工業簿記2級 経費とは(入門)|外注加工費などの勘定科目と分類、仕訳(ズボンメーカーの問題例)

更新日:2020年5月19日
作成日:2016年11月7日

今回は費目別計算のうち経費について解説します。

※この「原価計算入門」のサイトでは、2級レベルの工業簿記を、衣服メーカーを例として毎回解説しています。

種類別の勘定連絡図(個別、総合、標準)

クリックすると、実際個別原価計算、実際総合原価計算、標準原価計算それぞれの勘定連絡図(簿記2級で出題される典型的なケース)が別窓で開きます。

今回の学習はココ

実際原価計算の経費について学習します。工業簿記の計算段階でいうと、第1段階の費目別計算に該当します。

費目別計算(ひもくべつけいさん)とは材料費、労務費、経費といった費目を直接費と間接費に分類して計算・集計するための手続きをいいます。

具体的には上記の各勘定連絡図の左側に位置する材料、賃金、経費などの総勘定元帳から、仕掛品や製造間接費に分類して集計する手続きです。

経費とは

経費とは費目別計算の要素のうち、材料費と労務費以外の要素をいいます。

直接経費と間接経費の一覧(費目別計算)

経費の主な費目と直接費、間接費の区分は次の通り。

項目具体例(ズボンメーカー)直接or間接
外注加工賃ズボンの加工やデザインを会社外部の業者に
依頼した時にかかる費用
直接経費
福利施設負担額製造部門の従業員が格安で利用できるよう
リゾート地の宿泊施設に要する費用や
社宅の会社負担金など
間接経費
厚生費製造部門の従業員の冠婚葬祭に関する費用、
従業員限定の創立日記念パーティーの費用など。
減価償却費工場の減価償却費
賃借料工場を賃貸していた場合など
保険料工場やズボン在庫などの損害・火災保険
修繕料工場の修繕にかかる費用
電力料工場で発生した電力料
ガス代工場で発生したガス代
水道料工場で発生した水道料
租税公課工場の固定資産税
旅費交通費工場で働いている従業員の出張費
通信費工場で発生した通信費
保管料ズボンや布の保管に関する費用
たな卸減耗費帳簿の月末材料と実地たな卸の差額
雑費工場で発生したお茶代、クリーニング代など

※たな卸減耗費については、下記の記事を参照。

覚え方のポイント

「材料費と労務費以外は経費」。
材料費と労務費の費目を確実に覚えておけば消去法で経費と判断できます。

経費の勘定科目は商業簿記では販売費及び一般管理費に計上されます。

使用した場所が工場の場合や、本社でも製造部門の従業員が使用した場合には製造に関係するので、原価計算(工業簿記)の経費として処理します。

商業簿記も平行して学習していれば自然と覚えます。

外注加工賃(がいちゅうかこうちん)が直接経費であるところは覚えましょう。それ以外の経費は全て間接経費です。

経費の勘定科目

工業簿記2級で経費の発生と消費を記帳(仕訳)する場合に使用する代表的な勘定科目を例示すると次の通り。

・減価償却費 ・減価償却累計額 ・水道光熱費 ・棚卸減耗費 ・外注加工費 ・保険料 ・直接経費 ・間接経費 ・仕掛品 ・製造間接費

※工業簿記は商業簿記と異なり勘定科目の出題範囲が決まっていません。

大体の仕訳パターンは決まっているので、問題を読んで勘定連絡図をイメージまたは書いて仕訳パターンが思い浮かべば解答できるでしょう。

外注加工賃と無償支給

外注加工賃として会社外部の専門業者に特殊な加工やデザインを依頼する場合には、材料を渡します。

工業簿記2級では{無償支給(むしょうしきゅう)」という、外部業者に無料で材料を支給する方法が出題されたことがあります。

仕訳方法は下記の問題例で解説します。

仕訳方法は3パターン

発生時の仕訳は次の3通りが考えられます。直接経費は仕掛品勘定へ振り替え、間接経費は製造間接費勘定へ振り替える点は3パターンとも同じです。

「(1)費目別の勘定で仕訳」は、商業簿記と同じ勘定科目を使用する方法です。

「(2)直接経費、間接経費勘定で仕訳」は、直接経費勘定と間接経費勘定で仕訳する方法です。工業簿記2級の問題で、費目別計算の勘定連絡図はこの方法で書いてある解説が多いようです。

「(1)費目別の勘定で仕訳」と組み合わせて、仕掛品勘定と製造間接費勘定へ振り替える際に間に直接経費勘定と間接経費勘定を経由して仕訳する場合も考えられます。

「(3)直接、仕掛品、製造間接費勘定で仕訳」は、他の勘定科目は使用せず、直接に仕掛品勘定と製造間接費勘定で仕訳する方法です。

金額の計算

経費は実際の発生額で計算します。

具体的には費目によって異なりますが商業簿記で学習した内容と同じように考えれば大丈夫です。

工業簿記2級でも複雑な問題は出題されません。

問題例(ズボンメーカーを例に)

いくつかの例を示すとともに、上記の仕訳パターンを使った仕訳を掲載します。

(例)工場で使用する固定資産の減価償却費は年間120万円を予定している。当月分を経費計上する。

(例)材料の棚卸を実施したところ、帳簿棚卸高10万円に対して実地棚卸高は9万円であった。

(例)当月の電力料、ガス代、水道料などの水道光熱費は総額20万円を普通預金より支払ったが、測定に基づく当月発生額は18万円(来月支払)であった。

(例)当月の製造のうち、一部は特殊なズボン加工を行うため、外部業者に材料を無償支給して作業を依頼した結果、外注加工賃5万円が発生し、現金で支払った。

次の問題と解説

実際原価計算で予定単価を使用した場合の原価差異についてまとめて解説します。製造間接費の原価差異との関係や標準原価計算との違いなどに留意して覚えることがポイント。

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