日商簿記2級 本支店会計と仕訳|未達事項と内部取引

更新日:2021年1月16日
公開日:2018年4月28日

前回は、株式会社の合併に関する仕訳や評価・換算差額等について解説しました。

今回は、本支店会計と仕訳(未達事項と内部取引)について説明します。

本支店会計とは

本支店会計(ほんしてんかいけい)とは、会社全体で1つの帳簿組織ではなく、本店と支店がそれぞれ独立した会社のように帳簿組織を持ち、日々の取引を記帳するような制度のことをいいます。

本支店会計のメリットとしては、本店や各支店別に業績を把握しやすくなり、決算書も本店、支店単位で作成することができます。

これらは会社内部で使用する資料として有効であり、会社外部に対する決算書は会社全体の決算書を作成する必要があります。

本支店会計の特徴(内部取引と未達事項)

上述の通り、本店や各支店が独立した会社のように帳簿組織を持ち、日々の取引を記帳することから、同じ会社内であっても他の本店や支店との取引も別の会社との取引のように記帳を行うことが特徴です。

他の本店や支店との取引のことを内部取引(ないぶとりひき)といいます。

また、内部取引を完全に把握するには、本店と支店との間の取引を両者が全て把握しなければなりません。

本店支店間の取引を両者が完全に把握して帳簿に記帳(仕訳)した場合には、本支店間の取引に関する残高は一致します。

このためには、「未達事項」を全て把握して仕訳します。「未達事項(みたつじこう)」とは、一方が仕訳した取引が他方に伝わっておらず取引を把握できていないため、仕訳されていないような事項をいいます。

以上、内部取引の仕訳を理解し、未達事項を把握することが、本支店会計を理解する重要な点になります。

本支店会計で使用する勘定科目

本支店会計の仕訳には、「本店勘定(その他に属する勘定科目)」「支店勘定(その他に属する勘定科目)」を使用して仕訳します。

支店が複数存在する場合には、「〇〇支店勘定」のように、〇〇に支店の名称を付して勘定科目として使用することが、実務では一般的です。

本店勘定も支店勘定も内部取引用の債権債務の勘定科目と同様に取り扱われます。借方に残高があれば債権を表し、貸方に残高があれば債務を表します。

本店では支店に対する債権債務を表すため支店勘定を使用し、反対に支店では本店勘定を使用します。

本支店会計の仕訳

内部取引以外の取引は、これまで学習した一般の仕訳処理と同じです。

次に本支店間の取引ですが、他社との取引と同様に考えれば問題ありません。

通常の取引と異なるのは、本支店間の取引は売掛金、買掛金、立替金、未収入金、未払金、預り金など、債権債務に関する勘定科目は使用せず、全て本店勘定と支店勘定で仕訳する点です。

次にいくつかのパターン別に本店支店会計の仕訳を説明します。

(1)現金の送金

例えば、本店から支店へ現金を送金した場合には、本店では「(借方)支店 ××× (貸方)現金 ×××」、支店では「(借方)現金 ××× (貸方)本店 ×××」と仕訳します。

(2)費用の立て替え

例えば、本店で発生した広告宣伝費を支店が普通預金から支払った場合には、本店では「(借方)広告宣伝費 ××× (貸方)支店 ×××」、支店では「(借方)本店 ××× (貸方)普通預金 ×××」と仕訳します。

(3)商品の移動

例えば、本店から支店へ商品を移動する場合には、本店では「(借方)支店 ××× (貸方)仕入 ×××」、支店では「(借方)仕入 ××× (貸方)本店 ×××」と仕訳をきります。

商品取引の仕訳について3分法を採用している場合には、期中では商品は仕入勘定で仕訳しています。そこで本店では商品を減少させるために仕入勘定を貸方に記入します。

仕訳(まとめ)

本店支店会計の仕訳はパターンが多いため、上の例で説明した取引をまとめました。

もしこれらの内部取引が本店または支店の一方でしか仕訳していない場合には、未達事項であるため仕訳しなければなりません。

出来事本店の仕訳支店の仕訳
借方科目貸方科目借方科目貸方科目
本店から支店へ現金を送金支店現金現金本店
本店で発生した広告宣伝費を
支店が普通預金より支払い
広告宣伝費支店本店普通預金
本店から支店へ商品を移動支店仕入仕入本店

本支店会計の決算手続き

本店と支店で各々、決算整理後合計残高試算表を作成し、帳簿締め切りまで行った後に本店と支店を合算した決算書を作成します。

特に本店勘定と支店勘定の残高が一致しているかどうかを確認し、未達事項がないかどうか確認します。

具体例としては、本店からは商品を発送したが、配送中のため、支店には商品が届いておらず、仕訳していない、といった内部取引が挙げられます。

このような未達事項をすべて仕訳したのち、本店と支店の残高が一致していることを確認後、本店勘定と支店勘定は相殺の仕訳を記帳します。

最後に勘定科目毎に本店と支店の残高を合計します。

【補足】支店が複数存在する場合の支店間の取引について

支店が複数存在し、支店間で内部取引を行った場合には、2種類の仕訳の方法があります。

1つ目の方法は、通常の本支店会計と同じく、〇〇支店勘定を使用して仕訳します。例えば、A支店とB支店で取引した場合には、A支店ではB支店勘定を使用し、B支店ではA支店勘定を使用します。

2つ目の方法は、支店間の取引の場合には、必ず本店勘定を使用する方法です。例えば、A支店からB支店に現金を送付した場合には、どちらの支店も本店と取引をしたように仕訳し、A支店では「(借方)本店 ××× (貸方)現金 ×××」、B支店では「(借方)現金 ××× (貸方)本店 ×××」と仕訳します。

次に本店では、それぞれの支店で仕訳した借方・貸方側と反対の側に支店勘定を記入して仕訳します。今回の例では、A支店では借方に本店を記入しており、B支店では貸方に本店を記入しているため、「(借方)B支店 ××× (貸方)A支店 ×××」と仕訳します。

まとめ

今回は本支店会計の仕訳について解説しました。問題をこなして仕訳を覚えましょう。

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