工業簿記2級 問題と解説|単純総合原価計算と度外視法

更新日:2020年8月27日
作成日:2016年11月19日

今回は単純総合原価計算の問題と解説(度外視法、仕損品の処分価値、先入先出法)。

※この「原価計算入門」のサイトでは、2級レベルの工業簿記を、衣服メーカーを例として毎回解説しています。

種類別の勘定連絡図(個別、総合、標準)

クリックすると、実際個別原価計算、実際総合原価計算、標準原価計算それぞれの勘定連絡図(簿記2級で出題される典型的なケース)が別窓で開きます。

今回の学習はココ

単純総合原価計算と度外視法、仕損品の処分価値、先入先出法の問題について学習します。工業簿記の計算段階でいうと、第3段階の製品別計算に該当します。

製品別計算(せいひんべつけいさん)とは、製品の種類毎に製品一単位の原価を計算する手続きをいいます。

例えば、ジーンズ、チノパンといった製品別に原価を集計し、それぞれの製品の製造実態に合わせて個別原価計算や各種の総合原価計算(単純、等級、組別、工程別)を適用してジーンズ1本、チノパン1本当たりの原価を計算します。

単純総合原価計算とは

単純総合原価計算(たんじゅんそうごうげんかけいさん)とは、単一製品を連続生産(大量生産)する場合に適用する製品別計算をいいます。

項目説明具体例(ズボンメーカー)
単純総合原価計算単一製品の生産1種類のズボンを生産

上述の総合原価計算のところで解説した通り、当月投入の製造原価から完成品原価と月末仕掛品原価を計算します。

単一製品の単価計算であるため、他の総合原価計算と比較して最も簡単な計算方法といえますが、ボックス図の描き方や仕損・減損の処理、先入先出法と平均法など、他の総合原価計算に共通する計算・処理の手法が豊富ですので、単純原価計算で学ぶことが最も多いといえます。しっかり理解しておけば、他の総合原価計算もすんなり理解できます。

問題例(単純総合原価計算と度外視法)

今回は設例を用いて解説します(日商簿記2級のレベルでは「普通」レベル。一部応用問題あり)。

総合原価計算の詳細は下記の記事を参照。

1.生産データ
・月初仕掛品 400本(50%) ・当月投入 ○○本 ・正常仕損 20本 ・月末仕掛品 300本(30%) ・完成品 1,500本
※( )内は加工費の進捗度である。○○の数字は各自計算すること。

2.原価データ
・月初仕掛品原価  原料費 47,400円  加工費 173,600円
・当月製造費用  原料費 178,000円  加工費 1,244,050円

解答

解説1-ボックス図と生産・原価データの記入

ボックス図は次の通り。

仕掛品
月初仕掛品 400本(200本 ※1)完成品 1,500本(1,500本 ※2)
 47,400円(173,600円)
当月投入 1,400本 ※4(1,390本 ※4)
 168,000円 ※5(1,244,050円)
月末仕掛品 300本(90本 ※3)

加工費の数量計算(進捗度と換算量)については下記の記事を参照。

解説2-完成品原価と月末仕掛品の計算(先入先出法)

次にボックス図の数字に従って、原料費と加工費それぞれの完成品原価と月末仕掛品原価を求めます。

問題文より計算には先入先出法を使います。

「先入先出法 → 当月投入数量 > 月末仕掛品数量 → 月末仕掛品原価は当月投入原価のみ。月初仕掛品は含まれない」となるので、先に月末仕掛品原価を求めて、その後に差額計算によって完成品原価を求めます。

仕掛品
月初仕掛品 400本(200本)完成品 1,500本(1,500本)
 47,200円(173,600円) 179,400円(1,337,100円)
当月投入 1,400本(1,390本)
 168,000円(1,244,050円)
月末仕掛品 300本(90本)
 36,000円(80,550円)

次に完成品の製品単価を求めます。

解説3-仕損の処理(度外視法)

日商簿記2級(工業簿記)では総合原価計算の仕損・減損の処理は度外視法で行います。

度外視法の処理方法は次の通り。

問題文を読むと「仕損は工程の途中で発生」とあるので、仕損費は完成品と月末仕掛品の両方に負担させます。

仕損費は月初仕掛品原価と当月投入原価に含まれており、具体的にいくらなのかが書いてありません。しかし、度外視法とは仕損費が分からなくても計算できる方法です。文字通り仕損費を度外視します。

具体的には、工程の途中で発生した場合には仕損・減損の数量はボックス図に含めないで計算します。このように計算することで、仕損費・減損費を完成品原価と月末仕掛品原価の両方に負担させることができます。

以上から、本問のボックス図には正常仕損20本を反映させずに計算します。

解説4-仕損品の処分価値の処理

失敗品とはいえ、本問のように仕損品には処分価値がある場合があります。代表的な例としてはお菓子を始めとする食品や衣服などで購入できる「訳あり品」です。通常価格より安く購入できます。

仕損品に処分価値がある場合には原価から控除(差し引き)します。本問では問題文に「処分価値は10,000円」「原料費から控除」とあるので、原料費から10,000円を控除します。

問題はどの時点で控除するかです。処理方法は次の通り。

本問であれば、「仕損費を完成品原価と月末仕掛品原価の両方に負担させているので、同じく処分価値も両方から控除する」ということです。

そして両方の原価から仕損品の処分価値を控除するには完成品原価と月末仕掛品原価を計算した後ではなく、前段階の当月投入の製造原価から控除します。本問では「原材料から控除」と書いてあるので、原材料費178,000円から処分価値10,000円を差し引き、ボックス図には168,000円と記入します。

解説5-仕訳(完成品原価の計上)

完成品は仕掛品から製品に振り替える仕訳をきります。

本問の解答は最も一般的な仕訳ですが、本試験では応用的な問題が出題される場合もあり、問題で設定された勘定科目を使用して解答します。

解答のポイント

最後に本問の解答のポイントを掲載します。

次の問題と解説

等級別総合原価計算についてズボンメーカーを例に問題を掲載して解説します。単純総合原価計算と同じくボックス図を使って正確に計算するだけでなく、等価係数を使って製品別の完成品原価を計算できるかどうかがポイント。

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