工業簿記2級 予定配賦とは(原価計算入門)|計算方法と仕訳
更新日:2020年12月26日
作成日:2016年11月10日
今回は製造間接費の論点のうち、予定配賦の計算方法と仕訳について解説します。
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※この「原価計算入門」のサイトでは、2級レベルの工業簿記を、衣服メーカーを例として毎回解説しています。
種類別の勘定連絡図(個別、総合、標準)
クリックすると、実際個別原価計算、実際総合原価計算、標準原価計算それぞれの勘定連絡図(簿記2級で出題される典型的なケース)が別窓で開きます。
今回の学習はココ
予定配賦について学習します。工業簿記の計算段階でいうと、主に第2段階の部門別計算と第3段階の製品別計算とに関係します。
<今回の学習ポイント>
- ・予定配賦とは?
- ・予定配賦のメリット
- ・配賦率の計算方法
- ・配賦額の仕訳
- ・問題例
部門別計算(ぶもんべつけいさん)とは、費目別計算によって集計した費目(直接材料費、直接労務費、直接経費、製造間接費)を製品に集計する前に部門別に分類して計算・集計するための手続きをいいます。
製造部門と補助部門を設定し、直接配賦法や相互配賦法といった計算方法を使って、最終的には各製造部門に原価を集計します。
製品別計算(せいひんべつけいさん)とは、製品の種類毎に製品一単位の原価を計算する手続きをいいます。
例えば、ジーンズ、チノパンといった製品別に原価を集計し、それぞれの製品の製造実態に合わせて個別原価計算や各種の総合原価計算(単純、等級、組別、工程別)を適用してジーンズ1本、チノパン1本当たりの原価を計算します。
製造間接費の予定配賦とは
予定配賦(よていはいふ)とは、予め設定した予算と操業度から製造間接費の配賦額を計算することをいいます。
配賦基準や配賦率、操業度については下記の記事を参照。
予定配賦のメリット
製造間接費の実際発生額と予定配賦額との原価差異分析を行えるので、原価管理に役立ちます。
製造間接費の原価差異分析について詳細は下記の記事を参照。
配賦率と配賦額の計算方法(実際配賦と比較)
製造間接費の予定配賦基準を実際配賦額を比較すると次の通り。
項目 | 配賦率の計算 | 配賦額の計算 |
---|---|---|
実際配賦 | 製造間接費÷実際操業度 | 配賦率×実際操業度 |
予定配賦 | 製造間接費÷基準操業度 | 配賦率×実際操業度 |
上記の通り、実際配賦と予定配賦の違いは配賦率の計算であり、配賦額の計算は同じです。予定配賦であっても実際操業度を使って計算します。
配賦額の仕訳
配賦した製造間接費は製造に投入します。
製造中の原価はすべて仕掛品勘定へ集計するため、製造間接費勘定から仕掛品勘定へ振り替えます。
<仕訳-製造間接費の配賦>
- (借方)仕掛品 ×× (貸方)製造間接費 ××
問題例(ズボンメーカーを例に)
<問題例-製造間接費の予定配賦>
- 当社は、ズボン製造の直接作業時間を配賦基準として、製造間接費を各製品に予定配賦している。
- ・年間ズボン直接作業時間:42,000時間(予定操業度)
- ・当月の実際直接作業時間(実際操業度):3,600時間
- ・年間製造間接費予算:15,120,000円
- (問題)当月製造間接費の配賦率と予定配賦額を求め、仕訳をきりましょう。
<解答>
- ・予定配賦率 = 年間製造間接費予算15,120,000円 ÷ 年間ズボン直接作業時間42,000時間 = @360円
- ・予定製造間接費配賦額:予定配賦率@360円 × 当月実際直接作業時間3,600時間 = 1,296,000円
<仕訳>
- (借方)仕掛品 1,296,000(貸方)製造間接費 1,296,000
次の問題と解説
変動費と固定費について解説します。両者の違いを理解して、変動費率や固定費率、製造間接費の予定配賦額を計算できるようにすることがポイント
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