工業簿記2級 標準原価計算(シングルプランとパーシャルプラン)

更新日:2018年6月2日
作成日:2017年5月17日

前回に引き続き、標準原価計算について解説します。

下記に学習上のポイントを参考に記載しました。ご利用ください。

※この「原価計算入門」のサイトでは、2級レベルの工業簿記を、衣服メーカーを例として毎回解説しています。

種類別の勘定連絡図(個別、総合、標準)

クリックすると、実際個別原価計算、実際総合原価計算、標準原価計算それぞれの勘定連絡図(簿記2級で出題される典型的なケース)が別窓で開きます。

学習のポイント

0.標準原価計算の概要 ①原価標準
1.標準原価の計算
2.原価差額の差異分析 ①直接材料費 ②直接労務費 ③製造間接費
3.仕訳処理 ①パーシャルプランとシングルプラン
4.原価差額の会計処理 ①売上原価加減法

標準原価計算(記帳方法:シングルプランとパーシャルプラン)

設例を用いて解説します。

設例
衣服メーカーは、ズボンを生産しており、原価低減を目的として原価管理を行うことから、原価計算方法は標準原価計算を採用している。

今月の原価計算の状況と必要なデータは次の通り。
・直接材料費は各工程の最初に全て投入される。

1.生産データ

項目本数
月初仕掛品-
当月投入1,800本
合計1,800本
月末仕掛品300本
完成品1,500本

2.原価標準(直接材料費のみ)

項目原価標準
直接材料費標準価格@120 ×標準消費量1枚=120円

3.実際原価データ(直接材料費のみ)

項目投入額
直接材料費225,700円(122円×1,850枚)

4.今月の取引
(1)直接材料である生地を2,000枚、@124円で掛けで購入した。なお、この工場では実際の購入単価をもって材料勘定への受入記録を行っている。
(2)上記1~3の通り、直接材料を製造に投入した。
(3)月末になったので、直接材料費の価格差異と数量差異を計算して仕訳を行った。

(問1)上記の取引4.(1)~(3)について①シングルプラン、②パーシャルプランそれぞれで仕訳しましょう。
なお、勘定科目は次の中から選択すること。
 材料 仕掛品 買掛金 価格差異 数量差異 製造間接費

記帳方法(シングルプラン、パーシャルプラン)

標準原価計算の記帳方法には、シングルプランとパーシャルプランがあります。
両者の違いは、「原価差異をどの勘定科目で把握するか?」です。

項目説明
シングルプラン各費目(直接材料費、直接労務費、製造間接費)で原価差異を把握する方法
パーシャルプラン仕掛品勘定で原価差異を把握する方法

原価計算の流れは、(第1次)費目別計算→(第2次)部門別計算→(第3次)製品別計算です。
この流れを思い浮かべながら、どの段階で原価差異を把握するのか考えてみるとイメージしやすくなります。

解答
4.今月の取引
(1)直接材料である生地を2,000枚、@124円で掛けで購入した。なお、この工場では実際の購入単価をもって材料勘定への受入記録を行っている。
(2)上記1~3の通り、直接材料を製造に投入した。。
(3)月末になったので、直接材料費の価格差異と数量差異を計算して仕訳を行った。

この取引について仕訳は次の通りです。

①シングルプラン
(1) (借方)材料 248,000  (貸方)買掛金 248,000
(2) (借方)仕掛品 216,000 (貸方)材料  216,000
(3) (借方)価格差異 3,700 (貸方)材料  9,700
        数量差異 6,000             

材料勘定
(月初材料) (省略)(当月投入) 仕掛品 216,000円
(購入) 買掛金 248,000円(原価差異) 価格差異 3,700円
(原価差異) 数量差異 6,000円
(月末材料) (省略)
仕掛品勘定
(当月投入) 材料 216,000円(完成) 製品 180,000 
(月末仕掛品) 36,000円

②パーシャルプラン
(1) (借方)材料 248,000  (貸方)買掛金 248,000
(2) (借方)仕掛品 225,700 (貸方)材料  225,700
(3) (借方)価格差異 3,700 (貸方)仕掛品 9,700
        数量差異 6,000             

材料勘定
(月初材料) (省略)(当月投入) 仕掛品 225,700円
(購入) 買掛金 248,000円(月末材料) (省略)
仕掛品勘定
(当月投入) 材料 225,700円(完成) 製品 180,000
(原価差異) 価格差異 3,700円
(原価差異) 数量差異 6,000円
(月末仕掛品) 36,000円

解説
②(2) (借方)仕掛品 225,700 (貸方)材料  225,700
→設例の設定より3.実際原価データ(直接材料費のみ)を読み取れば、金額は225,700円だと分かります。

①(3)と②(3)価格差異と数量差異の仕訳
価格差異=(@122-@120)× 実際消費量1,850枚=3,700円
数量差異=@120 × (1,850枚-1,800枚)=6,000円

(3)は①と②では貸方の勘定科目が異なります。

①シングルプランは各費目(直接材料費、直接労務費、製造間接費)のそれぞれの勘定科目で原価差異を把握(記帳)します。
そこで、①シングルプランでは材料勘定を貸方に記入します。

これに対して②パーシャルプランは仕掛品勘定で原価差異を把握(記帳)します。
そこで、②パーシャルプランでは仕掛品勘定を貸方に記入します。

※価格差異と数量差異については「原価計算入門その37~標準原価計算(価格・数量差異、賃率・作業時間差異)」を参照ください。

※この問題では材料費勘定を使用しない設定になっていますが、材料費勘定が問題としてあれば回答も異なります。材料費の仕訳については、「原価計算入門その8~材料費(費目別計算、まとめ)」を参照ください。

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終わりに

今回は標準原価計算のうち、製造間接費の差異分析について解説しました。
次回は原価差異の会計処理を解説した後にまとめを掲載します。

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