工業簿記2級 変動予算と固定予算とは(原価計算入門)|違いや公式、シュラッター図の比較

更新日:2020年6月14日
作成日:2020年6月7日

今回は製造間接費の論点のうち、変動予算と固定予算の違いや公式、役割や原価差異分析の方法(シュラッター図)について解説します。

※この「原価計算入門」のサイトでは、2級レベルの工業簿記を、衣服メーカーを例として毎回解説しています。

種類別の勘定連絡図(個別、総合、標準)

クリックすると、実際個別原価計算、実際総合原価計算、標準原価計算それぞれの勘定連絡図(簿記2級で出題される典型的なケース)が別窓で開きます。

今回の学習はココ

製造間接費の変動予算と固定予算について学習します。工業簿記の計算段階でいうと、主に第4段階の原価差異分析に関係します。

原価差異分析(げんかさいぶんせき)とは、年や月毎に直接材料費、直接労務費、製造間接費といった費目を予定価格や予定配賦、標準価格、標準消費数量で計算した場合、実際との差異をいくつかの項目に分解して分析する手続きをいいます。

例えば、実際原価計算の製造間接費を予定配賦した場合、実際発生額との差額を予算差異と操業度差異に分解して分析することで次回以降の原価活動に役立てます。

変動予算とは

変動予算(へんどうよさん)とは、製造間接費予算を変動費と固定費といったように、操業度との関連に焦点をあてて原価要素を分類して設定した予算をいいます。。

変動費(へんどうひ)とは、操業度の増減に比例的に増減する原価要素をいい、固定費(こていひ)とは、操業度の増減に関係なく一定の費用が発生するような原価要素をいいます。

固定予算とは

固定予算(こていよさん)とは、製造間接費予算を一定の操業度に対応した予算として設定したものをいいます。

両者の役割

変動予算も固定予算も、どちらも製造間接費配賦額の計算に使用するために設定します。

より具体的には、実際原価計算の場合には予定配賦額。標準原価計算の場合には標準配賦額です。

最初に基準操業度を設定し、基準操業度に対応した製造間接費を設定します。

両者の違い(図による比較)

変動予算と固定予算を図で比較しながら説明します。まずは変動予算。

縦軸が製造間接費(単位は円)。横軸が操業度(操業度にした配賦基準によって単位は異なります。直接作業時間の場合には単位は時間)。

基準操業度1と基準操業度2とを比較すると、固定費はどちらもAで変化しませんが、変動費は操業度の増減によって変化するため、基準操業度2の方が大きくなり、結果として、「変動費+固定費」はそれぞれB、Cになります。

このように変動予算は基準操業度の大きさによって、製造間接費は異なります。

次に固定予算の図。

固定予算は変動予算のように変動費と固定費には分けません。基準操業度の大きさに関係なく一定の製造間接費が発生します。図の通り、基準操業度1と2に対応する製造間接費は、どちらもAです。

両者の違いをまとめると次の通り。

原価差異分析の方法

原価差異分析は、シュラッター図を描いて計算します。具体的には上の図にいくつか用語や線、数字を書き加えたものです。

変動予算と固定予算とで描き方は少し異なります。

シュラッター図を描けるようになれば、難しい公式を覚えずに、より簡単に原価差異分析の問題が解けるようになります。

製造間接費の原価差異分析では、予定配賦額(または標準配賦額)と実際発生額の差額を求め、その差額を次の要素に分解します(この点は変動予算も固定予算も同じ)。

次に変動予算と固定予算のシュラッター図を説明します。

変動予算のシュラッター図

変動予算のシュラッター図を描く時には、上の式を少し変更します(シュラッター図では、こちらの方が分かりやすい)。

傾きを描いて変動費率と固定費率を表わすのがポイント

この図に線や数字を追加してシュラッター図を完成させると次の通り(実際原価計算の場合)。数字は例。

予算許容額を求めて予算差異と操業度差異を計算する点が固定予算との違い。

予算許容額、予算差異と操業度差異の公式や計算方法は下記の記事を参照。

次に標準原価計算の場合は下記の通り。予算差異と操業度差異だけでなく能率差異も求めます。

固定予算のシュラッター図

上に掲載した図を再掲します。

線や数字を追加してシュラッター図を完成させると次の通り。実際原価計算のみ掲載します。

次の問題と解説

実際原価計算の製造間接費の差異分析(予算差異と操業度差異)について解説します。シュラッター図を使って視覚化して予算差異や操業度差異、予算許容額の公式を理解して覚えられるかどうかがポイント

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