原価計算入門その32~組別総合原価計算(製品別計算、組間接費)

作成日:2016年11月19日 更新日:2018年5月29日

前回に引き続き、製品別計算について解説します。

製品別計算とは、原価要素を一定の製品単位に集計し単位製品の製造原価を算定する手続をいいます。
原価計算における第3次の計算段階に該当します。

下記に学習上のポイントを参考に記載しました。ご利用ください。

※この「原価計算入門」のサイトでは、2級レベルの工業簿記を、衣服メーカーを例として毎回解説しています。

【学習のポイント】

0.製品別計算の分類
1.個別原価計算 ①概要と流れ ②仕損費の計算
2.単純総合原価計算 ①概要と流れ ②度外視法
3.等級別総合原価計算 ①等価係数
4.組別総合原価計算 ①組間接費
5.工程別総合原価計算


【製品別計算(組別総合原価計算)】

今回は組別総合原価計算を解説します。

組別総合原価計算とは、「原価計算入門その24~製品別計算(分類)」で解説したように、同一工程で異なる製品を生産する場合に採用する原価計算制度です。

製品別計算のため、費目別計算と部門別計算が完了した後の話です。
これまで解説してきたこととはつながっています。

組別総合原価計算が採用された場合の設定は、単純総合原価計算とほぼ同じです。「原価計算入門その29~単純総合原価計算(概要:進捗度、加工費)」で解説していますので参照ください。



設例を用いて解説します。

【組別総合原価計算(製品別計算、組間接費)】

【設例】
衣服メーカーは、ジーンズとチノパンという2種類のズボンを同一工程で生産しており、原価計算方法は組別総合原価計算を採用している。

今月の原価計算の状況と必要なデータは次の通り。
・費目別計算と部門別計算は終了し、これから製品別計算を行う段階
・直接材料費は製造工程の最初に全て投入。加工費は製造の進捗度合いに応じて投入
・原価を完成品と月末仕掛品に配分する方法として、総平均法を採用

1.生産データ

項目ジーンズチノパン
月初仕掛品300本(50%)500本(40%)
当月投入○○本○○本
合計○○本○○本
月末仕掛品400本(60%)700本(50%)
完成品1,400本2,000本

※()内の数字は加工費の進捗度である。
※○○の数字は各自算出すること。

2.原価データ

項目ジーンズチノパン
月初仕掛品直接費72,000円75,000円
加工費225,680円172,350円
当月製造費用直接費369,000円338,100円
加工費3,800,000円

3.組直接費と組間接費
・材料費は組直接費、加工費は組間接費として処理する。
・組間接費は直接労働時間で各製品に配賦する。
・当月の直接労働時間は1,000時間(ジーンズ550時間、チノパン450時間)

(問題)
当月のジーンズ、チノパンそれぞれの完成品原価と月末仕掛品原価を求めましょう。



【組間接費】

組別総合原価計算では、組直接費組間接費という用語が登場します。

組別総合原価計算は、同じ工程で複数製品を生産します。従って、何らかの方法で原価を各製品に配分する必要があります。

今回の設例では加工費が組間接費に該当し、直接労働時間を配賦基準としてジーンズとチノパンに配賦するよう、問題に指示があります。

組間接費をジーンズとチノパンに配賦しさえすれば、他は単純総合原価計算を2種類(ジーンズとチノパン)解くことと同じです。

<解答>
当月製造原価の組間接費(加工費)をジーンズとチノパンに配分します。

ジーンズ:組間接費3,800,000円÷1,000時間×550時間=2,090,000円
チノパン:組間接費3,800,000円÷1,000時間×450時間=1,710,000円

与えられたデータからTフォームを作成します。
また、差し引き計算から当月投入の本数を求めます。

Tフォームは次の通り。

仕掛品(ジーンズ)
月初仕掛品 300本(150本)完成品 1,400本(1,400本)
 72,000円(225,680円)
当月投入 1,500本(1,490本)
 369,000円(2,090,000円)月末仕掛品 400本(240本)
仕掛品(チノパン)
月初仕掛品 500本(200本)完成品 2,000本(2,000本)
 75,000円(172,350円)
当月投入 2,200本(2,150本)
 338,100円(1,710,000円)月末仕掛品 700本(350本)

問題の設定より、単価の計算として総平均法を採用。
従って、左側の合計(月初仕掛品+当月投入)から完成品原価を求める。

ジーンズの完成品原価
 組直接費:(72,000円+369,000円)÷(300本+1,500本)×1,400本=343,000円
 組間接費:(225,680円+2,090,000円)÷(150本+1,490本)×1,400本=1,976,800円
 完成品原価:343,000円+1,976,800円=2,319,800円(解答)

チノパンの完成品原価
 組直接費:(75,000円+338,100円)÷(500本+2,200本)×2,000本=306,000円
 組間接費:(172,350円+1,710,000円)÷(200本+2,150本)×2,000本=1,602,000円
 完成品原価:306,000円+1,602,000円=1,908,000円(解答)

【終わりに】

今回は組別総合原価計算を解説しました。
次回は工程別総合原価計算を解説します。


前の解説 | 次の解説


目次


【運営者情報・免責事項】







会計入門
~実務に役立つ会計の入門

決算書が読めるようになるサイト。「実務に役立つシリーズ」第1弾!!

