工業簿記2級 シングルプランとパーシャルプラン(標準)とは

更新日:2020年8月28日
作成日:2017年5月17日

前回に引き続き、標準原価計算について。今回はシングルプランとパーシャルプランを解説。

※この「原価計算入門」のサイトでは、2級レベルの工業簿記を、衣服メーカーを例として毎回解説しています。

種類別の勘定連絡図(個別、総合、標準)

クリックすると、実際個別原価計算、実際総合原価計算、標準原価計算それぞれの勘定連絡図(簿記2級で出題される典型的なケース)が別窓で開きます。

今回の学習はココ

シングルプランとパーシャルプランについて学習します。工業簿記(原価計算)の種類でいうと標準原価計算の手続きに該当します。

標準原価計算とは、製品を標準原価で計算する原価計算制度をいい、原価管理の目的で採用します。

実際原価計算では把握できない数量差異や能率差異を把握することで、原価活動の能率改善に役立ちます。

シングルプランとは

シングルプランとは、各費目(直接材料費、直接労務費、製造間接費)の勘定科目でそれぞれの原価差異の発生を仕訳処理する方法をいいます。

パーシャルプランとは

パーシャルプランとは、仕掛品勘定で各費目の原価差異の発生を仕訳処理する方法をいいます。

両者の違い

両者の違いは次の通り。

シングルプランは材料勘定、賃金勘定、製造間接費勘定といった勘定科目でそれぞれの原価差異の発生を仕訳するのに対して、パーシャルプランでは仕掛品勘定で原価差異の発生を仕訳します。

それぞれの原価差異については下記の記事を参照。

問題例(シングルプランとパーシャルプラン)

設例を用いて解説します(理解するための問題)。

標準原価計算の詳細は下記の記事を参照。

2.生産データ

項目本数
月初仕掛品-
当月投入1,800本
合計1,800本
月末仕掛品300本
完成品1,500本

3.原価標準(直接材料費のみ)

項目原価標準
直接材料費標準価格@120 ×標準消費量1枚=120円

4.実際原価データ

項目投入額
直接材料費225,700円(122円×1,850枚)

解答

解説1-勘定科目の記帳方法

両者の違いは「原価差異の発生」に関する記帳(仕訳)です。上述の違いをまとめると次の通り。

項目説明
シングルプラン各費目(直接材料費、直接労務費、製造間接費)で原価差異を把握する方法
パーシャルプラン仕掛品勘定で原価差異を把握する方法

従って、原価差異の計上の前段階である(1)材料の購入取引はどちらも同じ記帳です(材料勘定の借方に記入)。

次に(2)直接材料の製造投入については、勘定科目は同じですが金額が異なります。なぜならばシングルプランは材料勘定で原価差異を把握しますが、パーシャルプランでは仕掛品勘定で原価差異を把握するからです。

すなわち、(2)で記帳する金額はシングルプランは「標準原価」であるのに対して、パーシャルプランでは「実際原価」になります。

次に(3)の価格差異と数量差異は次の通り。シングルプランでは材料勘定から価格差異勘定・数量差異勘定へ振り替え、パーシャルプランでは仕掛品勘定から振り替えます。

以上をまとめると、それぞれの材料勘定と仕掛品勘定は次の通り。

<シングルプラン>

材料勘定(シングルプラン)
(月初材料) (省略)(当月投入) 仕掛品 216,000円
(購入) 買掛金 248,000円(原価差異) 価格差異 3,700円
(原価差異) 数量差異 6,000円
(月末材料) (省略)
仕掛品勘定(シングルプラン)
(当月投入) 材料 216,000円(完成) 製品 180,000 
(月末仕掛品) 36,000円

<パーシャルプラン>

材料勘定(パーシャルプラン)
(月初材料) (省略)(当月投入) 仕掛品 225,700円
(購入) 買掛金 248,000円(月末材料) (省略)
仕掛品勘定(パーシャルプラン)
(当月投入) 材料 225,700円(完成) 製品 180,000
(原価差異) 価格差異 3,700円
(原価差異) 数量差異 6,000円
(月末仕掛品) 36,000円

解説2-仕訳

上記の材料勘定と仕掛品勘定の記帳を仕訳にすれば解答になります。

解答を再掲します。

次の問題と解説

CVP分析(損益分岐点の計算)について解説します。図を描いて変動利益率や貢献利益率を計算して損益分岐点の売上高や販売数量を求めることができるかどうかがポイント。

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