予定単価は、「原価計算入門その14~予定単価(費目別計算)」で解説しています。



【月末材料(次月繰越)の計算】

【継続記録法とたな卸計算法】
数量を把握する方法として継続記録法とたな卸計算法があります。

継続記録法
受入(購入、仕入)の記録と消費(払出)の記録をしておくことで月末材料の数量を計算し、実地たな卸を行うことでたな卸減耗費を把握する方法

たな卸計算法
受入のみ記録をしておき、実地たな卸を行うことで消費数量と月末材料の数量を把握する方法。たな卸減耗費は把握しない(消費数量に含まれる)

ちなみに今回の例では、11/5の払い出しの記録をしているので、この衣服メーカーは継続記録法を採用していることになります。

今回の例に次の設定を追加します。
「11/30 布の実地たな卸を行ったところ、数量は380枚であった。」

継続記録法で払い出しも記録していたので、記録上では月末材料は400枚です。

しかし実際の数量をカウントしてみた結果、380枚でした。
20枚の差異が生じた原因はいろいろと考えられますが、この20枚をたな卸減耗費として処理します。従って月末材料の数量は380枚となります。

これに対して、仮にたな卸計算法を採用していた場合、月末材料の数量は実地たな卸の数量である380枚(継続記録法と変わらず)。しかし払い出しの記録を残していないので、帳簿上の月末材料の数量は分かりません。従ってたな卸減耗費を把握することはできない、ということになります。

【月末材料(次月繰越)とたな卸減耗費の計算】

【先入先出法の場合】
月末材料:380枚 × @115 = 43,700円
たな卸減耗費:20枚 × @115 = 2,300円
※先入先出しなので、残っているのは11/4に仕入れた単価115円です。

【総平均法の場合】
月末材料:380枚 × @109.375 = 41,562.5円→41,563円(四捨五入)
たな卸減耗費:20枚 × @109.375 = 2187.5円→2,187円
※総平均法では払出も月末材料も単価はすべて同じになります。※Tフォーム左側の合計と同じ金額になるようにするため、小数点以下について調整しています。

【終わりに】

今回は材料費のうち、消費時と月末材料の計算について解説しました。
次回は材料費の直接費・間接費の区分を解説し、まとめを掲載します。


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