原価計算入門その31~等級別総合原価計算(製品別計算、等価係数)

作成日:2016年11月19日 更新日:2018年5月29日

前回に引き続き、製品別計算について解説します。

製品別計算とは、原価要素を一定の製品単位に集計し,単位製品の製造原価を算定する手続をいい,原価計算における第3次の計算段階になります。

下記に学習上のポイントを参考に記載しました。ご利用ください。

※この「原価計算入門」のサイトでは、2級レベルの工業簿記を、衣服メーカーを例として毎回解説しています。




【学習のポイント】

0.製品別計算の分類
1.個別原価計算
 ①概要と流れ ②仕損費の計算
2.単純総合原価計算
 ①概要と流れ ②度外視法
3.等級別総合原価計算
 ①等価係数
4.組別総合原価計算
5.工程別総合原価計算

【製品別計算(等級別総合原価計算)】

今回から等級別総合原価計算を解説します。

等級別総合原価計算とは、「原価計算入門その24~製品別計算(分類)」で解説したように、単一製品だが、大きさや形状等が異なる製品を大量生産する場合に採用される原価計算制度です。

製品別計算のため、費目別計算と部門別計算が完了した後の話です。
これまで解説してきたこととはつながっています。

等級別総合原価計算が採用された場合の設定は、単純総合原価計算とほぼ同じです。「原価計算入門その29~単純総合原価計算(概要:進捗度、加工費)」で解説していますので参照ください。

設例を用いて解説します。

【等級別総合原価計算(製品別計算、等価係数)】

【設例】
衣服メーカーは、1種類のズボン(Sサイズ、Mサイズ、Lサイズ)を生産している。
原価計算方法は等級別総合原価計算を採用している。

今月の原価計算の状況と必要なデータは次の通り。
・費目別計算と部門別計算は終了し、これから製品別計算を行う段階
・直接材料費は製造工程の最初に全て投入。加工費は製造の進捗度合いに応じて投入
・原価を完成品と月末仕掛品に配分する方法として、先入先出法を採用
・S,M,Lの各サイズの等価係数は表面積によって定めている。
・正常仕損は工程の最後で発生

1.生産データ
 月初仕掛品 800本(50%)
 当月投入 ○○本
  合計  ○○本
 正常仕損  100本
 月末仕掛品 1,000本(30%)
 完成品   2,500本
※完成品の内訳:Sサイズ500本 Mサイズ1,300本 Lサイズ700本
※()内の数字は加工費の進捗度である。
※○○の数字は各自算出すること。

2.原価データ
月初仕掛品原価
 直接材料費   92,000円
 加工費    348,000円
当月製造費用  
 直接材料費  350,000円
 加工費   2,162,500円

3.等価係数
Sサイズ:Mサイズ:Lサイズ= 0.75:1.0:1.25

(問題)
当月のS,M,Lサイズそれぞれの完成品原価を求めましょう。




<解答>
与えられたデータからTフォームを作成します。
・差し引き計算から当月投入の本数を求めます。
・仕損は工程の最後で発生したので、完成品のみに負担(工業簿記2級は度外視法のみ)。仕損の本数も含めて計算すること。

以上から、Tフォームは次の通りになります。

仕掛品
月初仕掛品 800本(400本)完成品 2,500本(2,500本)
 92,000円(347,850円)
正常仕損 100本(100本)
→完成品に合算
当月投入 2,800本(2,500本)
 350,000円(2,162,500円)
月末仕掛品 1,000本(300本)

問題の設定より、単価の計算として先入先出法を採用
→月末仕掛品原価は当月投入原価で計算。完成品原価は左側の合計と月末仕掛品原価との差額計算で求めます(上記のTフォームより)。

月末仕掛品原価
 直接材料費:(350,000円÷2,800本)×1,000本=125,000円
 加工費  :(2,162,500円÷2,500本)×300本=259,500円
 月末仕掛品原価:125,000円+259,500円=円

完成品原価
 直接材料費:92,000円+350,000円-125,000円=317,000円
 加工費  :347,850円+2,162,500円-259,500円=2,250,850円
 完成品原価:317,000円+2,251,000円=2,567,850円

仕掛品
月初仕掛品 800本(400本)完成品 2,500本(2,500本)
 92,000円(347,850円) 317,000円(2,250,850円)
正常仕損 100本(100本)
→完成品に合算
当月投入 2,800本(2,500本)
 350,000円(2,162,500円)
月末仕掛品 1,000本(300本)
 125,000円(259,500円)

次に等級(S,M,Lサイズ)別の完成品原価を求めます。

【等価係数】

等価係数とは、重量や大きさなど一定の基準によって定められた、等級別総合原価計算で用いる特有な係数です。
完成品原価を等価係数に基づき、各等級製品にあん分して製品原価を計算するために用いられます。

今回の設例では表面積を基準として、S,M,Lの各サイズに配分する原価を計算します。

<解答の続き>
等価係数 Mサイズ:Lサイズ= 0.75:1.0:1.25
完成品の内訳:Sサイズ500本 Mサイズ1,300本 Lサイズ700本

Sサイズの完成品原価
完成品原価2,567,850÷(500本×0.75+1,300本×1.0+700本×1.25)×500本×0.75=377,625円(解答)

同様に計算し、Mサイズ1,309,100円、Lサイズ881,125円となります(解答)。

【終わりに】

今回は等級別総合原価計算の解説が終了しました。
次回は組別総合原価計算を解説します。







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