工業簿記2級 標準原価計算(価格・数量差異、賃率・作業時間差異)

作成日:2016年12月4日 更新日:2018年5月31日

前回に引き続き、標準原価計算について解説します。

下記に学習上のポイントを参考に記載しました。ご利用ください。

※この「原価計算入門」のサイトでは、2級レベルの工業簿記を、衣服メーカーを例として毎回解説しています。

種類別の勘定連絡図(個別、総合、標準)

クリックすると、実際個別原価計算、実際総合原価計算、標準原価計算それぞれの勘定連絡図(簿記2級で出題される典型的なケース)が別窓で開きます。

学習のポイント

0.標準原価計算の概要 ①原価標準
1.標準原価の計算
2.原価差額の差異分析 ①直接材料費 ②直接労務費 ③製造間接費
3.仕訳処理 ①パーシャルプランとシングルプラン
4.原価差額の会計処理 ①売上原価加減法

標準原価計算(原価差異、差異分析)

前回からの設例の続き(問2から)になります。

設例(前回までに分かったことは問題に反映しています)
衣服メーカーはズボンを生産しており、原価低減を目的として原価管理を行うことから、原価計算方法は標準原価計算を採用している。

今月の原価計算の状況と必要なデータは次の通り。
・直接材料費は各工程の最初に全て投入。加工費(直接労務費+製造間接費)は各工程の製造の進捗度合いに応じて投入

1.生産データ

項目本数(進捗度)
月初仕掛品200本(50%)
当月投入1,800本(1,600本)
合計2,000本(1,700本)
月末仕掛品500本(40%)
完成品1,500本(1,500本)

※()内の数字は加工費の進捗度である。

2.原価標準

項目原価標準
直接材料費標準価格@120 ×標準消費量1枚=120円
直接労務費標準賃率@2,000×標準直接作業時間0.25時間=500円
製造間接費標準配賦率@1,440円×標準直接作業時間0.25時間=360円
合計(完成品)@980円

※月間の基準操業度は450時間。基準操業度の変動費率は@480円 固定費予算額は432,000円である。

3.実際原価データ

項目原価標準
直接材料費225,700円(122円×1,850枚)
直接労務費798,000円(1,900円×420時間)
製造間接費630,000円(実際直接作業時間は420時間であった)

(問1)当月の標準原価(標準直接材料費、標準直接労務費、標準製造間接費)を求めましょう。
→前回に解説済みです。
 標準直接材料費=1,800本×120円=216,000円
 標準直接労務費=1,600本×500円=800,000円
 標準製造間接費=1,600本×360円=576,000円(解答)

 

(問2)次の通り、原価差異の差額分析を行いましょう。
 (1)直接材料費:価格差異と数量差異
 (2)直接労務費:賃率差異と作業時間差異
 (3)製造間接費:予算差異、操業度差異、および能率差異

原価差異と差異分析

実際原価計算の差異分析は、「原価計算入門その18~製造間接費(原因分析、予算差異と操業度差異)」で、製造間接費の差異分析について解説しましたが、予算差異と操業度差異を計算して差異分析を行いました。

具体的には、製造間接費の差異分析では予定配賦率と基準操業度から予定原価を計算し、さらに予算許容度を求め、実際原価との差額から予算差異や操業度差異を計算しました。

標準原価計算では、次のデータを用いて差異分析を行います。
 (1)標準単価(価格、賃率など)を用いる。
 (2)標準数量を用いる。
 (3)基準操業度と実際操業度だけでなく、標準操業度を用いる。

標準原価計算と実際原価計算の差異分析を比較すると、次の通りとなります。

項目実際原価計算による差異分析標準原価計算による差異分析
直接材料費価格差異価格差異、数量差異
直接労務費賃率差異賃率差異、作業時間差異
製造間接費予算差異、操業度差異予算差異、操業度差異、能率差異

直接材料費差異(価格差異、数量差異)

直接材料費差異は次の通り計算します。

直接材料費差異 = 標準直接材料費 - 実際直接材料費

結果がマイナス(△)になった場合には不利差異(借方差異)、プラスになった場合は有利差異(貸方差異)といいます。

※結果がプラス→標準 > 実際→原価(コスト)は標準(目標)よりも抑えることができた→有利差異
とイメージしましょう。

価格差異と数量差異

直接材料費差異は、価格差異と数量差異に分けることができます。

次の図を用いると簡単に問題を解くことができます。

価格差異と数量差異

価格差異=(標準価格-実際価格)×実際数量
数量差異=標準価格×(標準数量-実際数量)

補足(標準-実際)です。また、図のうち、点線で囲んだ部分は価格差異に含まれますが、式だけを暗記しようとすると、この部分が価格差異なのか数量差異なのか忘れてしまうことがあります。従って図で覚えておきましょう。

直接労務費差異(賃率差異と作業時間差異)

直接労務費差異は直接材料費差異と同様に求めます。従って詳細の解説は省略します。

賃率差異と作業時間差異

賃率差異=(標準賃率-実際賃率)×実際作業時間
作業時間差異=標準賃率×(標準作業時間-実際作業時間)

設問(問2)

(問2)のうち、直接材料費と直接労務費の解答は次の通りとなります。

解答(問2)
(直接材料費)価格差異=(標準価格120円-実際価格122円)×実際数量1,850枚=△3,700円(不利差異、借方差異)
数量差異=標準価格120円×(標準数量1,800枚-実際数量1,850枚)=△6,000円(不利差異、借方差異)

(直接労務費)賃率差異=(標準賃率2,000円-実際賃率1,900円)×実際作業時間420時間=42,000円(有利差異、貸方差異)
作業時間差異=標準賃率2,000円×(標準作業時間400時間-実際作業時間420時間)=△40,000円(不利差異、借方差異)

解説
(標準数量・標準作業時間の求め方)問題の「2.原価標準」より、ズボン1本を生産するのに直接材料は1枚、直接作業時間は0.25時間を必要とします。

当月投入量は直接材料費は1,800本、加工費は1,600本であるので、
直接材料費:標準数量=1,800本×1枚=1,800枚
直接労務費:標準作業時間=1,600本×0.25時間=400時間

終わりに

今回は標準原価計算のうち、標準原価の計算と直接材料費、直接労務費の差異分析を解説しました。
次回は製造間接費の差異分析について解説します。

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