銀行勘定調整表とは|項目・書き方・仕訳を解説

記事最終更新日:2023年8月2日
記事公開日:2017年8月13日
当座預金の帳簿残高を修正するために決算手続きとして「銀行勘定調整表」を作成します。
しかし、「調整項目が理解できない」「書き方が分からない」「どの項目を仕訳するのか?」など、知らないと経理実務で困るようなポイントがあります。
本記事では、銀行勘定調整表の概要を説明した上で、必要性・調整事項の内容・書き方・仕訳方法を解説します。
※当座預金の概要や仕訳方法は下記の記事で解説しています。
銀行勘定調整表とは
「銀行勘定調整表(ぎんこうかんじょうちょうせいひょう)」とは、主に当座預金の残高を分析するために作成する表であり、銀行が発行する残高証明書と会社が把握している帳簿残高が一致しない場合に、不一致の原因を分析するために作成する表をいいます。
必要性
当座預金は会社の決済用の口座として、小切手・手形や当座借越といった特別な決済手段を用いることができます。
従って、一般の普通預金と比較すると、当座預金の取引は複雑になりやすく、金額も大きい傾向があります。
そこで、当座預金の決算期末の帳簿残高を検証するためには、「銀行勘定調整表」を作成して、「銀行側の残高」と「会社の帳簿残高」との間に生じている不一致となる原因を、全て網羅的に洗い出し、整理して検証する必要があります。
調整事項(不一致の原因)
代表的な不一致の原因となる取引は次の通り。
原因 | 原因 | 内容 |
---|---|---|
会社が調整する取引 | 銀行連絡未達 | 預金を増減させる取引のうち、銀行から通知がない取引 |
未渡小切手 | 小切手を振出(作成)したが取引先に渡していない | |
誤記入 | 誤って仕訳処理した取引 | |
銀行が調整する取引 | 時間外預入 | 銀行の営業時間外に預け入れした。 |
未取付小切手 | 取引先が銀行へ小切手を呈示していない。 |
種類
銀行勘定調整表の種類は次の通り。
- ①銀行の残高証明書が正しいと仮定して調整する方法
- ②会社の帳簿残高が正しいと仮定して調整する方法
- ③両者の残高を調整して一致させる方法
銀行勘定調整表の書き方と修正仕訳
例として、「③両者の残高を調整して一致させる方法」による銀行勘定調整表と決算整理仕訳を示します。
<銀行勘定調整表>
銀行勘定調整表 | |||
---|---|---|---|
当座預金勘定残高(会社側) | 残高証明書残高(銀行側) | ||
当座預金勘定残高 | 1,650,000 | 銀行の残高証明書残高 | 1,450,000 |
(減算)買掛金支払い記帳漏れ | 150,000 | (加算)時間外預入 | 50,000 |
1,500,000 | 1,500,000 | ||
<決算整理仕訳>
No | 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
---|---|---|---|---|
1 | 買掛金 | 150,000 | 当座預金 | 150,000 |
左側には、会社側で当座預金取引を仕訳した結果である「帳簿残高」と「不一致の原因」を記載し、右側には銀行が発行した「残高証明書の残高」と「不一致の原因」を記載します。
この調整の結果、どちらの残高も1,500,000円になり、一致しました。
「決算整理仕訳」は、銀行勘定調整表の作成が完了してから、「会社側の不一致の原因のみ」を記帳します。
上の例では、「(減算)買掛金支払い記帳漏れ」のみを仕訳します。「(加算)時間外預入」は銀行側の原因であり、会社側では問題のない項目のため仕訳する必要はありません。
調整のポイント
不一致の原因となる代表例を覚えておくこと。
銀行側と会社側どちらの修正事項になるかも併せて覚えておき、会社側について適切な仕訳を行えることです。
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