組別総合原価計算の解き方|組間接費の計算方法と仕訳

書類を決裁するビジネスマン

記事最終更新日:2021年12月20日
記事公開日:2016年11月19日

組別総合原価計算と組間接費について問題例を使って解説します。

組別総合原価計算とは

組別総合原価計算とは、種類が異なる製品を同じ工程で連続生産(大量生産)する場合に適用する製品別計算をいいます。

組別総合原価計算では、まず当月投入する製造原価を組直接費(または材料費)、組間接費(または加工費)それぞれ各製品にあん分するところから計算が始まります。

組直接費(または材料費)は各製品に賦課し、組間接費(または加工費)は適切な配賦基準に基づき各組別製品に配賦します。

その後の計算方法は単純総合原価計算と同じです。各製品ごとにボックス図を描き単純総合原価計算と同様に計算します。

問題例(組別総合原価計算と組間接費)

設例を用いて解説します(簿記2級のレベルでは「普通」レベル。一部応用問題あり)。

1.生産データ

項目ジーンズチノパン
月初仕掛品300本(50%)500本(40%)
当月投入○○本○○本
合計○○本○○本
月末仕掛品400本(60%)700本(50%)
完成品1,400本2,000本

2.原価データ

項目ジーンズチノパン
月初仕掛品原料費72,000円75,000円
加工費225,680円172,350円
当月製造費用原料費369,000円338,100円
加工費3,800,000円

3.組間接費
・加工費は当月の直接労働時間を配賦基準として各製品に配賦する。
・当月の直接労働時間は1,000時間(ジーンズ550時間、チノパン450時間)

解答

(1)組間接費(加工費)の処理

上述の通り、組間接費(または加工費)は配賦基準に基づき各組別製品に配賦します。

問題では当月投入の組間接費(または加工費)は組別製品には分けずに全体で与えられます。本問でも原料費は組別製品毎に原価データが与えられていますが、当月投入の加工費はジーンズ、チノパンの合計で3,800,000円になっています。

配賦基準を探すと、「組間接費は当月の直接労働時間で各製品に配賦する。」「当月の直接労働時間は1,000時間(ジーンズ550時間、チノパン450時間)」とあるので、当月直接労働時間を配賦基準として、加工費をジーンズとチノパンに按分します。

(2)ボックス図と生産・原価データの記入

ボックス図は次の通り。

仕掛品-ジーンズ
月初仕掛品 300本(150本)完成品 1,400本(1,400本)
 72,000円(225,680円)
当月投入 1,500本(1,490本)
 369,000円(2,090,000円)月末仕掛品 400本(240本)
仕掛品-チノパン
月初仕掛品 500本(200本)完成品 2,000本(2,000本)
 75,000円(172,350円)
当月投入 2,200本(2,150本)
 338,100円(1,710,000円)月末仕掛品 700本(350本)

ボックス図の書き方や加工費の数量計算(進捗度と換算量)は下記の記事を参照。

(3)完成品原価と月末仕掛品の計算

次にボックス図の数字に従って、原料費と加工費それぞれの完成品原価と月末仕掛品原価を求めます。

問題文より計算には平均法を使います。

具体的には、ボックス図の左側の原価合計(月初仕掛品+当月投入)を数量の合計で割り算して単価を計算することで完成品原価を求めます。

仕掛品-ジーンズ
月初仕掛品 300本(150本)完成品 1,400本(1,400本)
 72,000円(225,680円) 343,000円(1,976,800円)
当月投入 1,500本(1,490本)
 369,000円(2,090,000円)月末仕掛品 400本(240本)
 98,000円(338,880円)
仕掛品-チノパン
月初仕掛品 500本(200本)完成品 2,000本(2,000本)
 75,000円(172,350円) 306,000円(1,602,000円)
当月投入 2,200本(2,150本)
 338,100円(1,710,000円)月末仕掛品 700本(350本)
 107,100円(280,350円)

(4)仕訳(組別製品の完成品原価の計上)

完成品は仕掛品から製品に振り替える仕訳をきります。

ただし本問では、「ジーンズ」「チノパン」「仕掛品-ジーンズ」「仕掛品-チノパン」の各勘定科目を使用するように指示があるので、借方は製品勘定ではなく、左記の勘定科目を記入し、金額は各組別製品の完成品原価を記入します。

解答のポイント

最後に本問の解答のポイントを掲載します(総合原価計算共通の解き方の部分を含む)。

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著者情報

須藤恵亮(すとうけいすけ)

フリーランス公認会計士。1人で「PDCA会計」を企画・開発・運営。

中央青山監査法人で会計監査、事業会社2社でプレイングマネジャーとして管理業務全般及びIPO準備業務に携わる。

現在は派遣・契約社員等として働きながら、副業的に「PDCA会計」の執筆やアプリ開発等コツコツ活動しています。

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