第1章 はじめに
本書は日商簿記2級(商業簿記)の2025年度(2025年4月1日から2026年3月31日)の試験範囲に準拠したテキストです。
<ポイント:本書の対応する試験>
- ・統一試験(第170~172回 6/11/2月実施)
- ・ネット試験(2025/4/1~2026/3/31実施)
- ・団体試験(2025/4/1~2026/3/31実施)
※簿記2級の試験範囲を解説します。
簿記3級の試験範囲は解説していませんので、必要な場合には別のテキストなどで学習する必要があります。
試験範囲の改定
2025年度の日商簿記2級(商業簿記)の試験範囲は、2023年度から変更はありません。
出題形式
2024年度から変更はありません。2021年度から採用された方法で出題されます。
統一・ネット・団体試験ともに同じ出題形式です(ただし、ネット試験では紙面ではなくPC端末を使用)。
<ポイント:出題形式の例>
- 第1問から第3問が商業簿記、第4問と第5問が工業簿記
- 第1問 仕訳問題 5題(20点)
- 第2問 補助簿や勘定の記入、連結会計などの個別問題(20点)
- 第3問 財務諸表作成などの総合問題(20点)
- 第4問 仕訳問題3問と費目別計算、個別・総合原価計算(20点)
- 第5問 標準原価計算、直接原価計算(20点)
この5つの大問を「90分」という制限時間内に解きます。
合格基準
100点満点中、70点以上を取れば合格です。
日商簿記2級に合格するには
次の通り。
<ポイント:簿記2級に合格するには(商業簿記)>
- ・広く満遍なく学習すること
- ・仕訳を中心に覚えること
- ・速く正確に解けるように反復演習すること
商業簿記は、試験範囲が広いですが、まずは「仕訳を覚える」ことです。
取引によって仕訳にはパターンがあります。仕訳を覚えれば覚えるほど点数が伸びるので、合格に近づきます。
仕訳が本試験レベルになれば、勘定元帳の記入や総合問題も解けるようになります。
大切なポイントのため再び記載しますが、勉強のやり方として重要なのは「全ての試験範囲を偏りなく学習する」こと、そして「繰り返し演習する」こと、「速く正確に解けるようにする」ことです。
日商簿記検定の主催者である商工会議所のWebページには、新試験のコンセプトが次の通り掲載されています。
<ポイント:新試験のコンセプト>
- 1.日々の学習の成果、到達度を測る
- 2.スピードと正確性を求める
- 3.出題範囲すべての学習を求める
- 4.1級まで継続した学習を奨励する
- (引用元)商工会議所Webサイト:URL https://www.kentei.ne.jp/34757
出題形式の変更によって、試験時間が120分から90分と短縮しました。覚えた仕訳を何回も問題演習で定着するまで繰り返し、「基本・標準問題を速く正確に解く」スキルを養いましょう。
そしてヤマを張らずに、テキストの全範囲を満遍なく学習するようにしましょう。
本試験レベルの問題を読む
試験日までに十分な日数があるうちに、なるべく早い段階で、
「本試験レベルの問題を読む」
ことをお勧めします。
「どの位のことをやれば合格できるのか」を知ることは、試験に合格するための重要な要素の1つです。
体感することで、自身に足りない部分が具体化します。この時点では、本格的に問題を解く必要はないですが、自分自身の実力と本試験のレベルの差が実感できる位は読んでみましょう。
問題演習を沢山こなす
テキストを読む「インプット学習」は受動的になりがちです。
一通りテキストを読んだ後は、問題を沢山解き、分からなければテキストに戻る、という「アウトプット学習」の方が覚えるのも早く、効果的な勉強方法といえます。
問題演習を行った方が、間違えた原因や覚えていなかった点など、問題意識が高くなるため、具体的な対策も立てやすくなります。
もちろん、問題演習で覚えていない点や理解できていない点については、「インプット学習」でテキストや学習ノートで再度確認していく必要があります。
