原価計算入門その34~総合原価計算(まとめ)

作成日:2016年11月27日 更新日:2018年5月29日

前回に引き続き、製品別計算について解説します。

製品別計算とは、原価要素を一定の製品単位に集計し,単位製品の製造原価を算定する手続をいい,原価計算における第3次の計算段階になります。
(第1次)費目別計算→(第2次)部門別計算→(第3次)製品別計算

このように段階的に製造原価を分類集計するのは、製品原価の正確な計算および原価管理を行うためです。

下記に学習上のポイントを参考に記載しました。ご利用ください。

※この「原価計算入門」のサイトでは、2級レベルの工業簿記を、衣服メーカーを例として毎回解説しています。

【学習のポイント】

0.製品別計算の分類
1.個別原価計算 ①概要と流れ ②仕損費の計算
2.単純総合原価計算 ①概要と流れ ②度外視法
3.等級別総合原価計算 ①等価係数
4.組別総合原価計算 ①組間接費
5.工程別総合原価計算 ①累加法


【製品別計算(まとめ)】

前回までで総合原価計算の解説が終了しました。
今回は総合原価計算のまとめを掲載説します。

【分類】

個別原価計算と総合原価計算の違い

項目個別原価計算総合原価計算
説明製品を個別的に生産する生産形態に適用する(いわゆる受注生産。衣服メーカーではオーダーメイド)。同一製品を連続生産(大量生産)する生産形態に適用する(いわゆる見込生産)。
具体例海外ではシャネルやアルマーニ、
国内ではオンワードなど
海外ではギャップ(GAP)、国内ではユニクロ(ファーストリテイリング)や無印良品(良品計画)など

総合原価計算の分類

項目説明具体例
単純総合原価計算単一製品の生産1種類のズボンを生産
等級別総合原価計算同一製品だが、形状、大きさなどが異なる製品を生産S、M、Lサイズのズボンを生産
組別総合原価計算同一工程で異なる製品を生産同じ工程でジーンズとチノパンを生産
工程別総合原価計算製造工程が2以上の連続する工程に分けられ,工程毎に工程製品の総合原価を計算切抜→裁縫→取付の各工程で総合原価を計算する場合

総合原価計算の流れ

項目説明
注文(受注)原価計算上、行う手続きはなし。
費目別計算
→部門別計算
個別原価計算と同じ。
(費目別計算)費用を材料費、労務費、経費に分類し、
さらに直接費と間接費に分ける。間接費はまとめて製造間接費とする。
(部門別計算)製造間接費を部門個別費と部門共通費に分類し、
それぞれ賦課、または配賦によって製造部門と補助部門に集計。
補助部門は直接配賦法又は相互配賦法によって製造部門に配賦する
ことで、製造間接費を各製造部門に集計する。
製品別計算製品毎に原価を集計する。
個別原価計算のような製造指図書はない。
完成品原価と月末仕掛品原価とに原価を配分(ボックス図を使用)
製品単価の計算として、先入先出法や総平均法などを用いる。
仕損・減損度外視法を採用
(仕損・減損が工程の途中で発生)
 →完成品と月末仕掛品の両方に負担させる。
(仕損・減損が工程の最後で発生)
 →完成品のみに負担させる。
仕訳(仕掛品→製品)製品××/仕掛品××
(製品→売上原価)売上原価××/製品××
決算書への反映製造原価報告書や損益計算書に結果を反映する。

ボックス図

仕掛品
月初仕掛品完成品
当月投入
月末仕掛品

各総合原価計算の論点

項目用語説明
等級別総合原価計算等価係数重量や大きさなど、一定の基準によって定められた、
等級別総合原価計算で用いる係数。
完成品原価を等価係数に基づき各等級製品に
あん分し、製品原価を計算するために使用。
組別総合原価計算組間接費工程で発生した間接費・加工費(=組間接費)を
何らかの配賦基準に従って、各製品に配分。
工程別総合原価計算累加法工程別原価計算で採用される計算方法の一つ。
最初の工程の直接材料費と加工費を前工程費
として扱い、そのまま次の工程に引き継ぐ方法のこと
前工程費前工程で発生した原価(直接材料費+加工費)
工程の最初に投入されるので、原価の算定では
直接材料費と同様に計算する。


【終わりに】

今回で製品別計算の解説が終了しました。
次回から標準原価計算を解説します。


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