工業簿記2級 問題と解説|(個別)仕掛品勘定と月次P/L(入門)

更新日:2020年8月10日
作成日:2016年11月16日

前回に引き続き、個別原価計算について。今回は仕掛品勘定と月次P/L上の金額に関する問題と解説。

※この「原価計算入門」のサイトでは、2級レベルの工業簿記を、衣服メーカーを例として毎回解説しています。

種類別の勘定連絡図(個別、総合、標準)

クリックすると、実際個別原価計算、実際総合原価計算、標準原価計算それぞれの勘定連絡図(簿記2級で出題される典型的なケース)が別窓で開きます。

今回の学習はココ

個別原価計算のうち、仕掛品勘定や月次P/Lの問題について学習します。工業簿記の計算段階でいうと、第3段階の製品別計算に該当します。

製品別計算(せいひんべつけいさん)とは、製品の種類毎に製品一単位の原価を計算する手続きをいいます。

例えば、ジーンズ、チノパンといった製品別に原価を集計し、それぞれの製品の製造実態に合わせて個別原価計算や各種の総合原価計算(単純、等級、組別、工程別)を適用してジーンズ1本、チノパン1本当たりの原価を計算します。

問題例(仕掛品勘定の記入と月次P/L)

今回は設例を用いて解説します(日商簿記2級のレベルでは「普通」レベル。一部応用問題あり)。

※前回解説した(問1)の解答は問題に反映しています。

個別原価計算の詳細は下記の記事を参照。

仕掛品勘定
前月繰越 (   )(   ) (   )
材料 (   )
賃金 (   )
外注加工費 (   )
製造間接費 (   )次月繰越 (   )
項目#1003#1101#1102#1101-2
前月製造原価235,000---
直接材料費34,50046,00023,0001,725
直接労務費1,072,5001,755,0001,170,00097,500
直接経費150,000---
製造間接費371,000548,000322,00025,750
(計)製造原価1,863,0002,349,0001,515,000124,975
備考前月着手
完成
売上済
今月着手
完成
未納品
今月着手
未完成
補修指図書

解答

(問2)仕掛品勘定の記入

仕掛品勘定
前月繰越 235,000製品 4,336,975
材料 105,225
賃金 4,095,000
外注加工費 150,000
製造間接費 1,266,750次月繰越 1,515,000

(問3)月次損益計算書上の売上原価、製品、月末仕掛品の金額

解説1-仕損費の処理

仕損(しそん)とは、いわゆる失敗作です。今回の設例には指示がありませんが、例えば製造指図書#1101で製造しているズボン100本のうち5本分だけ、布の切取りに失敗してしまった、といったことが仕損に該当します。

仕損の処理はいくつかありますが、日商簿記2級(工業簿記)では仕損の処理は次の通り。

今回は補修指図書=#1101-2であり、仕損が発生したのは#1101。従って、#1101-2の製造原価124,975円は全て#1101の原価に含めます。

#1101は製品である(後述)ので、#1101-2の原価も全て製品となります。

解説2-仕掛品勘定の内訳と金額

まずは、仕掛品勘定の借方と貸方について解説します。

(問1)で、「費目別計算→部門別計算→製品別計算」を経て、当月投入した製造原価を製造指図書に集計しました。

勘定科目の流れでみると、
 直接費(材料、賃金、外注加工費)→仕掛品
 製造間接費→切取部門・裁縫部門→仕掛品
といった流れで、全ての原価要素が仕掛品に計上されたことになります。

これらの当月投入製造原価は全て仕掛品勘定の借方に記入します。

前月に投入された原価要素で未完成のまま仕掛になった金額235,000も当月の仕掛品勘定では「前月繰越」となって借方記入です(前月に仕訳済み。当月投入に含めて仕訳することはありません)。

次に仕掛品勘定の貸方には完成原価を記入します。相手勘定科目は製品勘定です。

そして月末となり、未完成のまま(仕掛中)の原価を「次月繰越」として仕掛品勘定の貸方に記入します。

以上、仕掛品勘定の内訳についてまとめると次の通り。

次に借方・貸方のそれぞれの金額の計算方法について解説します。

借方の前月繰越と当月投入ですが、原価計算表から行別に金額を読み取って、それぞれの費目を合計すれば解答の金額が求まります。

すなわちヨコの合計を求めます。

次に貸方の完成品原価(製品)と月末仕掛品(次月繰越)ですが、個別原価計算では、製造指図書毎に原価計上します。原価計算表の製造指図書No毎に完成品原価を計算して合計したものが完成品原価ということです。月末仕掛品も同様です。

すなわちタテの合計を求めます(本問では「(計)製造原価」欄で計算済み)。

原価計算表の「備考」欄を見ると当月の原価活動の進捗状況が分かります。「備考」欄から当月完成した製造指図書は#1003(1,863,000円)と#1101(補修指図書#1101-2の124,975円も含めて2,473,975円)です。1,863,000円 + 2,473,975円 = 4,336,975円となります。これが完成品原価(製品)です。

次に月末仕掛品(次月繰越)も「備考」欄から#1102(1,515,000円)が未完成であり月末仕掛だと分かります。

解説は以上です。(問2)仕掛品勘定の解答を再掲します。

仕掛品勘定
前月繰越 235,000製品 4,336,975
材料 105,225
賃金 4,095,000
外注加工費 150,000
製造間接費 1,266,750次月繰越 1,515,000

解説3-完成品原価計上の仕訳

完成させた上記の仕掛品勘定のうち、「製品 4,336,975円」の部分を仕訳にするだけです。

解説4-月次P/Lの売上原価、製品、仕掛品の求め方

仕掛品金額は上述の仕掛品勘定の次月繰越1,515,000円がそのまま答えになりますが、製品金額は4,336,975円だと間違いです。

なぜならば、仕掛品勘定より先の製品勘定では「①当月販売されて売上原価になるケース」と、「②在庫のまま残るケース」とに条件分岐できるからです。従って、①は月次P/L上では製品ではなく売上原価が正解です。

原価計算表の「備考」欄を読むと、完成した2件の製造指図書(#1003と#1101)のうち、#1003は販売、#1101は在庫であることが分かります。

従って、月次損益計算書上では、#1003の1,863,000円が売上原価、#1101(#1101-2含む)の2,473,975円が製品です。

解答のポイント

最後に解答のポイントをまとめました。

次の問題と解説

次回から総合原価計算について解説。次回は総合原価計算の概要や手続き、用語や仕訳を解説します。ボックス図の描き方や加工費、進捗度と換算量、仕損・減損の処理を理解できるかどうかがポイント

関連記事

ページトップへ