原価計算入門その40~標準原価計算(原価差異の会計処理、まとめ)

作成日:2017年5月18日 更新日:2018年6月2日

前回に引き続き、標準原価計算について解説します。

下記に学習上のポイントを参考に記載しました。ご利用ください。

※この「原価計算入門」のサイトでは、2級レベルの工業簿記を、衣服メーカーを例として毎回解説しています。

【学習のポイント】

0.標準原価計算の概要 ①原価標準
1.標準原価の計算
2.原価差額の差異分析 ①直接材料費 ②直接労務費 ③製造間接費
3.仕訳処理 ①パーシャルプランとシングルプラン
4.原価差額の会計処理 ①売上原価加減法


【標準原価計算(原価差異の会計処理、まとめ)】

前回までの解説で標準原価の原価差異について解説してきました。具体的には次の通り。

1.原価差異の分析
 ①直接材料費と直接労務費→「原価計算入門その37~標準原価計算(価格・数量差異、賃率・作業時間差異)
 ②製造間接費→「原価計算入門その38~標準原価計算(予算差異、操業度差異、能率差異)
2.原価差異の記帳方法
 →「原価計算入門その39~標準原価計算(シングルプランとパーシャルプラン)

この通り、「原価差異がどれだけ発生したのかを費目別に分析→仕訳を行う」までは解説してきました。

そこで、次は「損益計算書上ではどの区分に計上するのか?」ということになります。

【標準原価計算の原価差異の計上区分と売上原価加減法】

工業簿記2級では、「原価差異は損益計算書上、売上原価に加減する」と覚えておきましょう(売上原価加減法といいます)。

原価差異の有利or不利説明
不利差異(実際原価>標準原価)売上原価に原価差異を加算する。
有利差異(実際原価<標準原価)売上原価から原価差異を差し引く。

損益計算書上には「標準売上原価」という表示科目とは別に、「原価差異」という表示科目で計上します。

すなわち、損益計算書上では「売上原価=標準売上原価±原価差異」という関係が成り立ちます。

※損益計算書については「原価計算入門その45~損益計算書と製造原価報告書」にて解説しています。



【標準原価計算のまとめ】

これで標準原価計算の解説が終了しました。下記にまとめを掲載します。

標準原価計算と総合原価計算の違い

項目説明
実際原価計算実際価格×実際数量=実際原価
※価格は予定価格を使用することも可
標準原価計算標準価格×標準数量=標準原価

標準原価計算の流れ

項目説明
1.原価標準の設定各費目(直接材料費、直接労務費、製造間接費)別に、標準価格と
標準数量を設定する。これらを合計することで製品1個を製造する
のにかかる原価(=原価標準)を設定する。
2.標準原価の計算生産量データと原価標準から標準原価を計算する。
3.実際原価の計算生産量データや実際発生額データを使用して実際原価を計算する。
4.原価差異の分析各費目別に価格差異、数量差異といった原価差異の分析を行う。
5.原価の記帳
(原価差異含む)
一連の原価活動を記帳(仕訳)する。また、原価差異の分析に
基づいて、原価差異の仕訳を行う。※シングルプランまたは
パーシャルプランによって一連の仕訳は異なってくる。
6.P/Lへの計上以上の結果で集計した原価(原価差異含む)を製造原価報告書や
P/L(損益計算書)に計上する。

原価差異の分析項目(実際原価計算(予定原価)との違い)

項目予定原価による差異分析標準原価による差異分析
直接材料費価格差異価格差異、数量差異
直接労務費賃率差異賃率差異、作業時間差異
製造間接費予算差異、操業度差異予算差異、操業度差異、能率差異

原価差異の分析(計算方法)
※シュラッター図で覚えましょう。

費目項目計算方法
直接材料費価格差異(標準価格-実際価格)×実際数量
数量差異標準価格×(標準数量-実際数量)
直接労務費賃率差異(標準賃率-実際賃率)×実際作業時間
作業時間差異標準賃率×(標準作業時間-実際作業時間)
製造間接費予算差異予算許容度-実際原価
操業度差異固定費率×(実際操業度-基準操業度)
能率差異①標準配賦率×(標準操業度-実際操業度)
②変動費率×(標準操業度-実際操業度)+
固定費率×(標準操業度-実際操業度)

シングルプランとパーシャルプラン

項目説明
シングルプラン各費目(直接材料費、直接労務費、製造間接費)で原価差異を把握する方法
パーシャルプラン仕掛品勘定で原価差異を把握する方法

原価差異の会計処理

原価差異の有利or不利説明
不利差異(実際原価>標準原価)売上原価に原価差異を加算する。
有利差異(実際原価<標準原価)売上原価から原価差異を差し引く。


【終わりに】

今回で標準原価計算の解説が終了しました。
次回は損益分岐分析について解説します。


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