2-1 現金

現金の範囲と仕訳を解説します。

現金の範囲

簿記で取り扱う現金の範囲について、下にまとめました。

現金の範囲表

このように簿記で現金といった場合には、通貨の他に通貨代用証券(つうかだいようしょうけん)も現金の範囲に含まれます。

通貨代用証券にはいくつか種類があります。ここでは日商簿記3級で学習する小切手以外について解説します。

為替証書

為替証書(かわせしょうしょ、郵便為替証書とも)とは、送金する目的で、ゆうちょ銀行や郵便局に申し込んで発行してもらう証書をいいます。

為替証書には、普通為替証書(ふつうかわせしょうしょ)定額小為替証書(ていがくこがわせしょうしょ)が存在します。

発行には、送金する金額の他に手数料が必要になります。

普通為替証書のサンプル

【引用元】普通為替と定額小為替(お手軽送金)郵便為替・郵便小為替(郵便ゆうパック・個人向け郵便局発送お役立ち情報)

定額小為替証書のサンプル

【引用元】普通為替と定額小為替(お手軽送金)郵便為替・郵便小為替(郵便ゆうパック・個人向け郵便局発送お役立ち情報)

どちらも、ゆうちょ銀行、または郵便局で申し込むことができます。

普通為替証書は、遠隔地の相手に送金する場合に、利用されます。現金書留という方法もありますが、手数料では普通為替証書の方が、安く送金できます。

数万円から数百万円単位の送金に利用します。

一方で、定額小為替証書も同様に、送金手段として用いられますが、数百円など、より小額な料金支払などに利用します。

よく利用する例として、市区町村の役所に郵送で住民票などの書類を請求する場合があります。

普通為替証書と定額小為替証書の簿記上の取り扱い

普通為替証書や定額小為替証書を受け取った場合には、ゆうちょ銀行や郵便局に持ち込めば、証書に記載されている金額を現金(通貨)で受け取ることができます。

従って、どちらの為替証書も簿記では現金として取り扱います。為替証書を受け取った場合には、現金の増加として仕訳します。

配当金領収証

配当金領収証とは、株式を購入した場合に一定の要件(権利付最終日までに株式を保有するなど)を満たした場合に、会社から送付される「配当を受け取る権利を表す証書」をいいます。

配当金領収証のサンプル

【引用元】期末配当の写真・イラスト素材(PIXTA 画像・動画の素材サイト)

配当金を受け取るには、銀行や郵便局に配当金領収証と一緒に印鑑(認印)を持っていくか、配当金受領書の受領印を押す箇所に押印して持っていけば、現金(通貨)を受け取ることができます。

配当金領収証は、「配当金を受け取る権利を表す証書」であるため、銀行や郵便局の窓口で通貨に替えるまでもなく、簿記では現金として取り扱います。

期限到来公社債利札

公社債利札(こうしゃさいりふだ)とは、公社債(国債・地方債・社債などをあわせた債券の総称)に付された利札(元本に対する利息部分)をいいます。クーポンともいいます。

公社債は、国や会社などが借入を行う際に発行します。借入には金融機関からの一般的な借入もありますが、広く多数の者から借入を募る場合に利用する手段です。

期限到来公社債利札のサンプル

【引用元】金子証券印刷株式会社:少人数私募債

資金を貸し付けた者は公社債を受け取り、期限が到来した時にクーポンを呈示すれば利息を受け取れます。償還期限到来時には貸し付けた元本が戻ってきますが、公社債は株式のように売買する市場も存在するため、償還期限まで待たずに売却もできます。

このサンプルでは、本券(社債券)の下に3枚の利札が付いています(それぞれ5万円)。それぞれの利札には、受け取り開始の期限が記載されています(サンプルでは平成16、17、18年の各12月25日)。

公社債利札は、受け取りの期限が到来すれば、利札部分を切り取って、銀行に持っていくことで現金(通貨)を受け取ることができます。

期限が到来した利札は、「利息を受け取る権利を表す証書」として有効です。従って、銀行に持って行かずとも簿記では現金として取り扱います。

普通為替証書、定額小為替証書、配当金領収証、公社債利札(期限到来済み)の仕訳

通貨、紙幣や他人振り出し小切手と同じく現金として取り扱います。増加すれば借方に「現金」、減少すれば貸方に「現金」を記入します。

取引借方科目借方金額貸方科目貸方金額
現金の増加現金×××相手勘定科目×××
現金の減少相手勘定科目×××現金×××

仕訳問題

No借方科目借方金額貸方科目貸方金額
1現金30,000売上30,000
2現金75,000受取配当金75,000
3現金50,000有価証券利息50,000
4現金20,000受取配当金20,000

解説

問題4.
切手¥5,000は現金ではなく貯蔵品として処理します。社債利札¥10,000は期限到来前のため、現金の範囲に含まれません。

従って、配当金領収証¥20,000を決算整理仕訳として記帳します。

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