商業簿記入門
~2級、3級の資格学習を支援

サイト管理者の経験も交えて実務的な視点で解説。「実務に役立つシリーズ」第3弾!!

会計ヘッジ
将来リスクを回避するためのサイト

会計、簿記、経理、税務、起業など、トピックやトレンドも含め、様々な情報を配信

【関連記事】
他コンテンツの記事です。

会計入門その6~棚卸資産

【商品及び製品、仕掛品、原材料及び貯蔵品】これらの科目は製造や仕入に関する科目です。まとめて棚卸資産(たなおろししさん)といいます。年に1回・・・

会計入門その9~減価償却と資産計上

会計入門その4で資産について、次の通り説明しました。お金がどれだけあり、また、将来、現金として入金されそうなモノ(権利)がどれだけあるのか。ここで固定資産って将来・・・

会計入門その24~売上総利益と粗利率・原価率

【売上総利益】売上総利益(うりあげそうりえき)は名前の通り、利益(金額がマイナスの場合には損失)を表す科目です。売上高(会計入門その22参照)・・・

【原価計算入門】
当サイトの他のページを紹介。

原価計算入門その33~工程別総合原価計算(製品別計算、累加法、前工程費)

【製品別計算(工程別総合原価計算)】今回は工程別総合原価計算を解説します。工程別総合原価計算とは、複数の製造工程があり、各工程で原価計算を実施する場合に採用する原価計算制度です。・・・

原価計算入門その34~総合原価計算(まとめ)

【製品別計算(まとめ)】前回までで総合原価計算の解説が終了しました。今回は総合原価計算のまとめを掲載説します。【分類】個別原価計算と総合原価計算の違い・・・

原価計算入門その35~標準原価計算(概要、原価標準)

【標準原価計算(概要)】標準原価計算とは、冒頭に述べたように、原価の標準を価格面と数量面の両方で設定し、原価は、標準原価を用いて計算する方法をいいます。今まで解説してきた方法では・・・

原価計算入門その36~標準原価計算(標準原価)

【標準原価計算(標準原価)】【設例】衣服メーカーは、ズボンを生産しており、原価低減を目的として原価管理を行うことから、原価計算方法は標準原価計算を採用している。・・・

原価計算入門その37~標準原価計算(価格・数量差異、賃率・作業時間差異)

【標準原価計算(原価差異、差異分析)】前回からの設例の続き(問2から)になります。【設例(前回までに分かったことは問題に反映しています)】衣服メーカーは、ズボンを生産しており、・・・

原価計算入門その38~標準原価計算(予算差異、操業度差異、能率差異)

【標準原価計算(原価差額、差異分析)】【設例】衣服メーカーは、ズボンを生産しており、原価低減を目的として原価管理を行うことから、原価計算方法は標準原価計算を採用している。・・・

原価計算入門その39~標準原価計算(シングルプランとパーシャルプラン)

【標準原価計算(記帳方法:シングルプランとパーシャルプラン)】設例を用いて解説します。【設例】衣服メーカーは、ズボンを生産しており、原価低減を目的として原価管理を行うことから、・・・

原価計算入門その40~標準原価計算(原価差異の会計処理、まとめ)

【標準原価計算(原価差異の会計処理、まとめ)】ここまでで標準原価の原価差異について解説してきました。具体的には次の通り。1.原価差異の分析①直接材料費と直接労務費→・・・

原価計算入門その41~CVP分析(損益分岐図表と損益分岐分析)

今回は、CVP分析について解説します。CVP分析とはCost-Volume-Profit Analysisすなわち、「損益分岐点の分析」のことをいいます。主に利益計画を立てる際に利用されます。・・・

原価計算入門その42~直接原価計算(計算の方法、固定費調整)

直接原価計算とは、売上高(販売数量)の変動に着目して原価を変動費と固定費に分けることによって、主に利益計画を立てる場合に利用される原価計算をいいます。・・・

原価計算入門その43~本社工場会計(工場会計の独立)

本社工場会計とは、工場に関する取引の記帳を本社から工場に移して工場が独立して取引の記帳管理を行うことで、本社と工場とで会計機能を分離させることをいいます。・・・