度外視法とは|仕訳と計算方法の解き方

急成長のグラフとペン

度外視法の仕訳と計算方法(単純総合原価計算)を問題例で解説します。

単純総合原価計算とは

単純総合原価計算とは、単一製品を連続生産(大量生産)する場合に適用する製品別計算をいいます。

単一製品の単価計算であるため、他の総合原価計算と比較して最も簡単な計算方法といえますが、ボックス図の描き方や仕損・減損の処理、先入先出法と平均法など、他の総合原価計算に共通する計算・処理の手法が豊富ですので、単純原価計算で学ぶことが最も多いといえます。しっかり理解しておけば、他の総合原価計算もすんなり理解できます。

問題例(単純総合原価計算と度外視法)

設例を用いて解説します(簿記2級のレベルでは「普通」レベル。一部応用問題あり)。

<生産・原価データ>

項目月初仕掛品当月投入正常仕損月末仕掛品完成品
数量400本○本20本300本1,500本
進捗度50%--30%-
原料費47,400円178,000円-??
加工費173,600円1,244,050円-??

解答

<解答(問3)-完成品原価計上の仕訳)>

取引借方科目借方金額貸方科目貸方金額
完成品原価の振替製品1,516,500仕掛品1,516,500

(1)ボックス図と生産・原価データの記入

ボックス図は次の通り。

仕掛品
月初仕掛品 400本(200本 ※1)完成品 1,500本(1,500本 ※2)
 47,400円(173,600円)
当月投入 1,400本 ※4(1,390本 ※4)
 168,000円 ※5(1,244,050円)
月末仕掛品 300本(90本 ※3)

ボックス図の書き方や加工費の数量計算(進捗度と換算量)は下記の記事を参照。

(2)完成品原価と月末仕掛品の計算(先入先出法)

次にボックス図の数字に従って、原料費と加工費それぞれの完成品原価と月末仕掛品原価を求めます。

問題文より計算には先入先出法を使います。

「先入先出法 → 当月投入数量 > 月末仕掛品数量 → 月末仕掛品原価は当月投入原価のみ。月初仕掛品は含まれない」となるので、先に月末仕掛品原価を求めて、その後に差額計算によって完成品原価を求めます。

仕掛品
月初仕掛品 400本(200本)完成品 1,500本(1,500本)
 47,200円(173,600円) 179,400円(1,337,100円)
当月投入 1,400本(1,390本)
 168,000円(1,244,050円)
月末仕掛品 300本(90本)
 36,000円(80,550円)

次に完成品の製品単価を求めます。

(3)仕損の処理(度外視法)

簿記2級(工業簿記)では総合原価計算の仕損・減損の処理は度外視法で行います。

問題文を読むと「仕損は工程の途中で発生」とあるので、仕損費は完成品と月末仕掛品の両方に負担させます。

仕損費は月初仕掛品原価と当月投入原価に含まれており、具体的にいくらなのかが書いてありません。しかし、度外視法とは仕損費が分からなくても計算できる方法です。文字通り仕損費を度外視します。

具体的には、工程の途中で発生した場合には仕損・減損の数量はボックス図に含めないで計算します。このように計算することで、仕損費・減損費を完成品原価と月末仕掛品原価の両方に負担させることができます。

以上から、本問のボックス図には正常仕損20本を反映させずに計算します。

(4)仕損品の処分価値の処理

失敗品とはいえ、本問のように仕損品には処分価値がある場合があります。代表的な例としてはお菓子を始めとする食品や衣服などで購入できる「訳あり品」です。通常価格より安く購入できます。

仕損品に処分価値がある場合には原価から控除(差し引き)します。本問では問題文に「処分価値は10,000円」「原料費から控除」とあるので、原料費から10,000円を控除します。

問題はどの時点で控除するかです。処理方法は次の通り。

本問であれば、「仕損費を完成品原価と月末仕掛品原価の両方に負担させているので、同じく処分価値も両方から控除する」ということです。

そして両方の原価から仕損品の処分価値を控除するには完成品原価と月末仕掛品原価を計算した後ではなく、前段階の当月投入の製造原価から控除します。本問では「原材料から控除」と書いてあるので、原材料費178,000円から処分価値10,000円を差し引き、ボックス図には168,000円と記入します。

(5)仕訳(完成品原価の計上)

完成品は仕掛品から製品に振り替える仕訳をきります。

取引借方科目借方金額貸方科目貸方金額
完成品原価の振替製品1,516,500仕掛品1,516,500

解答のポイント

最後に本問の解答のポイントを掲載します。

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