原価計算入門その29~単純総合原価計算(概要:進捗度、加工費)



作成日:2016年11月19日 更新日:2018年5月26日

前回に引き続き、製品別計算について解説します。

製品別計算とは、原価要素を一定の製品単位に集計し,単位製品の製造原価を算定する手続をいい,原価計算における第3次の計算段階になります。

下記に学習上のポイントを参考に記載しました。ご利用ください。

※この「原価計算入門」のサイトでは、2級レベルの工業簿記を、衣服メーカーを例として毎回解説しています。

【学習のポイント】

0.製品別計算の分類
1.個別原価計算
 ①概要と流れ ②仕損費の計算
2.単純総合原価計算
 ①概要と流れ ②度外視法
3.等級別総合原価計算
4.組別総合原価計算
5.工程別総合原価計算


【製品別計算(単純総合原価計算)】

今回から単純総合原価計算を解説します。

単純総合原価計算とは、「原価計算入門その24~製品別計算(分類)」で解説したように、単一製品を大量生産する場合に採用される原価計算制度です。

製品別計算のため、費目別計算と部門別計算が完了した後の話です。
これまで解説してきたこととはつながっています。

はじめに、単純総合原価計算が採用された場合の手続きの流れを解説します。

【単純総合原価計算の流れ】

1.注文(受注)
お客より注文を受けた段階では、特に原価計算(原価計算)で行う手続はありません。製造指図書を発行した原価計算とは異なる点です。

個別原価計算では、注文の都度、生産していました。また、生産単位も注文単位(=製造指図書毎)です。
これに対して、(単純)総合原価計算では、見込み生産を行い、注文に関係なく大量生産を行います。

2.費目別計算→部門別計算
個別原価計算と同じです。費用を材料費、労務費、経費に分類し、それぞれを直接費、間接費に分けます。
間接費(間接材料費、間接労務費、間接経費)は製造間接費として、部門に配分され、最終的には製造部門に集計されます。

3.製品別計算
個別原価計算では、製造指図書毎に直接費は賦課し、製造間接費は予定配賦しました。

(単純)総合原価計算では、製造指図書はなく、各製品毎に集計されます。
個別原価計算では原価計算表を用いて製造指図書毎に原価を集計しましたが、(単純)総合原価計算では別の計算手法を用いて完成品原価と月末仕掛品原価を求めます。

製品別計算には次のTフォームを用いて計算します。

仕掛品
月初仕掛品完成品
当月投入
月末仕掛品

また、(単純)総合原価計算では製品別計算をするために、進捗度や加工費という用語が登場します。

進捗度(しんちょくど)とは、製品の生産の進み具合を表すものです。
生産開始であれば進捗度は0%、完成していれば100%、製造が半分まで進んでいれば50%になります。

加工費(かこうひ)とは、直接労務費と製造間接費を合計したものです。
(単純)総合原価計算では、製品別計算に当たり直接材料費(原材料費)と加工費とを分けて計算します。

これは材料費は製品の生産開始の段階で投入されることが多く、加工費は製品の生産段階に応じて少しずつ投入されるものだからです。

製品別計算では、月初仕掛品と当月投入の原価を完成品と月末仕掛品に配分します。配分の方法には、「原価計算入門その7~材料費(消費と月末の計算)」で解説した、先入先出法、総平均法といった単価計算の方法を使用します。

4.仕損の計算
(単純)総合原価計算でも仕損(しそんじ、しそん)が発生します。また減損(げんそん)という言葉も登場します。
入門の段階では度外視法(どがいしほう)という手法で製品別計算を行います。
詳細は別の回で解説します。

5.仕訳処理
原価計算により、完成品は仕掛品から製品に振り替え、売上計上された製品は、製品から売上原価に振り替える仕訳を行います。個別原価計算と同じです。

6.損益計算書への記入
原価計算を通じて集計した原価を損益計算書に反映させます。

簡単ですが、(単純)総合原価計算の手続きの流れは以上です。



【終わりに】

今回は単純総合原価計算の概要と流れを解説しました。
次回は単純総合原価計算を設例を用いて解説します。


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