原価計算入門その38~標準原価計算(予算差異、操業度差異、能率差異)

作成日:2016年12月4日 更新日:2018年6月2日

前回に引き続き、標準原価計算について解説します。

下記に学習上のポイントを参考に記載しました。ご利用ください。

※この「原価計算入門」のサイトでは、2級レベルの工業簿記を、衣服メーカーを例として毎回解説しています。

【学習のポイント】

0.標準原価計算の概要 ①原価標準
1.標準原価の計算
2.原価差額の差異分析 ①直接材料費 ②直接労務費 ③製造間接費
3.仕訳処理 ①パーシャルプランとシングルプラン
4.原価差額の会計処理 ①売上原価加減法


【標準原価計算(原価差額、差異分析)】

前回「原価計算入門その37~標準原価計算(価格・数量差異、賃率・作業時間差異)」では、直接材料費と直接労務費の差異分析を解説しました。

今回は製造間接費の差異分析を解説します。

【設例(前回までに分かったことは問題に反映しています)】

衣服メーカーは、ズボンを生産しており、原価低減を目的として原価管理を行うことから、原価計算方法は標準原価計算を採用している。

今月の原価計算の状況と必要なデータは次の通り。
・直接材料費は各工程の最初に全て投入。加工費(直接労務費+製造間接費)は各工程の製造の進捗度合いに応じて投入

1.生産データ

項目本数(進捗度)
月初仕掛品200本(50%)
当月投入1,800本(1,600本)
合計2,000本(1,700本)
月末仕掛品500本(40%)
完成品1,500本(1,500本)

※()内の数字は加工費の進捗度である。

2.原価標準

項目原価標準
直接材料費標準価格@120 ×標準消費量1枚=120円
直接労務費標準賃率@2,000×標準直接作業時間0.25時間=500円
製造間接費標準配賦率@1,440円×標準直接作業時間0.25時間=360円
合計(完成品)@980円

※月間の基準操業度は450時間。基準操業度の変動費率は@480円 固定費予算額は432,000円である。

3.実際原価データ

項目原価標準
直接材料費225,700円(122円×1,850枚)
直接労務費798,000円(1,900円×420時間)
製造間接費630,000円(実際直接作業時間は420時間であった)

(問1)当月の標準原価(標準直接材料費、標準直接労務費、標準製造間接費)を求めましょう。
→前々回に解説済み
 標準直接材料費=1,800本×120円=216,000円
 標準直接労務費=1,600本×500円=800,000円
 標準製造間接費=1,600本×360円=576,000円(解答)

 

(問2)次の通り、原価差異の差額分析を行いましょう。
→(1)と(2)は前回に解説済み
 (1)直接材料費:価格差異=△3,700円 数量差異=△6,000円(解答)
 (2)直接労務費:賃率差異=42,000円 作業時間差異=△40,000円(解答)
 (3)製造間接費:予算差異、操業度差異、および能率差異

【製造間接費差異(予算差異、操業度差異、能率差異)】

今回は標準原価計算の製造間接費ですが、実際原価計算でも製造間接費が登場します。

実際原価計算の製造間接費に関する差異分析は、「原価計算入門その18~製造間接費(原因分析、予算差異と操業度差異)」で解説しました。

そこでは、与えられたデータより予算許容度を計算し、予算許容度、予定製造間接費、実際製造間接費という3種類の製造間接費から予算差異と操業度差異を計算する、といったものでした。

標準原価計算では、新たに能率差異が登場し、予算差異、操業度差異、能率差異の3つの差異分析を行うことになります。

予算差異、操業度差異、能率差異の計算式は次の通りとなります。

予算差異=予算許容度(※)-実際原価
操業度差異=固定費率×(実際操業度-基準操業度)
能率差異=標準配賦率×(標準操業度-実際操業度)
=変動費率×(標準操業度-実際操業度)+固定費率×(標準操業度-実際操業度)

※予算許容度=変動費率×実際操業度+固定費予算額です。



【設問(問2)(3)】

製造間接費の差異分析は次の通りとなります。

【解答】(問2)(3)上の式により予算差異、操業度差異、能率差異を求めます。

予算許容度=変動費率480円×実際操業度420時間+固定費予算432,000円=633,600円

予算差異=予算許容度633,600円-実際製造間接費630,000円=3,600円(有利差異、貸方差異)(解答)
操業度差異=固定費率960円(※)×(実際操業度420時間-基準操業度450時間)=△28,800円(不利差異、借方差異)(解答)
能率差異=標準配賦率1,440円×(標準操業度400時間-実際操業度420時間)=△28,800円(不利差異、借方差異)(解答)

※固定費率=固定費予算額432,000円÷基準操業度450時間=960円

【補足:シュラッター図について】

予算差異、操業度差異、能率差異はシュラッター図を使用すると上の式を覚えやすくなります。

価格差異と数量差異

※標準・実際・基準操業度は、数字の大きさに関係なく、この順番で記載します。

【終わりに】

今回は標準原価計算のうち、製造間接費の差異分析について解説しました。
次回は標準原価計算の記帳方法(仕訳方法)を解説します。


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